店主日誌
アナログオーディオフェア2019、見聴き歩き
2019年05月20日
今年も楽しみしていたアナログオーディオフェアに行ってきました。
会期2日目、日曜日のお昼頃到着し、去年と同じく1階玄関のすぐ先にあるアスカオーディオで久々に浅井氏にご挨拶。ここは純マグネシウム製外周スタビライザーがおススメ。
2階は音出しこそ出来ないものの、数多くの小規模メーカーが露天商のごとく机を並べる大部屋。卓上に色とりどりのアクセサリーが所狭しと並んでいるのを見ると、まるでお祭りの出店(でみせ)を覗いているようなワクワク感があります。ほとんどの出展社がとても親密にお取引きしているところばかりなこともあり、店主にとって、いつも最も期待の膨らむ部屋です。
入ってすぐ脇ではKirmus カーマスオーディオの超音波レコードクリーニング機のデモが行われていました。デモしているのは白衣を着た、でんじろう先生?ではなくて、輸入元ナスペック・営業の水次さん。
動作音が静かなのを再認識。新しいオプションの3枚LP用ドライヴも予想以上に好評とのこと。
隣は真空管アンプの老舗、上杉研究所。やっているのは既に上杉氏ではなく藤原氏ですが(ちょっと日本史的に)。
目玉は最新の300B シングル・パワーアンプ、U-BROS-300AH。好評のU-BROS-300 の後継機ですが、ヒーターを交流点火として音質改善。
藤原さんによると、U-BROS-300 は好評でまだ当分そのまま継続販売するつもりだったが、研究中に試したヒーター交流点火の予想以上の効果に注目、変更しないわけにいかなくなったとのこと。
UESUGI U-BROS-300AH
この部屋では唯一の大手メーカー
このところ、ここはアナログ関連にもしっかり新製品が目立つようになりました。「いよいよ本気ですよ!」と担当のヴェテラン、中尾さんは鼻息も荒い!
新しいプレーヤー AT-LP60X は12,900円の超エントリー機ながら安っぽくなく結構カッコイイ。フルオートプレーヤーはあまりお勧めしてませんでしたが、同じ価格帯の得体の知れないプレーヤーを買うくらいならこちらをおススメ。
中電(チュウデン)はその名を知る方は少ないと思いますが、OEM中心にカートリッジなどアナログ・アクセサリーをコツコツと作り続けてきた専業メーカー。
手頃なMMカートリッジやヘッドシェルなどが主力ですが、今回ローラータイプのレコードクリーナーとスタイラスクリーナーのプロトタイプを展示。価格も手頃なので完成が楽しみです。近々ご紹介出来るでしょう。
KRYNA クライナはナイスアイデアの「プレーヤー2アーム改造ベース」の試作品を展示。これを使うと手持ちのプレーヤーが簡単にダブルアーム・プレーヤーに変身! 価格も85,000円ほど(予価、アーム別)と手頃。興味のある方も少なくないのでは?
Belldream ベルドリームサウンドは超ロングラン製品、超音波レコード洗浄機の草分け US-60V を展示。
長年、多数の販売実績の中で故障皆無という、流石は国内専門メーカー製。
価格もリーズナブルで、改めて注目されてよい製品です。
47研究所にはちょっとした大物が。
新製品のターンテーブル「Simple Koma」とトーンアーム「Exact Trace」です。
ダブルアームでの展示ですが、それでもかなりコンパクト。スマートで魅力的なデザインはさすが。アームはワイヤーと滑車型のヘッドシェルを用いたオフセット角変動型。
ベルトドライヴのモーターはバッテリー式。しかもそれぞれが30万円ほどと価格も魅力的。間もなく完成とのことです。
47研究所のプレーヤーとアーム
Analog Relax アナログリラックスには相変わらずよく人が集まります。
製品の魅力もさることながら、主宰する万木(ゆるぎ)さんのお人柄によるものと思います。
高価ながら、新製品のMCカートリッジ EX1 が好調とのこと。最近は北米、ヨーロッパと販路を広げつつあります。
PHONOPHILE フォノファイルの高橋さんは今回2度目の出展。
先日お借りした新型レコードスタビライザーや、ベース部分を天然木で作った3連カートリッジキーパーは近々販売となる模様。乞うご期待。
FURUTECH フルテックでは得意のNCF配合の新しい電源プラグを紹介頂きました。従来のロジウム・メッキに加え、ゴールドとシルバー・メッキを揃えました。ボディはステンレスとアルミから選べるのも特徴。
三進興産って?? 初めて聞く社名でしたが、ソルボセインと聞いて分かりました。オーディオ好きなら聞いたことがあるでしょう、米SORBOTHANE 社の高機能衝撃吸収素材です。インソールなどが主力商品ですが、この度自らオーディオ分野に初進出。
真鍮と黒檀、そしてソルボセインを組み合わせたインシュレーターで、高さ調整も可能(3個セット)。
耐荷重は1個/13kg ですので3個で39kg、大型のアナログ・プレーヤーにも使えます。
4階もお馴染みのメーカーが並んでいますが、中でも今回「店主の注目一押し」がAir Tight エアータイトにありました。
真空管フォノステージアンプ、ATE-3011。もうだいぶ前からフェアがあるごとにひっそりと参考展示されていたのですが、3年余の開発を経ていよいよ今回は正式なお披露目となりました。
すべて新設計となる完全な新製品で、RIAA以外の多くのイコライザーカーヴに対応出来るのも同社初。2つのノブでターンオーバーとロールオフを別個に選択、組み合わせてカーヴを決定、特徴的な中央の透明インジケーターはその表示窓です。
この夏の発売を目指して最後の仕上げ中。私どもでも試聴会が出来ればと考えております。
Air Tight ATE-3011
5階の大部屋では先頃高級フォノイコ DCEQ-1000 を発表したオーディオデザインがちょうどデモの真っ最中。
PC画面を交えてのそれは、デモというよりプレゼンテーションという感じで、製品の特徴を分かり易く説明、一方、音出しデモには懐かしい すぎやまこういち の「オーディオ交響曲」をかけるなど、大のオーディオマニアである設計者・大藤氏の面目躍如。
ちょっと過激な、覆面他社高級フォノイコとの一対一比較試聴もとても分かり易く、来場者の心(いや、耳?)を掴んだことでしょう。