身近な価格で国産クオリティの本格派プレーヤーを、という難題に挑んだ意欲作、LUXMAN PD-151 は2018年に発売されて以来好評を博してきましたが、トーンアーム供給中止により生産中止せざるを得なかったのは、まだまだロングセラーを続けるはずだっただけに大変残念でした。
これはもちろんメーカーも同じ思いで、すぐに次世代機の開発に取り掛かったものの、現在、十分な性能を備えたトーンアームを限られたコストの中で開発するというのは至難の業(ほぼ不可能に近い)で、あらゆる可能性を探って既に数年かかっていました。
今回ようやく完成をみたアームは、既にダブルナイフエッジ・トーンアームWE-4700 でアーム復帰を果たしたSAEC との共同開発によるLTA-309。
トータルでは基本、オリジナルのPD-151 を踏襲しながら一部改良を加えての登場となりました。
新開発ナイフエッジ軸受け採用のトーンアーム搭載
SAEC のナイフエッジ技術を採⽤したスタティックバランス型トーンアーム LTA-309 を新たに搭載(ナイフエッジは垂直軸受に採用)。垂直・水平とも初動感度は大幅に改善されました。
アルミ材削り出しによるアームベース部は、接地面積をビスによる固定部のみの最小限とすることで、剛性を確保しながら不要な振動を抑制。
また、針圧の直読,アンチスケーティング機構,高さ調整機能など、必要十分な調整機能を使い勝手よく備えています。
適合カートリッジ自重:4〜10g(付属ヘッドシェル込み17〜23g)
オリジナル・ブラシレスDCモーター
上級機であったPD-171 に採用したAC モーターは大型で駆動回路も大規模、そして何より大変高価なため、PD-151 には別に用意する必要がありました。
国内外で良質なDC モーターを探しましたが、アナログ・プレーヤーで要求される低速回転での回転精度,静粛性を満たすものが皆無で、専用設計で一から起こすと数億円(!!)のコストがかかるとの試算が出て、四面楚歌。一時開発は棚上げ状態となりましたが、医療機器に使われているモーターをベースにして使えるものが見つかり、開発を再開。ラックスマンの仕様に合わせてオリジナル開発されたDC ブラシレスモーターが完成しました。PD-151 Mk2 でもこのキーパーツは引き続き採用しています。
サイン波 PWM・PID モーター制御回路
独自開発ブラシレスDC モーターの駆動には新規で回路の開発も必要となりましたが、通常方形波(矩形波)の多相交流で駆動するところをサイン波で駆動する新回路を開発、滑らかで正確無比な回転を実現しました。
※ PID 回転数制御
「Proportional:比例演算」目標回転数への素早い制御,「Integral:積分演算」微少誤差を吸収する制御,「Differential:微分演算」急速な変動に対する制御、これらを高度に融合した回転制御。
3種類の回転数切り替え
上級機PD-171A にも無かった機能として78 回転にも対応。
これは新規採用のDC モーターが大きなトルクを有するため可能となりました。
フロントパネルに回転数ごとに独立して用意されたボリュームにより、回転数偏差インジケーター(LED)を見ながら、正確に微調整することが可能です。
重量級プラッターと高剛性スピンドル
極厚のアルミの塊から高精度で削り出し、美しい輝きを放つダイヤモンドカッティングを施した4.0kg の重量級プラッターを採用。
プラッターを支えるスピンドル部は、下端にボールベアリングを採用した16mm 径の高硬度ステンレス製のスピンドルシャフトによる高剛性仕様。
耐熱性や耐摩耗性に優れたPEEK 材で受けとめるスラスト軸受と、高荷重時に優れた潤滑性を保つ有機モリブデンオイルを充填した真鍮製ラジアル軸受を組み合わせたベアリング構造でプラッターの重量を支えます。
独自のアンダースラング構造
トップパネルは10mm 厚のアルミプレートで、これをメインデッキとして主要パーツを吊り下げる構造を採用。
吊り下げられるモーターと電源トランスの固定は制振ゴムを介してフローティングされています。
ダストカバーは別売りのオプションとなります。
駆動方式: ベルトドライブ
回転数: 33 1/3,45,78 RPM (スイッチ切替え式)
モーター形式: ブラシレスDC モーター
ワウ&フラッター: 0.04%以下 (WRMS)
プラッター: アルミ合金削り出し、4kg
トーンアーム: スタティックバランス・ユニヴァーサル・トーンアーム
材質: 5W
外形寸法/ 重量: W465×D393×H133mm(プラッター上面まで)/ 15.8kg
付属品: トーンアーム・ケーブル
特記事項: アクリル製ダストカバーはオプション、別売り