販売価格は、どうぞご相談下さい。
Kirmuss Audio カーマスオーディオ社は2012 年にチャ―ルス・B・カーマス氏により設立、米国コロラド州デンヴァーに位置するオーディオメーカーです。
Charles B. Kirmuss, founder
大のアナログ・レコード好きのチャ―ルスにとって、初めてレコード洗浄マシンの効果を知ったときの衝撃は大きなものでした。ただ、同時に高価なそのマシンの価格も衝撃的でした。
これでは自分では買えない。でも自分の持つ技術を活かせば、もっと手頃な価格で高級機に負けない洗浄力をもつ製品を作ることが出来る、と考えたのです。
そしてターンテーブル・レストアのエキスパートであるエリック・ワトソン氏の協力のもと、3年の開発期間を経て今年発売されたのがこのKA-RC-1 です。
彼らはこれをレコード・クリーニングマシンとは呼びません。"Record Restoration System" と名付けています。つまり、単にきれいにするのではなく、レコード盤を本来のピュア―な姿に戻す、レストアするという意図をもって臨んでいるということです。
以下、少し詳しくご説明しましょう。
同時に複数のレコードの洗浄が可能
液体槽が大きいため、一度に複数のレコードを浸すことが出来ます。このメリットを最大限生かして、レコード回転駆動部には盤を収める挿入スロットを4ヶ所設けてあります(12インチLP2枚,10インチ盤1枚,EP盤1枚)。
水のみでも洗浄可能
以下の4種類の洗浄方法が用意されています;
(1)水による洗浄
ほとんどの場合、水道水で問題ありません。手軽さとランニングコストはピカイチです。
(2)精製水による洗浄
市販の精製水は不要な成分,不純物等の混入が皆無ですので、より徹底した洗浄が期待出来ます。標準としてはこれを推奨します。
(3)イソプロピル・アルコールの添加
頑固なカビの付着など汚れのひどい場合には、超音波だけでは取り切れない場合があります。その際には、上記の水道水や精製水に市販の100%イソプロピル・アルコールを少量30㎖ 加えることで洗浄力が高まり、頑固な汚れも取り除くことが出来ます。
(4)付属のクリーニング・スプレーとブラシを併用
それでも取り除けない汚れには、付属の特殊クリーニング・スプレーと山羊の毛の専用ブラシを使ってレコードの表面から汚れを浮かせ、再度、超音波洗浄を行います。
レコードのクリーニングに最適な超音波洗浄
カーマス・オーディオが研究に最も時間を費やしたのが、レコードの洗浄に最適な超音波の周波数と強さの決定でした。
液体に20kHz〜100kHz ほどの超音波振動が伝わると、液体中の気体成分(微細な気泡)が圧縮と膨張を繰り返します。これが短時間に多く繰り返されることで気体成分は圧力限界を迎えて破裂、この衝撃波が汚れを剥離させます。これが基本的な超音波洗浄の仕組みです。
超音波による洗浄を見ていると、激しい水流が発生したり、激しく気泡が発生したり、大きな音が出るわけでもありませんので、それほど大きな力が働いているとは見えませんが、実はさにあらず、意外と危険なのです。
これは私(店主)が以前経験したことですが、眼鏡を新調する際に、今まで使ってきた眼鏡をサービスで超音波洗浄してくれたのですが、1分ほどで洗浄槽から出したのを見てびっくり。
樹脂製のフレームの表面が真っ白になり、片方のつるにはひびが入って折れていました。これは加える超音波の強さや処理時間の過ちかと思われますが、眼鏡の洗浄のための装置で眼鏡をクリーニングするときでさえ使い方を誤るとこれですから、超音波洗浄の意外な危険に気付かされました。
超音波洗浄で「エロージョン」(Erosion)と呼ばれる現象があります。
洗浄の元である気体の破裂の作用で、アルミニウムなど比較的軟らかい素材の表面が侵食されてしまうのです。
スピーカーの音響現象で定在波というのはよく耳にしますが、液体中の超音波でも定在波は発生し、波の重なった山の部分では強い振動力が発生、この地点ではよりエロージョンの恐れが高くなります。
レコードの素材であるビニールは非常に柔らかい素材です。数十年を経ているヴィンテージ盤はさらにデリケート。上記のようなことを考えると、レコード洗浄に合った超音波の周波数と大きさの設定・管理の重要性を理解頂けると思います。工業用の超音波洗浄機の流用などは大きな危険をはらんでいると言わざるを得ません。
KA-RC-1 は比較的低い周波数を採用し、安全性を重視しています。
完璧なクリーニングの仕上げに
洗浄槽から揚げて、まだ水分の着いているレコード盤に最後の仕上げを施します。
乾燥にはバキューム式,ドライヤー式などの方法を採るマシンもありますが、カーマスは最も単純な手仕上げが最良であると考えます。新しいきれいなクロス(arte 製不織布、付属)を使って拭い上げることが、最後に完璧に汚れを取り去り、素早く乾燥させるのに最も有効ということです。ちょっとした手間はかかりますが、大切なレコードの手入れにこれくらいの手間を惜しんではいけません。結局は近道なのですから。
メンテナンス性の良さ
いかに素晴らしいクリーニング・マシンでも、長く使っていると内部には汚れが溜まっていきます。ここで大切なのがメンテナンス性です。
KS-RC-1 はとてもシンプルな構造で、洗浄槽のフタとなるトップパネル(レコードを回転させる駆動系も一体化)は持ち上げるだけで取り外しが可能です。
これを外すとタンク全体が現れますので、水で洗うのも、布で拭くのも容易です。
洗浄後、6ℓの汚れた液体の排出は本体右手前のコックをひねるだけ。日本専用ヴァージョンでは、誤ってコックを回してしまっても水がこぼれないように、ホース用のキャップを用意しました。
連続運転で温度が規定より高くなった場合はシャットダウンする安全機能も付いています。
[オプション:12インチLP3枚用ドライヴ ACC]
ご要望の声の多かった30cmLPを一度に3枚(+7インチ1枚)洗浄出来るレコード回転ドライヴがオプションで発売されました。
付属のドライヴ(12インチ2枚)の代わりにこちらを使うだけの手軽さ。10インチ盤を洗うときには付属のドライヴを使います。
ACC 12インチLP3枚+7インチEP1枚用ドライヴ 65,000 円(税別)
*KA-RC-1 購入時にこの12インチ3枚用を付属させることは出来ません。
オプション: ACC
外形寸法/ 重量: W545×D320×H280mm(突起部含む/ 9.4 kg