店主日誌
東京インターナショナルオーディオショウ2018、聴き歩き
2018年11月17日
今年もTIAS、行ってきました。
注目,おススメ,期待の製品を駆け足でご紹介。
いつもは一番上から行くのですが、今回はたまたま降り立った4階から。
大きなエレクトリのブースはいつもどおりMAGICO のスピーカーでデモの真っ最中。遠くから見たのではっきりしませんでしたが、恐らくM3 でしょう。
やはりいつ聴いても素晴らしいというほかない再現で、現代のスピーカーの最高峰のひとつであろうことは間違いないようです。オーディオ的にも、もちろん音楽的にも。
この後に、アメリカン・ハイエンド・スピーカーを長らくけん引してきたWILSON AUDIO とAVALON を聴くことになりましたが、MAGICO はさらに次の次元に進んでいる感を強くしました。
MAGICO では最近発売となったA3 がグンと身近になった価格で大好評を博していますが、上の写真はその内部構造の展示です。上級機に比べれば簡略化されてはいるものの、まるでビルディングのような骨組み構造が音の秘訣のひとつであることは確かです。骨組みを核としてすべてのパネルを内側からビス留めするのですが、まるでパズルのよう。
次はお隣のアブサートロン。
今回は長年扱ってきている米Boulder の新製品、小型フォノイコ508 が主役です。
スピーカーはWestlake Audio としては家庭用サイズのLc3W10VF。
伊藤社長がかけるレコードは懐かしいジャズやアメリカン・ポップス、ウェストレイクのスピーカーがそれらしくいい気持で歌っていました。因みにアナログプレーヤーはLuxman。
トライオードはいつも満員御礼。
店主が秘かに楽しみにしている新型845 真空管アンプのプロトタイプが展示されていました。しかもブランドのバッジを見ると、JUNONE。845 を使ったアンプとしてはかなりコンパクトにまとめられていましたが、形になるのはまだ少し先だそうです。
毎回音を聴くのを楽しみにしているハイエンド・ブースでは、スピーカーがいつもの立派な独Lansche Audio ではなく、スタンドに載った細長くコンパクトなスピーカーが鳴っていました。これはドイツのKii Audio というメーカーのKii Three というアクティヴ・スピーカーで、DSPと6基のパワーアンプを搭載しています。
特殊なスピーカーですが、サイズを大きく超えた切れの良いサウンドを披露していました。
それにしてもいつもここはかけるCDの音が良く、アトラクティヴ。
フューレンコーディネートではメインのスピーカーは今年もPIRGA。鳴っていたのはMLS3 でこれも流石に素晴らしい音でしたが、大変高価(写真上)。
音は聴けませんでしたが、デンマークDavone のTwist は、デニッシュ・デザインならではのスタイルが魅力的でした(写真下)。
ラックスマンのブースはいつも常に満員状態。
さりげなく置いてある中に注目の新製品を見つけました。真空管プリとしては同社のトップモデルとなるCL-1000 です。凝ったデザインにまず惹かれましたが、これは約40年ほど前のC-1000,C-1010 を踏襲したもの。300B パワーアンプMQ-300 とペアを組む待望のプリアンプです。来週発売予定。
FOCAL のスピーカーはSOPRA No.2 が鳴っていましたが、ジャック・マユール時代の音質を受け継いだ張りのある音を聴かせてくれ、新しいKANTA は新世代ラインであることを再認識しました。
ロッキーインターナショナルには、英国Wharfedale のチャーミングなスピーカーDENTON 85th が。85周年記念の限定モデルですのでご購入はお早めに。
ナスペックではこれまたコンパクトなスピーカーが朗々と鳴っています。英Monitor Audio の新製品でStudio という新しいラインになるようです。
とにかく音離れが良く、キレもあってしかも心地良いサウンドに引き付けられました。かなりの音量で鳴らしても破綻なく、低域も十分。外観も上質でデザインも新鮮、それで価格がペアで22万円と聞いて、改めて驚きました。
これは今後、当店の小型スピーカーおススメに加わることは間違いないでしょう。
参考展示のようでしたが、PRIMARE のスリムなCDプレーヤーとアンプがありました。現行35ラインの下位シリーズのようです。
タイムロードには新しく導入されるイタリアの2ブランド、どちらもかつて国内で好評を博していたメーカー、PATHOS(真空管と半導体のハイブリッドアンプ)とCHARIO(スピーカー)の展示がありました。どちらもイタリアらしいデザインが魅力。期待されます。
ノアのブースのスピーカーはやはりSonus Faber。
メインで鳴っていたIL CREMONESE は良いのは当たり前ですが、アメリカンハイエンドと違い、堂々としていながらもどこか響きが優雅。
注目の新製品、Sonetto は価格もこなれていて一押しです(写真上)。
また、参考展示で新しいElecta AmatorⅢ がひっそりと! 国内で発売されれば人気間違い無しでしょう(写真下)。
さて大きなガラス棟から橋を渡って向かいのD棟へ。
A&Mではこの11月に発売したての新型300B パワーアンプが。
ちょっと気難しいタンノイのケンジントンを実に快活に楽しく聴かせてくれたのには参りました!
参考展示の新しいフォノステージアンプもプロトタイプながらさらに外観が煮詰められたように見受けられ、これも次の期待作です。
ユキムのブースには大きな話題作が。
小さいですが、上の写真をご覧下さい。何とプレーヤーのプラッターが完全に宙に浮かんでいるのです。中心軸や支えなど一切繋がるものはなく、4~5cmほどの高さにUFOのように浮いています。
リニアモーターの原理を応用し、巧妙な制御プログラムでコントロールしているのですが、しかし意表を突くこんなことを実現してしまうのは大したものです。
早々に日本にも輸入というので驚きました。「信じるか信じないかは、あなた次第です!」
いつも最後に訪れるのはヨシノトレーディングのブースです。
並ぶのはいつもどおりEAR,Clearaudio,Nottingham などの人気ロングセラーモデルばかり。今回も特別な新製品というのはありません。強いて言うと、小型ブックシェルフ・スピーカーの英FALCON のLS3/5a を上下2段にスタックした(上は逆さまに)パラヴィチーニ仕様でガンガン鳴らしていたこと。ティムさんは「My new baby!」と言っておりました。
今回はそのパラヴィチーニ氏がデモでも大活躍。ただ製品の解説や売りこみ等は一切ありません、というより全くそうしたことには興味無し。これもいつもどおりですが、メインソースがオープンリール・テープデッキ(DENON のプロ機)で、とっておきのマスターテープ・コピーをかけたり、CDに録音した編集前のセッション録音を聴かせたりします。
話もレコードのプレスの違いによる音の差など、彼の頭の中にいっぱいに詰まったネタを次から次へと披露して、まるでお気に入りのパブかどこかで集まった仲間達の真ん中で嬉しそうに話すマニア、みたいな雰囲気で、お客さまもつい身を乗り出して話に頷く、というような微笑ましい光景はここだけ、特別です。
それにしてもかなりのお歳になった今でも、全く新しい興味に目を輝かせて取り組むエネルギーは素晴らしいと思います。
まだまだ第一線で活躍下さいね。