店主日誌
プライベート・ニューイヤーコンサート
2021年02月03日
あっという間に2月になりましたが、今年ほど正月らしさ無く過ぎてしまった新年は無かったのでは?
4日が月曜日という曜日の巡りあわせの悪さもありますが、大きな原因は今だその渦中にあるコロナ禍。
出掛けたり、集まったり、食べたり、観に行ったりというお正月ならではの行事がことごとく制限されたことで華やいだ正月気分がどこかへ行ってしまいました…。
もちろん音楽も例外ではなく、毎年出稼ぎ(?)に来るヨーロッパのいくつものウィンナ・ワルツ楽団が来ないので、ニューイヤー・コンサートが皆無に。
毎年この日誌にも書いていますが、新年にプライヴェート・ニューイヤーコンサートとして必ずレコードを1枚聴いています。これは密にもなりませんので例年通り決行。
今年はジョージ・セル指揮するクリーヴランド管弦楽団のアルバム「美しく青きドナウ/ヨハン・シュトラウス・フェスティバル」(米Columbia/Odyssey)を聴きました。
セルらしく実にはっきりくっきり、元気が良くて力をもらえる音楽。
冒頭の「青きドナウ」も、入りのトレモロからしてはっきりくっきり、このレコードのジャケット写真のようにドナウの流れを遠くから俯瞰するというのではなく、川岸で見ているか、遊覧船で流れの中にいるかのよう。
ワルツ部分では優雅よりは堂々としていて、まるで軍人さんが颯爽と踊っているようです。と言っても決して一本調子なわけではなくて、そこは知性派のセル、ニュアンスも豊かです。
2曲目の「ピチカート・ポルカ」は冒頭からそのピチカート音の大きさにビックリ。
しかも大勢で弾いているはずなのに全く乱れが無いので、まるで1人ででっかい楽器を弾いているように聴こえます。さすがセル&クリーヴランド!
有名な「春の声」もダイナミックでシンフォニック。
締めの「常動曲」では最後にちゃんとセル自身の声が聴かれます。
といったふうで、1枚、ヨハン・シュトラウスの「交響詩集」を聴いた気分で楽しめました。
因みに、恒例の年末年始の3枚、「くるみ割り人形」(ドラティ)、「第9」(オーマンディ)、ウィンナ・ワルツ集(セル)と、意図せずしてすべてハンガリー出身の指揮者の録音だったことに気が付きました。
まあ、店主のお気に入りにハンガリーの指揮者が多いからではありますが。