2023年11月07日
東京インターナショナルオーディオショウ/TIAS、今年は初日の金曜日が祝日ということで混むことが予想されましたので、最終日の日曜に行ってきました。
今回も店主の独断で、印象に残ったものを中心にご報告させて頂きます。
DENON DP-3000NE
いつも通りエレベーターで一番上に登ってから下りながら回ります。
まずは7階の
DENON から。量販店中心の展開のDENON はいつもははしょることが多いのですが、今回は注目の新型アナログ・プレーヤー
DP-3000NE がありますのでお邪魔しました。
実にまっとうなプレーヤーで、当店おススメ。大きな部屋は満員で、これまた実にまっとうな音でデモしていました。
ortofon SPU GT 150
5階の
オルトフォンでは新型SPU であるSPU GTE 105 が展示されていました。これは一体型のSPU ヘッドシェル内に昇圧トランスを内蔵したもので、かつてのSPU GT の待望の復活となります(年内発売予定)。
Phasemation MA-5000
Phasemation では2年ほど前から試作機を参考展示していた大型モノブロック・パワーアンプ
MA-5000 を正式展示。211 真空管をパラレル・シングル動作させ45W の出力を発揮。
sonus faber の大型スピーカーを瑞々しい美音で楽々鳴らして、さすがのサウンド。但しお値段は1,300万円(税別)と、こちらも破格。
Revival Audio SPTINT 3
Revival Audio ATALANTE 3
エレクトリのブースでは、新しく輸入が始められたフランス
Revival Audio の小型スピーカーが展示されていました。
落ち着いた木目を活かしたオーソドックスなスタイルで、価格も18万円,44万円(ペア、税別)とお手頃。ホッとします。
JUNONE M845(参考出品)
JUNONE ReferenceⅡ(参考出品)
TRIODE TRS-34(参考出品)
GOLD NOTE Pianosa
トライオードのブースはいつもながら大盛況。今回は新製品目白押し。
目玉は、まだ試作機による参考出品ながらトップライン
JUNONE の大型モノブロック・パワーアンプ
M845 とプリアンプ
REFERENCEⅡ。とくにM845 は845 真空管をプッシュプル動作させて何と120W(?)もの出力を絞り出すという強者。前日にはこのアンプで撮り鉄・山崎社長お得意の蒸気機関車爆音デモを1時間にわたって敢行、大盛況だったとか。完成が待ち遠しい製品です。
一方、トライオード本来のお手頃アンプも忘れてはいません。
これも試作機ながら、EL34 プッシュプルによるインテグレーテッドアンプ
TRS-34 を展示。これでスペンドールの一番大きなスピーカーを朗々と鳴らしていたのには驚きました。10万円台となる模様。
さらに輸入ブランドに加わったのが、イタリア
GOLD NOTE。手始めにアナログ・プレーヤー,フォノイコ,MCカートリッジが発売されます。
SOULNOTE A-3
SOULNOTE も大盛況。設計者(&広報責任者?)の加藤氏の熱い(暑い?)語りもいつも通りの大人気。
今年の目玉は最上級インテグレーテッドアンプ
A-3。すっかりデモ用スピーカーとして定着したYG ACOUSTICS で鳴らしていました。今回のショウでも指折りのサウンド。
MONITOR AUDIO HYPHN
4階では、ナスペック・ブースの
Monitor Audio に目新しいスピーカーが。この
HYPHN ハイフンは、モニターオーディオの技術陣が価格の縛りをせずに理想のスピーカーを創るというプロジェクトの産物だそうです。
ちょっとレトロな一つ目宇宙人襲来、みたいでもありますが音は実にまっとうで、クリアながら不思議と優しい、押しつけがましさのないところが好印象でした(価格未定)。ドライヴするのはギリシャの注目株、ピリウム。
LUXMAN LTA-710
LUXMAN NT-07 network transport
ラックスマンのブースも常に満員盛況。
アナログでは先頃お目見えしたアームレスプレーヤー
PD-191AL,トーンアーム
LTA-710 を展示。
同社初のネットワーク・トランスポート
NT-07 も注目のニューカマー。年内にもスタートする予定のフランス発のストリーミング・サービス、Qobuz も見据えての発売。
トランスポートとしたのは、高音質のDAC を備えた機発売のCD/SACD プレーヤーとの組み合わせを想定してのことでしょう。
MARTEN Mingus Septet (Statement edition)
ステラ/ゼファンの大きなブースでは、ちょうど
MARTEN の大きなスピーカー
Mingus Septet が鳴っていて、本国スウェーデンからマーテン3兄弟が来場、自社の紹介を行っていました。次男のレイフが創業者で設計も担っています。
目の覚める中高域は素晴らしいですが、約2千万円と流石に高過ぎるかなあ。
その他、見落としていましたが、開発中のTechDAS 製トーンアーム Air Force 10 も実演中だったそうです。
KLAUDIO Magnezar
ノアのブースでは、
クラウディオ初となるターンテーブル
Magnezar が参考展示されていました。
20kg もあるプラッターを磁気浮上させているのは珍しくはありませんが、びっくりしたのは全自動でプラッターの周辺がせり上がり、レコード盤の縁をクランプする機構。いわゆる外周スタビライザーです。
価格未定ながら、これも相当な金額でしょう…。
EAR M1(外観は暫定)
ガラス張りの渡り廊下を渡って、G棟5階へ。
ヨシノトレーディングでは、新たなプロトタイプ
EAR M1(仮称)がデモされていました。
かつてのAlchemist の流れを汲むようでもあり、故ティム・デ・パラヴィチーニ氏の残した回路設計を基に完成されたオール・トランジスタによるインテグレーテッドアンプです。
価格は未定ながら、来年発売の予定。期待大!
BOULDER 1160
BOULDER 1161
天井の高いアクシスのブースでは、FYNE AUDIO のスピーカーでデモ。
米国の名門アンプメーカー
BOULDER ボルダーは新たにアクシスが輸入代理店となりました。
エアータイト謹製前掛け(モデル:エアータイト営業部長、すーさん)
エアータイトのブースもいつも以上の賑わい、盛り上がり。というのも、三浦社長が得意のロックの名盤をかけまくるコーナーの真っ最中だから。
アンプはもちろん、ATM-2111 モノラル・パワーアンプとATC-7 プリアンプ、今回スピーカーにはアヴァロンとアヴァンギャルドが用意されていました。
スカッと脳天まで抜けるブリティッシュ・ロック・サウンドにアヴァンギャルドやるなあ、と思ったら、どっこいその隣のアヴァロンが鳴っていてビックリ。いつもの理知的な表情が豹変、全ての音がシャウトしています。
レコードをかけながら頭を揺すってリズムをとる三浦さん、腰に藍色の前掛けを結んでいるので、もうバンド活動にのめり込む造り酒屋の2代目にしか見えません(失礼)。
ところでこの酒屋風前掛け、何とエアータイトのホームページで絶賛販売中!
さらにエアータイトを支える「エアータイト・レディ」(製造担当)御用達のエプロンもありますので、ファンの方は是非手に入れて下さい↓
https://airtight-anm-ec.square.site/s/shop
ここまできて、輸入オーディオ中心で、普段聴くことの出来ない製品のお披露目が主体となるショウですので、各ブランドのトップモデルが並ぶのは当然ではあるものの、それが例えば1千万円、或いはそれを大きく超えるような高額機ばかり並ぶようだと、一般ユーザーにとっては余りにも感覚がかけ離れてしまうのも確かで、もっと身近にワクワク感じられる経験も増やしてもらいたいとは感じました。
オーディオ市場、多少は盛り返したとは言うものの、現在の国内の経済力弱体化、ひいては収入の低さは如何ともしがたく、そのせいで額面以上に価格が高く感じられるのも確かです。
こればかりは一朝一夕には改善するものではありませんが、少しでも景気が上向いて実際に欲しい新製品を購入出来る機会が増えれば、こうしたショウも身近となり、もっと賑わいを見せることでしょう。
ところでこのTIAS、来年は東京フォーラムの改修のため、会期が真夏の7月となるそうです…。