最近惜しくも生産完了となったモデルで、当店展示機の個体です。
今回の販売にあたってメーカーにてメンテナンスを行い、真空管をはじめ各部チェック,バイアス等の再調整、入力セレクター及びボリュームの接点洗浄などを実施、前段増幅回路の12AX7 ×2本を交換しました。出力管もまだまだ元気です。
目立つキズ等はなく外観も良好。真空管ボンネットと取扱説明書、電源コードが付属します。
パワーの稼げる出力管の代表格、KT-88を使ったインテグレーテッド・アンプですが、ここではこの真空管でほとんどの場合採られるプッシュプル回路ではなく、敢えてシングル回路を採用することで、シングルアンプの繊細さを保ちながら12W/chの十分なパワーも確保、ひ弱さ,使い難さを排しました。
しかもA級動作で音の純粋さは折り紙付きです。
ドライバー段には定評ある12AX7(ECC83)を採用、1段目と2段目を直結し、2段目の送り出しをカソードフォロワーとして、出力段のKT-88を理想の低インピーダンスでドライブする構成です。
決め手となる真空管は、中国随一の規模と実績を誇る曙光電子(現在、韓国LG傘下)製で、トライオード独自の規格管理下のもと生産されるオリジナル高信頼管、ガラスに印刷されるTriの文字がその証です。
曙光電子といえば、自作派にはGOLDEN DRAGONブランドの真空管でお馴染みですね。トライオードは創業以来15年以上に渡る委託生産で、安定した真空管供給のパートナーシップを築いているそうです。これは真空管アンプ・メーカーにとって大切なことで、私どもが安心してトライオードをお奨めする理由でもあります。
もうひとつの自慢が、トロイダル電源トランスの採用。レスポンス向上に一役買っています。
さらにVitamin-Qカップリング・コンデンサー,KOA製カーボン抵抗など、要となる箇所に高品質パーツを使用して、手抜かりがありません。
これらと、高い強度と仕上げの良さが素晴らしいシャーシーとが相まって、トータルで大変完成度の高い製品に仕上がっています。
名ビーム管KT-88の腰のある力感を保ちながら、克明な再現にも秀でた稀有な再生が魅力。ジャズでは、ダイナミクスと艶めかしいヴォーカルの両立が楽しめます。
クラシックではシングルの丁寧な再現をベースに、フルオーケストラも難なくこなす適応力をもっています。
幅が狭いスリムな縦長形状は置き場所を取らず大変便利ですが、トライオードでは通常の横長型に移行しており、今後インテグレーテッド・アンプでこの形はなくなると思われますので、その点でも貴重です。
店主おススメ!
使用真空管: KT-88×2、12AX7×2
回路形式: 純A級シングル
入力感度: 700mV
定格出力: 12W+12W(8Ω)
周波数特性: 15Hz〜40kHz(+-1.0dB)
全高調波歪率(THD): 0.1%以下
SN比: 88dB
消費電力: 60W
外形寸法/ 重量: W230×D400×H185/ 11.5kg
付属品: 真空管ボンネット、取扱説明書、電源ケーブル
特記事項: 元箱は付きません