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2017年9月
店主日誌:2
2017年09月12日
 

 
お客様の依頼により THORENS の'70年代初頭のプレーヤー TD125 の修理を行いました。

有名なTD124 と違ってシンプルなベルトドライヴ、3個のスプリング・サスペンションでプラッターとアームがフローティングされた構造です。
数十年ぶりに復活させようと出してきて電源を入れたところ、回転が安定しませんでした。
40年以上前の機械であることを考えるとパーツの劣化で半ば当然と言えます。

コンデンサーをはじめとして各劣化パーツを交換、速度微調整ヴォリュームと速度切り替えスイッチ接点のクリーニングを行い、内蔵のストロボ用ネオン管が切れているため、LED点灯式に改造しました。
外観も、長年汚れの積もった本体をクリーニング、木部をオイル仕上げすると、見違えるようにリフレッシュしました。

同時に旧マランツのやはり'70年代のプリアンプ Model 3300 とパワーアンプ Model 250 も一緒に修理して、かつての米独名選手たちによるチームの再結成です。
マランツではプリの Model 3300 が今聴いても意外なほど生き生きした音を聴かせてくれました。
2017年09月02日
 
この2,3日はTシャツ1枚では肌寒いくらいで残暑をどこかへ置き忘れたかのようです。
これは今来ている台風が秋を連れてきたからだそうで、その後はまた30度近くになるも、秋の気配は濃厚になるようです。

それにしても今年の夏は夏本番というのがほとんど無くて、梅雨の間のほうが真夏の暑さで、梅雨が明けてみたら途端に雨模様のはっきりしない天気、所謂戻り梅雨になってしまい、年に一度行くことにしている湘南海水浴にもとうとう行けずじまいでした。
暑いのは苦手なので(寒いのもですが..)、涼しいのはいいのですが、やっぱり真夏はちゃんと、カッと暑いほうがメリハリがあって良いかな。

今週は出張でお邪魔した先で、対照的なタイプのスピーカーシステムを聴かせて頂く機会がありました。

ひとつはフルレンジ・ユニットをオーダー製作のエンクロージュアに入れたシステムで、3種類を並べて聴けるようになっています。
最初に聴いたのは、ちょっと意外な選択で、元々カーオーディオ用に作られたアルパイン製の16cm。ダブルコーンや同軸2ウェイなどでなくシンプルなシングルコーンで、見た目はミッドウーファーに見えます。
チェンバロを聴かせて頂きましたが、音離れの良い軽快なサウンドで、オーナーのおっしゃるように上も下も欲張ってはいない、所謂ハイファイ調ではないものの、色彩感もあってとても気持ちよく聴くことが出来ました。

次がメインシステムのローサ―。
LOWTHER はかつてはラウザーと呼んでいたこともありましたが英国の20cm口径のフルレンジユニットで、白いダブルコーンがアイコン。'50年代から生産されています。
エンクロージュアはサイズ指定して製作したオリジナル。
ローサ―は元々はバックロードホーン式のエンクロージュアに入れる設計ですが、オーナーはバックロードホーンは好みでなく、敢えて密閉箱としてあります。
箱は先ほどのアルパインよりもふた回りほど大きく、ゆったりとした音が出そう。

期待どおり、スケール感も大きく、ずっと落ち着いた音で帯域感も必要十分。
同じチェンバロのレコードを聴かせて頂きましたが、臨場感や奥行きもよく出て、こちらは良い意味で十分にハイファイ調。流石は名ユニットです。

もうひとつは往年の名ユニット、三菱のP-610 ですが、いつの間にか時間も経っていたのでこれはまた次回のお楽しみ。オーナー氏によると渋めの優等生的な音とのこと。

数日後、神奈川県に足を延ばした際に聴かせて頂いたのは、対照的な大型3ウェイ。
しかも各ユニットが分離・独立して、ミッドとハイがホーンユニットという本格派。
通常こうしたホーンを主体としたオリジナル・システムは、能率などの問題でマルチアンプで鳴らすことが多いのですが、これはパッシヴ・クロスオーバーネットワークを使ってまとめているのには驚きました。
じつはこの方、元々大手オーディオメーカーのエンジニアで、アンプ設計もこなすヴェテラン。専用ソフトで特性のシミュレーションも出来るので、お手のものというわけ。
鳴らしているプリ&パワーアンプも半導体式のオリジナル設計です。
それにしても、ホーン臭さやうるささを感じさせず、まとまりが良い上に、しっかりホーンらしいスピード感もあって、とくにジャズは聞き惚れました。

同じ時期にこのようにたまたま全く対照的な構成のスピーカー・システムを聴いて、改めてオーディオの多様性を認識した次第。
どっちがより良いかとか、どっちが好きって問題じゃなく、うーん、どっちもやってみたいですね!