本格フォノイコライザーアンプの入り口として好評を博してきたEA-300 をブラッシュアップ、後継機として開発されたのがEA-320 です。
上級機を踏襲したパネルデザイン
フロントは10mm厚スラントアルミパネルで上級機EA-550,EA-350 のパネルデザインを踏襲。
シャーシベース,カバーに1.2mm厚鋼板を使用し、フロントパネルと相まって強靭な筐体構造を実現しています。
フットには外部振動を遮断する重量級金属インシュレーターを採用しています。
オールディスクリート構成,V-I/I-V 変換型全段対称無帰還増幅回路
通常ほとんどのアンプ回路は適度なネガティヴ・フィードバック(NF,負帰還)をかけて効率良く動作を制御,安定化させ、各特性の向上を図るのが一般的ですが、しかし入力信号と出力信号の間には原理的に不可避な時間遅れがあり、これがTIM 歪等を発生するなど、負帰還アンプが音質的に満足出来ない大きな原因のひとつになってます。
これに対しその負帰還をかけないノンフィードバック増幅回路は補正制御を行わないため、構成する部品と動作点の設定に高い精度が要求されコストがかかりますが、純粋に入力信号のみを増幅するため、音質面では鮮度感のある生き生きとして陰影表現にも長けているのが特長です。
3種類の再生カーブ切替スイッチを搭載
イコライザー特性は従来のSTEREO 用RIAA カーブに加え、モノラル専用の特性としてMono1 (DECCAレーベル等で使用)、Mono2(コロムビアレーベル等で使用) を装備。
さらにローカット・フィルター・スイッチで、反りのある盤の再生時にウーファーが揺すられるのを防ぐことが出来ます。
イコライザー補正回路にはCR 型を採用。
2系統の入力端子を装備し、各々MM/MC の切り替えが可能
消磁回路の搭載
Input でデガウスを選び、30秒程度レコードを再生することで帯磁していた鉄心入りMCカートリッジは消磁され音質がクリアーになります。
高音質部品の採用
信号系の要所要所にはエルナー社のシルミック・オーディオグレード電解コンデンサーや1%グレードの金属皮膜抵抗を使用。
フォノアンプの音質に影響度の高いRIAA 素子には、定格容量にゆとりを持たせた1%グレードの金属皮膜抵抗と、誘電体にシルバードマイカー板を用いたマイカーコンデンサー等、定評のある高音質部品を使用しています(PLAYBACK CURVE、STEREO 選択時)。
電源回路には、スイッチングノイズが少なく、高音質で定評のあるローム社製SiC ダイオードを採用。
整流コンデンサーにはニチコン社製の低抵抗電極箔を使用した金メッキ端子の最高級オーディオグレード大容量電解コンデンサーを採用。
またデカップリング・コンデンサーはエルナー社製シルミックIIを採用。
低雑音ツェナーダイオードを使用し、帰還回廊を排除したシャントレギュレーターの採用と相まって高速で極めてローノイズの電子回路を構成しています。
電源トランスは新開発の大容量Rコアを用いた低リケージフラックス・タイプを使用。
回路形式: V-I/ I-V 変換型、全段対称無帰還
入力: MM/ MC 切り替え(フロント・パネルにスイッチ)
入力感度: MM: 2.5mV、MC: 0.13mV
定格出力: 200mV(1kHz)
ゲイン: 38dB(MM), 64dB(MC)
RIAAカーブ偏差: ±0.5dB(20〜20kHz)
入力インピーダンス: 47kΩ(MM), 470Ω(MC)
消費電力: 13W
外形寸法/ 重量: W286×H93×D252mm/ 3.9kg