2018年01月07日
今回の年末の第9には予定していた通り、カール・シューリヒトがパリ音楽音管弦楽団を振ったレコードを選びました。
これはご存じの通り、1957~58年に入れたベートーヴェン交響曲全集のなかのひとつですが、第9のみ後年、ステレオで録音されたテープが発見され、新たに発売となったものです。
英・米やドイツでも既にこの頃はステレオ録音が始められていましたが、なかではフランスは最もステレオへの移行が遅かったのです。
第9でステレオ録音が残されていたというのは、全集でも遅い時期であったのと('58年3月,5月)、独唱,合唱を含む大きな編成であったため実験的にステレオ収録も行っていたのではないかと考えられます。
特にこのANGEL 国内盤は第9、1曲をLP2枚、世界で唯一4面にわたってゆったりとカッティングされており貴重です。
さて演奏は、いつものシューリヒトらしく、決して停滞することなく快速なインテンポで進みますが、いつもよりダイナミクスの隈取が豊かで、ぐいぐい引っ張っていく気迫に満ち、まるでライヴ録音のよう。あっという間に全曲を聴き通していました。