オーディオテクニカの上級MC型カートリッジが一新されました。
製品型番のART というのはAudio-Technica Reference Transducer の略称で、オーディオテクニカ製品の中でも特別なモデルにのみ使用されています。
AT-ART9XA は今までのAT-ART7 の後継機。型番最後のAはAir Coil、つまり空芯コイルを表しています。
AT-ART7 は元々オーディオテクニカ50周年記念モデル AT50ANV をベースに改良を施したカートリッジで、その純粋で繊細この上ない再生で新しい境地を開いた意欲作でした。
ただ如何せんコイルが空芯の為発電効率が悪く、0.12mV という出力は昇圧トランスやフォノアンプにも少々重荷で、使いこなしの難しいところはありました。
今回AT-ART9XA への改良はその出力アップに主眼が置かれました。
アーマチュア(コイル巻き枠)の設計見直しにより発電コイルの断面積を約20%アップ、インピーダンスを上げることなく0.2mV の出力電圧を獲得しています。
● デュアル・ムーヴィングコイル方式
オーディオテクニカ独自の逆V字型に配置されたデュアル・ムーヴィングコイル方式により、高セパレーション,ワイドレスポンスを実現。
基本的な磁気回路はAT-ART7 を踏襲、強力なネオジミウム・マグネットとパーメンジュール・ヨークでコイルギャップ部の集中磁界を最大限に強化しています。
● 針先はシバタ針、ソリッドボロンのカンチレバーを採用。
無垢シバタ針
その他、
● 発電コイルにはPCOCC 線を使用。
● 振動系や磁気回路を支持するアルミ削り出しベースに、アルミニウムハウジングと高剛性樹脂を組み合わせたボディを採用。効果的に不要振動を排除。
● カートリッジ側アルミボディに固定用ネジ(M2.6)が切ってありますので、ヘッドシェルの上からビスで留めるだけで確実に固定が出来て楽です。ヘッドシェル一体型アームを搭載する多くの海外プレーヤーにも取り付け易くなりました。
発電方式: MC型
出力: 0.2mV (1kHz、5cm/sec)
周波数特性: 20〜50,000Hz
インピーダンス: 12Ω(1kHz)
負荷インピーダンス: 100Ω 以上(ヘッドアンプ接続時)
チャンネルセパレーション: 30dB(1kHz)
チャンネルバランス: 0.5dB(1kHz)
コンプライアンス: 20×10-6cm/dyne(スタティック)、10×10-6cm/dyne(ダイナミック、100Hz)
適正針圧: 1.6〜2.0g(1.8g 標準)
スタイラス形状: 無垢シバタ針、2.7×0.26mil
カンチレバー材質: Φ0.28mm ソリッドボロン
重量: 8.6g