Phasemation フェーズメーションのフォノステージ・アンプでは前作、入魂の最上級機EA-1000 が発売され、話題をさらったのはいまだ記憶に新しいところですが、これをF1カーとすれば、その成果を市販車に活かして作り上げられたともいうべきニューモデルがEA-500 です。
EA-1000 の遺伝子を最も直接受け継いでいるのが、左右チャンネルを筐体ごと完全に分離したモノブロック2ボックス構成。各種設定スイッチから電源ケーブルまで徹底したモノブロック構成です。
その他、具体的にみていきましょう。
オールディスクリート構成,新規設計V-I/I-V 変換型全段対称無帰還増幅回路
通常ほとんどのアンプ回路は適度なネガティヴ・フィードバック(NF,負帰還)をかけて効率良く動作を制御,安定化させ、精度を上げるのが一般的ですが、しかし入力信号と出力信号の間には原理的に解消出来ない時間遅れがあり、これがTIM歪等を発生するなど、負帰還アンプが音質的に満足出来ない大きな原因の一つになってます。
これに対しその負帰還をかけないノンフィードバック増幅回路は補正制御を行わないため、構成する部品と動作点の設定に高い精度が要求されコストがかかりますが、純粋に入力信号のみを増幅するため、音質面では鮮度感のある生き生きとして陰影表現にも長けているのが特長です。
EA-500 では、新規設計のV-I/I-V 変換型全段対称無帰還アンプで一度入力された信号を電流に変換しイコライザー処理をして電圧に戻し、たすき掛けのバッファーで出力しています。
豊富な入力切替機能
フロントパネルのスイッチで2系統のMCと1系統のMM、計3系統のフォノ入力をもち、うち二つのMC入力はそれぞれXLR バランスとRCA アンバランス入力とを備えています。
2系統のXLR バランス・入力を備えたMCカートリッジ入力
また統一RIAAイコライザーカーブ以前のモノラル盤を聴く際に、より合ったイコライザーカーブを選択出来るよう英DECCA,米COLUMBIAカーブも前面のスイッチで簡単に切替え可能です。
さらにローカット・フィルター・スイッチ(20Hz)で、反りのある盤の再生時にウーファーが揺すられるのを防ぐことが出来ます。
高音質部品の採用
1) フォノアンプの音質の影響度の高いRIAA素子には、定格容量にゆとりを持たせた1% グレードの金属皮膜抵抗と誘電体にシルバードマイカー板を用いたマイカーコンデンサー等の定評のある高音質部品を使用。
2) 信号系にはエルナー社のシルミック音質対応電解コンデンサーや1%グレードの金属皮膜抵抗を使用。
3) 電源回路には、スイッチングノイズが少なく、高音質で定評のあるローム社製SiC ダイオードを採用。
4) 電源の整流コンデンサーにはニチコン社製の低抵抗電極箔を使用した金メッキ端子の最高級オーディオグレードの大容量電解コンデンサーを採用。
またデカップリングコンデンサーはエルナー社のセラファインを採用。
5) 低雑音ツェナーダイオードを使用し、帰還回路を排除したシャントレギュレータの採用と相まって高速で極めてローノイズの電源回路を構成。
6) 電源トランスはR コアを用いた低リケージフラックスのトランスを「+」電源と「-」電源に各々専用に使用し、各々ブリッジ整流する事によりグラウンドの共通インピーダンスによる悪影響を排除。
店主おススメ。
入力: MM/ MC×2切り替え(フロント・パネルにスイッチ)、計3系統
入力感度: MM: 2.5mV、MC: 0.18mV
定格出力: 200mV(1kHz)
RIAAカーブ偏差: ±0.5dB (20〜20kHz)
入力インピーダンス: 47kΩ以下(MM), 1.5〜40Ω(MC)
消費電力: 12W
外形寸法/ 重量: W210×H103×D355mm/ 5.5kg(片ch)