店主日誌
’12東京インターナショナルオーディオショウ
2012年11月03日
東京インターナショナルオーディオショウに、随分と久しぶりに行ってきました。
以前(と言ってもかなり前..)と比べるとなかなかの盛況、デモが始まるとブースが満員、部屋を覗くことも叶わず、という状態があちこちで見られました。
ただやはり以前のオーディオフェアの頃と比べると若い人の比率は大幅に減少、ブース内にぎっしり並ぶ頭はほとんどが白髪交じり。頭の黒い頃オーディオフェアに通っていた人達が、そのまま足を運んでいるという印象。
一方、PCオーディオ関連となると俄然若い人優勢、といったところです。
興味の中心であるアナログ・プレーヤー関連では、まずユキムのブースで初お目見えのThares TTT-Cターンテーブル。精巧なSIMPLICITYトーンアームを搭載したいかにも緻密なコンパクトさが、スイス製らしい美意識を感じさせます。
AIR TIGHTのブースでは噂のMy Sonic Lab最新カートリッジSignature Goldを聴くことが出来ました。プレーヤー脇には開発者の松平氏の姿も。出来上がった結果が当初の目標を上回ったという、その出来栄えは!?
各ブースで、特にハイエンドクラスのスピーカーがデモされている場合、CDプレーヤーやアンプ類を含めたトータルシステムを聴くというより、やはりそのスピーカーの試聴をしている感が強いものです。
今回聴けた中で印象に残ったものは、聴いた順にWilson Audio、Avalon Acoustics、ALR/JORDAN、JBL、MAGICO、そしてLansche Audio。
最初の2つは既に米国ハイエンドの中では古株ですが、なお第一線で第一級のパフォーマンスを聴かせてくれることに安堵。どちらも店主が高く評価するメーカーです。
ALR/JORDAN Classic 1は11.5cmウーファーの2ウェイでペア9万円のベビースピーカー、新しくもありませんが、今回ドイツAudio Net SAM-G2インテグレーテッドアンプで鳴らした音は目を見張るもので、誰もがずっと大きなスピーカーが鳴っているものと錯覚するほどのダイナミクスを披露していました。
JBLはそれ自体のブースではなく、Ortofonブースでレコードをかけて聴きました。これは予想というより期待通りに鳴る満足。最先端のハイエンドには無い、やはりJBLの音。
MAGICOは人がいっぱいで遠くから少し聴いただけでしたが、箱鳴りのほとんど無い超絶技巧低音とでも言うべき音を聴かせてくれていました。
そして比較的空いていたので、何気なくふらっと入った部屋がハイエンドという輸入商社。そこで鳴っていたのはドイツ、ランシェ・オーディオLansche AudioのNO.5。知る人ぞ知るプラズマ・トゥイーター搭載を特徴とするスピーカーシステムです。
そのトゥイーターの効能か、極めて自然な音の出方には感心しました。確かに振動板を持ったトゥイーターからではない音とも聴こえます。聴感上嫌な響きがまとわり付かず、わたしにとって理想に近い鳴り方です。まとわり付かずといってもMAGICOとはまた違う、何の変哲もなくすっと出てくる音。
鳴らしていたのがウォルトンの戴冠行進曲「王冠」(ブラス版)、大好きな曲だったからか?!
ミッド・ハイはプラズマ・トゥイーターと特製ファブリックドーム・ミッドレンジとが受け持っているのですが(Twは2.5kHz以上)、動作方式が全く異なるにもかかわらず、そのつながりがまことに良く、プラズマ・トゥイーターの良さをいささかも損なうことがありません。これは大した手腕です。
しかもこれがごく普通の形と大きさのシステムであること。
そうそう、もうひとつ忘れてはならないのがこの時のソースユニット、EMM Labs。これなくしては成し得なかったのも確かでしょう。
これは久々に欲しくなりました。ペア400万円ですが、良さを認める方にとってはそれほど高くない?!