ロンドンに拠を構えるVERTERE ヴァルテレは、主宰者であるトラジ・モグハダム(Touraj Moghaddam、かつて英ロクサン社で優れたアナログ・プレーヤーを開発)が自らが理想とするアナログ再生を具現化するために設立したブランドです。
モグハダム氏がヴァルテレで満を持して発表したのが超ハイエンド・アナログ・プレーヤーRG-1 でした(予価1,650万円)。
さて、ではフォノイコはというと以外にも多くの方がターゲットとするジャストミートな価格帯のPhono-1。日本上陸にあたってはちょうどモデルチェンジしたばかりの次世代機、Phono-1 Mk2 からの導入となりました。
では、まずは売れ筋の手軽なモデルからか?というと決してそうではなく、カートリッジとの整合調節機能や木目細かいアース接続方法の選択など、長年アナログ・オーディオに関わってきたモグハダム氏ならではの内容が惜しみなく投入されており、シンプルにやりたいことをやって仕上げた結果こうなった、というのに近いのでなないでしょうか。
VERTERE Phono-1 MK2 は、同価格帯におけるフォノステージの基準を塗り替えるトラジ渾身のフォノアンプなのです。
カートリッジ入力負荷の切替え機能
ボトムパネルにあるディップスイッチにより、組み合わせによって左右チャンネル毎に15種類の抵抗値(レジスタンス)と9種類のキャパシタンス(静電容量)を設定出来ます。
ゲイン設定
同じくボトムパネルに設けられたもうひとつのディップスイッチ(上の写真、右下)により、10種類以上のゲイン設定が可能。
充実したグラウンド・アース接続方法
いくつものプレーヤーやフォノイコを組み合わせてきた方なら必ず経験されているはずですが、あの憎むべき「ブーン」音、所謂ハムノイズ。
プレーヤー,フォノイコ,ケーブル類,プリアンプ等々、様々な要因で引き起こされますが、これはまずアースケーブルの繋ぎ方を様々に試しながら対処します。
その際、フォノイコ側のアース接続方法としては、ほとんどの機種でアース端子に繋ぐ以外ないでしょう。多くはこれでほぼ解消しますが、それでもハムノイズが残る場合は、それが最も小さくなるよう、アースの接続方法を変えながら試していきます。
多くのフォノイコでのアース端子は、シャーシ筐体の金属部分に接続されたシャーシ・アースとなっています。
Phono-1 Mk2 ではこのアース端子が明確に区別されており(下の写真参照)、シャーシ・グラウンドとシグナル・グラウンドが個別に用意されています。
前者がメインのシャーシ・アースですが、これとは別に信号回路のグラウンドというものがあり、ほとんどはこれとシャーシ・グラウンドとは回路上切り離されています。
ただこれも場合によっては両者を繋いだほうがハムノイズが少なくなるケースもありますが、ユーザー側でそれを試すことは困難です。
Phono-1 Mk2 ではこれに対しても万全の対応で、背面の切替えスイッチでシャーシ・アースと音声信号アースとを3段階、「ハード・グラウンド」(両者を接続)、「グラウンド・リフト」(切り離す)、「ソフト・グラウンド」(間に抵抗等を挿入して接続)で接続することが可能です。
アース接続に対してここまでの対応を見せるものは、ハイエンドモデルまで見回してもほとんど見当たらない、いかにもモグハダム氏の経験値の生きたところと言えるでしょう。
金メッキ基盤の採用
メインフォノ回路と電源回路に高品質な金メッキ基板を採用。
フォノアンプ回路の徹底したシールディング
フォノアンプのメイン回路部分をステンレス・カバーでシールド、さらにフォノアンプ基盤と電源回路基盤との間にシールド板を設けて、徹底したノイズ低減を図っています。
入力: RCA PIN ×1
出力: RCA PIN ×1
入力感度: MM 2.2mV
定格出力: 14V(Max)
周波数特性: 20〜20kHz(±0.2dB)
負荷インピーダンス: 47kΩ(MM)/ 78〜47KΩ(MC)、14ステップ
負荷キャパシタンス: 100pF or 470pF(MM)/ 100pF〜1.02μF(MC)、9ステップ
全高調波歪率(THD): 0.03% 以下
SN比: 78dB 以上(A-weighted)
ゲイン: 40.2dB〜62.8dB、14ステップ
外形寸法/ 重量: W210×H55×D235mm(スイッチ類,脚部含む)/ 約2kg