[CD-R盤]
ブルックナー/交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック」(改定版)
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
クナッパーツブッシュ最晩年のライブ。歌劇を除けば生涯最後の演奏会となったもので、ウィーン・フィル定期演奏会における録音。
アメリカ人コレクター所有テープからのディスク化。当録音は従来から様々なレーベルでCD発売されているにもかかわらず、現状では放送局由来の正規音源によるディスクが未発売という状況にある。収録を行ったであろうオーストリア放送協会(ORF)自体が紛失などにより音源を所有していないか、所有する音源に何らかの不備があるのかも知れない。ちなみに第1楽章冒頭でホルンのミスがあるが、正規音源が未発表の理由とは考えられない。
当音源は、提供者からの情報によるとアメリカ国内におけるラジオ放送のエアチェックとのこと。この情報を信用すれば、欧米の放送局間における交換音源としてORF 由来の音源をアメリカのラジオ局が放送し、当時のリスナーが録音したものと思われるが、意外に良好。ことさらに優秀音質というわけではないが、大きな破綻がなくノイズも少なくて安定した音質といえる。
ディスク化に当たっては、ややハイ上がりのバランスのためイコライジングで調整し、弱音がヒスノイズに埋もれがちだったため、音質を損ねない範囲でノイズを若干低減、放送のために強音にリミッターがかかっていたため、ダイナミックレンジをわずかに広げる処理を行った。結果的にストレスなく十分に音楽を鑑賞出来る音質となった。なお、前記のホルンのミスは微細なものであり修正していない。
ウィーン・フィルの定期演奏会は公開ゲネプロ1日、本演1日の2回公演だが、当ディスクに聴く本演4月12日は午前11時開演のマチネーで(夜は歌劇公演を担当するウィーン・フィルならではの伝統)、プログラムは、ブラームス「ハイドン変奏曲」とブルックナーというもので、「ハイドン変奏曲」の録音も残っている可能性がある。
クナッパーツブッシュは当時76歳、椅子に座っての指揮だったと思われるが、演奏自体に特に衰えは感じず、若干遅めのテンポで、クナッパーツブッシュによるブルックナーの完成形を聴くことが出来る。
当演奏会後は、6月にミュンヘン(バイエルン国立歌劇場)で「ウィンザーの陽気な女房」を1回、7月にもミュンヘンで「フィデリオ」を1回、さらに7月から8月にかけてバイロイトで「パルシファル」を4回指揮している(これが生涯最後の指揮)。
ウィーン・フィルとは例によって細かいリハーサルは行っていないと思われるが、指示を入れたオリジナルのパート譜を楽員に事前に配り、それを深く理解させることでリハーサル不足を補い、クナッパーツブッシュ独自の演奏を実現したと言われている。ベテラン揃いのウィーン・フィルの楽員だからこそ可能だったとも言えるが、ゼロベースからリハーサルを進めていくよりも却って合理的な練習方法かも知れない。ちなみに近年ではスクロヴァチェフスキーが同様のスタイルを採っていた。
クナッパーツブッシュが初めてウィーン・フィルを指揮したのは、1929年8月のザルツブルク音楽祭で41歳の時。最近の若手スター指揮者に比べるとかなり遅いウィーン・フィル・デビューだったことになる。またウィーン・フィルとブルックナーの交響曲第4番を初めて指揮したのは1934年11月で、クナッパーツブッシュにとっても交響曲第4番の初指揮だったという。
その後は1939年12月,1941年2月,1944年1月,1948年9月,1954年10月と、1964年を含めて7回ほどの演奏機会があった(複数回公演を含むので実際は10数回)。意外に少ないように思われるが、そもそもウィーン・フィルのメンバーは国立歌劇場管弦楽団としての演奏活動が優先され、ウィーン・フィルとしては年10回程度の定期演奏会と夏のザルツブルク音楽祭、それに当時はそれほど多くはなかったツアーに限られており、その点を考慮すると決して少なくない回数といえる。
クナッパーツブッシュは、当ディスク以外にブルックナーの交響曲第4番を、1955年英デッカにウィーン・フィルとスタジオ録音したほか、1944年、ベルリン・フィルとのライブ録音が残っている。
※総合カタログは下記を参照下さい:
https://www.ne.jp/asahi/classical/disc/index2.html
*【ご注意】
当商品はCD-R盤です。CD-Rは通常の音楽CDとは記録方法が異なり、直射日光が当たる場所、高温・多湿の場所で保管すると再生出来なくなる恐れがあります。
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レーベル: ORGANUM
品番: 110101AL
Stereo/Mono: Mono
録音: '64.4.12、ムジークフェライン大ホール(ウィーン)、ライヴ録音