Dynavector ダイナベクターは1978年に元東京都立大学教授で機械工学が専門の故・富成 襄博士が創業、当初より大変技術志向の強いメーカーで、特に欧米では極めて高い評価・支持を誇ります。
10X シリーズは創業時から改良を受けながら作り続けられている世界的ベストセラー。
同社カートリッジの中ではエントリーモデルということもあり、超極細線で発電コイルを多数巻くことでMC型としてはMM並の2.8mV(先代は2.5mV)という高出力を確保していますが、そのため高利得のヘッドアンプや昇圧トランスなどのデバイスを必要とせず、それらの影響を受けないのは音質的メリットであるとも言えます。
推奨負荷インピーダンスは1kΩ以上で、47kΩのMM用フォノ入力にそのまま繋いでお聴き下さい。
今回Mk2 への変更では、スタイラスチップの形状を従来の楕円からラインコンタクトのシバタ針タイプIIIに変更、カンチレバーも硬質アルミニウムパイプへアップグレードしました。
新規スタイラスの採用
10X5 Mk2 ではスタイラスチップの形状を従来の楕円からラインコンタクトのシバタ針タイプIIIに変更し、カンチレバーも硬質アルミニウムパイプへアップグレードしました。
従来の楕円針に比べ、レコードの溝に対する追従性が大きく向上し、高域再生,分解能等での向上が期待出来ます。
高出力MCカートリッジ
超極細線をコイルボビンに多数回巻くことにより、ヘッドアンプや昇圧トランスを必要としない2.8mV の出力電圧を確保しています。
MCカートリッジの持つ音質的優位性を維持しながら、MMカートリッジと同様に使用出来る使い易さが魅力です。
独自の磁気回路理論応用
ダイナベクターの全てのモデルには、MCカートリッジの再生音に影響するエアギャップ内の磁束(フラックス)変動の干渉を消去する「フラックスダンパー」と、サマリウムコバルト磁石やネオジミウム磁石などの強力な希土類磁石の内部抵抗を低減する「ソフト化マグネット(特許取得)」が採用されています。
これによりMCカートリッジにありがちな"ハーシュネス"が目立たず、自然且つスムースな再生音に繋がるとしています。
*「フラックスダンパー」(Flux Damper)
左側(前方)緑色のフロントヨークの中に見える青い部分
MCカートリッジの磁気回路のエアギャップ内でのアーマチュアの動きと、それを取り囲む磁気ヨークとの問に発生する磁気的干渉に初めて注日し、これによって生じる磁束(フラックス)変動が再生音に大きな影響を与えることを発見。
ダイナベクターMCカートリッジはこの磁束変動を軽減するためフロントヨークにフラックスダンパー(特許取得)を設けています。
これにより、従来のMCカートリッジに比べ磁束変動が大幅に緩和されました。
*「ソフト化マグネット」(Softened Magnetism)
近年のカートリッジでは出力電圧を高めるためサマリウムコバルト磁石やネオジミウム磁石等の高エネルギー希士類磁石が採用されています。
しかしこのような磁石の採用はMCカートリッジの出力向上には意味がありますが、磁気抵抗は極めて高いため(低リコイル透磁率)微小な磁束変動によってもカートリッジのエアギャップの磁場は影響を受けます。
これはすなわちMCカートリッジの混変調の原因となり、カンチレバー,カートリッジボディ等が良く出来たものでもその再生音には常に自然の音には存在しないある種の“うるささ"(ハーシュネス)がつきまといます。これがよくいわれるカラーレーションの要因の一つとなります。
最新のネオジムボロン磁石を採用したダイナベクターMCカートリッジでは、独特な方法でこの内部磁気抵抗を軽減、それにより従来のMCカートリッジに比べエアギャップ内の磁束の安定化は大きく向上しています。
ヘッドブロックにアルミ削り出しパーツを採用
出力: 2.8mV (1kHz,5cm/sec)
周波数特性: 20〜20,000Hz (±2dB)
インピーダンス: 150Ω
負荷インピーダンス: 推奨負荷抵抗: 1kΩ以上
チャンネルセパレーション: 25dB 以上(1kHz)
チャンネルバランス: 1.0dB 以下(1kHz)
コンプライアンス: 12mm/N
適正針圧: 1.6〜2.2g
スタイラス形状: シバタ針タイプIII
カンチレバー材質: 硬質アルミニウムパイプ
重量: 7.5g