2018年04月02日
たまたま見かけた去年の記事でタイムリーな話題ではないものの、ミッション自体はまだ数年間続くそうですので取り上げてみました。
太陽系内の遥か彼方と太陽系外宇宙探査を目的としたNASA の「ボイジャー計画」として、探査衛星ボイジャー1号と2号が約2週間の間隔を置いて打ち上げられたのは40年以上前、1977年のことです。
40周年に当たる昨年9月の時点で1号はすでに太陽系外に出て、2号ももう外へ飛び出したことでしょう。1号は史上最遠まで到達した宇宙船となりました。
電源電池が弱ってきているためカメラなどはだいぶ前に停止したものの、まだ5つほどの計測機が作動中で、今後まだ10年程度データが送られてくる見通しです。
因みにこの電源はプルトニウムの原子力電池だそうで、そうなると原子力衛星?
ところで覚えておられる方も多いと思いますが、地球外生命体が見つけてくれることを想定してボイジャーには地球のデータが収められています。
その記録媒体が何とアナログ・レコードなんですね(上の写真)。下はそのジャケット(アルミニウム製)で、カートリッジ針はこんなふうにかけて再生して下さい、といったイラストが描かれています。
ごく普通の溝の刻まれた12インチ盤で、但しヴィニールではなく銅製で、金メッキが施してあるため、まるでゴールドディスク。豪華仕様?ではなく表面保護のためでしょうが、銅でいいの?とは思いますが、真空で湿気もない宇宙空間では腐食の心配も無いのでしょう。
何と10億年以上(!)の耐久性があるそうですが、さすがは我らのアナログ・レコード。この1977年時点ではまだCDは出てきていないので、と言うことは出来ますが、デジタル技術はあったわけで、情報量や仕様は別として耐久性ではアナログディスクに分があったということでしょう。それは今でも変わっていないようです。
ゴールデン・レコード作製にあたってCBS レコードはボルダーのJVC カッティングセンターにラッカーマスターのカッティングを依頼、これを米カリフォルニアにあったJAMES G. LEE RECORD PROCESSING 社へ送ってメタル製のレコード8枚が製作されました。NASA のサイトにここでの製造工程の写真が載っていますのでご覧下さい。アナログ・レコードそのものです。
アメリカも下町ロケット?
https://voyager.jpl.nasa.gov/golden-record/making-of-the-golden-record/
ボイジャーにはこのレコードを再生するプレーヤーも載せられています。写真の女性が操作しているものかは分かりませんが。
NASA の公式サイトより
レコードには音楽や様々な音の他(音声部分は16・2/3回転)、画像もアナログデータとして記録されています。収録されているクラシック曲だけに絞ってご紹介すると;
バッハ/ブランデンブルク協奏曲第2番(K.リヒター)
バッハ/無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番(A.グリュミオー)
バッハ/平均律クラヴィーア曲集から(G.グールド)
モーツァルト/魔笛から(E.モーザー, サヴァリッシュ)
ベートーヴェン/運命(O.クレンペラー)
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第13番から(ブダペストSQ)
ストラヴィンスキー/春の祭典(作曲者指揮)
収録する内容はコーネル大のカール・セーガン博士(懐かしい!)を長とする委員会で決められたそうですが、音楽は誰の好みだったのでしょうね。
ついでにもうひとつ、40周年を記念してゴールデン・レコードの復刻盤が発売されました。
金色っぽいカラーレコードの3枚組に豪華なブックレットが付いて約1万2千円、まだタワーレコードで買えるようです。
遥かな宇宙の果てに思いを馳せて、あなたもいかがですか?