Phasemation フェーズメーションの強みのひとつは高度な巻線技術で優れたカスタム・トランスを内製出来る点。
これが最もストレートに活かされるのがMC昇圧トランスです。
T-550 は、MCカートリッジのバランス伝送の重要性を訴え火付け役となったT-500 の後継機です。
2019 年に発売し数々の賞を受賞した上級機T-1000 で培ったトランス取付構造、磁束制御技術等を踏襲、大幅な改良を果たしました。
自社開発の特殊分割巻線構造
巻線構造に、従来ハンドメイドでなければ難しいとされていた自社開発の特殊分割巻線構造を量産モデルで実現。
0.2mm 厚の78%パーマロイ材による大型EIコアに低損失 極太銅線を巻き上げることにより、広帯域で優れた位相特性を実現しています。
これにより高い低域リニアリティと高効率昇圧(低損失)という優れた特性を達成して可聴帯域内の位相歪が減少、より明確な音像定位が得られています。
T-1000 のデザインを踏襲した強靭なシャーシ構造
シャーシは上級機T-1000 の片側(モノラル分)そのもの。
フロントパネルは10mm 厚アルミスラントパネル、1.2mm 厚の銅メッキ鋼板シャーシベース、1.6mm 厚の銅メッキ鋼板カバーで構成された強靭な筐体構造を採用し、組立にはステンレス製の非磁性体ネジを使用、剛性の確保と磁気歪の低減を目指しました。
トランス自体はハイダンピングラバー材で本体からフローティングされ、外部振動が伝播するのを防いでいます。
電気的にも、トランス付近に磁気シールド材を配置することにより、外部誘導ハムと磁気歪の低減を図りました。
バランス伝送対応の入力部
MCカートリッジの発電は、コイルの両端に逆位相の信号が流れるバランス(プッシュプル)動作をしています。
従ってバランス伝送で送って次にくる昇圧トランスでバランス型入力で受けるのは元々当然ともいえます。
下記、図1は2芯シールド線によるバランス型フォノケーブルを使用して接続した配線の原理図です。
カートリッジのコイル部とトランスのコイル部までがプッシュプルの平衡型で伝送され、シールドがそれを包み込む形になるため、外来ノイズの影響を遮断出来る状態になっています。
また、トランス入力部の中点と出力部のマイナス側を繋ぐことにより、カートリッジ側から見れば完全バランス接続(2番ピン・ホット)になります。
図2は、一般的なMC昇圧トランスとアンバランス型のフォノケーブルで接続した場合です。
外部シールドと信号線というアンバランス接続のため、シールド側が外来ノイズにさらされますので、ノイズの影響を受け易いだけでなく、信号線にもその影響が入り込んでしまいます。
店主おススメ。
周波数特性: 10〜50kHz(±2dB)
負荷インピーダンス: 47kΩ
チャンネルセパレーション: 90dB以上
昇圧比: 26dB
入力インピーダンス: 1.5〜40Ω
外形寸法/ 重量: W174×H90×D173mm/ 2.1kg