店主日誌

名機の予感、SPU Century

2019年04月17日

 







 
オルトフォン社100周年記念の一環として新しく限定発売されたSPU Century を聴いてみました。

結論から申しますと、予想を超えて素晴らしいものでした。

ご存知SPU はオルトフォンにとっても愛好家にとっても特別、特にわが国では熱烈なファンの多いカートリッジで、それ故、新型のSPU が出ると常に聞かれるのが「モダンなSPU などSPU とは呼べない」という言葉。
これはその新しいモデルを聴いてというよりは、聴くまでもなく、ということも多いようです。

確かにその気持ちは分かります。オルトフォンももちろん、それを誰よりも分かっているから、つい最近、初心に帰ったSPU#1 シリーズを発表しました。しかも驚くほどリーズナブルな価格で。
一方でSPU はまだまだ新しい試みを受け入れる懐の深さがあるし、設計者としてはそれにチャレンジしてみたい。それにはこのセンチュリーイヤーという大きな節目は相応しい機会であるのも確かです。

とは言ってもその音をどう仕上げるのか、これは今までも様々なSPU 派生モデルや特別モデルの企画が持ち上がった時にも同じように直面した問題のはずですが、いかにもSPU らしいオリジナルに忠実な音にするのか、外観はSPU でも最新の成果を盛り込んで現代的SPU として仕上げるのか、その落としどころには設計者、レイフ・ヨハンセン氏も散々熟考を重ねたことでしょう。
いや、彼はむしろそこに迷いはなく、初めから明確なヴィジョンをもって完成させたのかもしれません。聴いてみると、それほどすぐ分かる、誰もが納得の、これ以上ないほど熟成して、かつ古めかしさなど微塵もない実に新鮮な音で響くのです。

但し、並み居る最新鋭カートリッジとはまた明らかに一線を画す再生であるのも確かで、これはやはり「Gシェル」をもつこの形でないと実現しないのでしょう。
今回このGシェルはご覧のように最も目を引く部分でもあり、今までは粉末木材を樹脂で成形したものであったのに対し、無垢のブナ材をCNCマシンによって精密加工したボトムカバー(下半分)を採用しています。
この波打った不思議な形状は、ヴァイオリンやギターなど弦楽器の形状をイメージしてデザインされたそうです。
そう言われて聴くと、なるほど木製楽器の奏でる響きにどこか通じるところがあります。

私自身は熱烈なSPU 信奉者ではありませんが(SPU は大好きです)、これならSPU 型ということを抜きにしても欲しいなあ、とつくづく思いました。

世界限定250個の限定生産です。ご興味のある方は、どうぞ声をお掛け下さい。
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