2017年07月17日
家内が「ブレーメン・フィルが杉並公会堂に来るけど、行く?」というので海外のローカルなオーケストラが好きな私は二つ返事で「行く行く」。
詳細を見ようとネットで調べたのですが、あれ? どこにも出てないなあ。
それもそのはず、ブレーメンの音楽隊のブレーメン、とばかり思っていたのが一文字違いの「ブルーメン・フィルハーモニー」、都内のアマチュア・オーケストラなのだそうです(ドイツにちゃんとブレーメン・フィルハーモニー管弦楽団はあります)。
ブルーメンはドイツ語の「花」(Blume、Blumen は複数)。舞台上に美しい花を咲かせるような、新鮮で生気あふれる演奏がしたい、との思いからつけられた名前だそうです。
元々は指揮者・寺岡清高氏の提唱により'93年に1回限りのオケとして発足、同年9月の演奏会が好評を呼んで常設オーケストラとしてスタートしました。
アマチュア・オケといっても、その中でも一流を目指そうと、様々な演奏団体などに所属しながら経験を積んできたメンバーが中心となって、年2回の定期公演、特別演奏会などを開催して20年以上活動してきました。
指揮者も寺岡のほか今回の武藤英明、山田和樹、ゲルハルト・ボッセなどプロでも一流どころが名を連ねています。
今回指揮を執る武藤英明は、桐朋学園大学で斎藤秀雄に指揮を学んだ後、チェコのプラハへ渡り名匠ズデニェク・コシュラーに師事。チョコ・フィルをはじめとしてチェコの楽団との共演も多く、'90年にはプラハ放送交響楽団と「プラハの春」国際音楽祭にも参加しています。
今回のプログラムでもスメタナの「わが祖国」から2曲選ばれているのもそのためです。さらにプログラム終了後のアンコールとしてドヴォルザークのスラヴ舞曲2曲が演奏されましたから、チョコ音楽は彼の十八番であることは間違いないでしょう。
じつは店主はほとんどアマチュア・オケの演奏会に行ったことがありません。今までで2回位だったかと思います(新交響楽団だけは別です)。今回は歩いて行ける地元の杉並公会堂(ここは日本フィルの本拠でもあります)での公演だったからで、遠くであったら行っていなかったでしょう。
そんな特別に期待をして臨んだわけではなかったのですが、いざ始まってみるとなかなかどうして、流石によく練習しているだけあってうまいものです。プロと比べて大きく劣るということも無く、弦楽合奏などは聴いていた席(自由席)が良かったのもあるでしょうが、滑らかで美しいソノリティに聴き惚れました。
管楽器のソロに多少アマチュアらしさ(?)が垣間見られましたが、それはアマチュアとしては当たり前のレベル、一流を目指すというだけあって全体としては十分以上に楽しむことが出来ました。
これには武藤の指揮が貢献していることはもちろんで、スメタナは当然として、メインの「運命」がなかなかの力演、充実した演奏でした。彼の指揮で聴くのは初めてでしたが、冷静にちょっと涼しい顔をしながら、クライマックスではいつの間にかしっかり追い込んで盛り上がっているというところが印象的でした。
演奏会とは直接関係はありませんが、当日会場で配ってもらった多くの演奏会チラシを見て、在京のアマチュアオケはこんなにも沢山あるのかと、少々驚きました。
例えばこんな感じです:
日立フィルハーモニー(日立グループにはアマチュア・オケがこれを含めて二つあるそうです。さすが大企業),キルシュフィルハーモニー,ガリマティアス・ムジクム(ドヴォルザークの8番をやるのでそこそこの規模でしょう),エウテルペ楽奏団(ブラームスのハイドン変奏曲やモーツァルトの39番など),東京セラフィックオーケストラ(ベートーヴェン「田園」),ASSENBLED I ORCHESTRA(チャイコフスキー4番),伊達管弦楽団,アンサンブル・メゾン(シベリウスの5番など),オーケストラ・アンサンブル・フリーEAST(ブラームス3番),アフォアガート管弦楽団(ブラームス1番),オーケストラ・セレーナ(メンデルスゾーン「スコットランド」),ワグネル・ソサエティ・OB オーケストラ,オーケストラ・ディマンシェ(ショスタコーヴィッチ5番),エルムの鐘交響楽団(チャイコフスキー4番),渋谷交響楽団,アンサンブル・ジュピター(マーラー5番!),オーケストラ・フォルチェ(ベートーヴェン「英雄」),くにたち市民オーケストラ,オーケストラ・ウィル(ベートーヴェン第9),プロ―スト交響楽団(新世界,火の鳥)..。
当日もらったチラシにあったものだけでもこれだけですが、まだ山ほどあるのは知っています。
あなたはいくつ知っていますか?