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[CD-R] PREMIERE シェルヘン&トロント響 '65年ライヴ/ブルックナー 交響曲第2番

販売価格: 1,900円(税別)

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[CD-R盤]
 
ブルックナー/交響曲第2番 ハ短調(改訂版)
 
ヘルマン・シェルヘン指揮 トロント交響楽団
 
シェルヘンとトロント響によるブルックナー交響曲第2番。
1965年12月14日、トロント・マッセイ・ホールでのライヴ録音。
アメリカ人コレクターの提供音源で、ラジオ放送のエアチェックと思われるが、年代が新しいため音質は良好。但し、オリジナルの音源はモノラルのFM放送をステレオ・レコーダーで録音したらしく、左右トラック個別にドロップアウトやノイズが入っており、低域過剰で高域不足というバランスの悪さもあった。また放送局側の問題だが、第1・2楽章と第3・4楽章を別のレコーダーで録音したらしく、第3・4楽章の音量が大きく、しかも第3楽章冒頭はレベル・オーバー気味、第4楽章コーダの強奏は録音レベルを下げ、レベル・オーバーを防いでいるという問題があった。
ディスク化に当たっては、左右トラックのドロップアウトやノイズ部分をそれぞれ問題が無いトラックと差し替え、1・2楽章と3・4楽章の音量レベルを調整。第4楽章コーダの強奏を復元、イコライジングにより周波数バランスを調整する等の作業を行った結果、モノラルながら鑑賞する上で不満の無い状態とすることが出来た。
 
ヘルマン・シェルヘンは、古くから米ウェストミンスター・レーベルに大量の録音を行う一方、スイスの自宅に音楽スタジオを開設し、現代作品の研究や実験を行ったこと、多くの優秀な弟子を育てたことが主な経歴として語られてきたが、日本では、1988年に仏ハルモニア・ムンディがフランス国立放送管とのマーラー交響曲第5番のライヴ録音をCD化、また1990年にルガーノ・スイス・イタリア語放送管と放送用に録音したベートーヴェンの交響曲全曲がCD化されると、いずれも恐るべき個性的な演奏で一躍注目されることとなった。

シェルヘンは、若い頃はベルリン・フィルなどでヴィオラ奏者として活動、ラトヴィアのリガやケーニヒスベルクの歌劇場で修行を重ねるなど、ドイツの伝統的な指揮者のキャリアを積んでいた。しかし1933年のナチス政権成立後、シェルヘン自身はユダヤ系ではなかったが、ナチスを嫌ってスイスに拠点を移し、ヴィンタートゥール管やベロミュンスター管などの指揮者を歴任するも、当初はドイツ国籍であったこと、シェルヘン自身の権威主義的性格が災いし、オーケストラ・メンバーと良い関係を築けなかったこともあり短期間で辞任。1950年以降はフリーランスとして活動した。
セルやライナー,ロジンスキー,若い頃のマルケヴィッチなど、優れた指揮者であってもオーケストラ・メンバーと良好な関係を築けない人物は多いが、かつてはオーケストラの経営側(理事会など)や聴衆などの支持があれば、オーケストラ・メンバーとの関係が険悪でも指揮者としてのポストは維持出来たから、シェルヘンの実力をもってすれば一定ランク以上のオーケストラの常任指揮者を任されても不思議ではなかったと思われる。
ただ、シェルヘンの活動を見ると、1916年にリガ歌劇場の契約が終わり、ドイツに戻ると、1920年代初頭にはグロトリアン・シュタインヴェーグ・オーケストラ(ギーゼキングが愛用したというピアノ・メーカーがスポンサーか)を育成、1930年代初頭に「ムジカ・ビバ」オーケストラを設立するなど、ゼロから音楽を作り上げることを好んだようだ。
前述のヴィンタートゥール管もセミプロとアマチュアの音楽家で構成されていたが、この団体を短期間で夏期のポップス・オーケストラから、新しい音楽祭に出演したり、最近の難曲を初演出来るオーケストラに育て上げたという。この辺りにシェルヘンは教育者としての喜びを見出していたのかも知れず、既に完成されたオーケストラと長く付き合う気はなかったのだろう。同様にシェルヘンが現代音楽を紹介することは、聴衆にとってもオーケストラにとっても教育的であったと言える。
 
因みに資料の出典は不明だが、フルトヴェングラー亡き後、ベルリン・フィルの後任指揮者候補の一人にシェルヘンが挙げられていたという。フルトヴェングラーが第二次世界大戦後に演奏活動を禁止された時期、ベルリン・フィルの暫定的首席指揮者を務めたボルヒャルトの師匠がシェルヘンだったという関係かも知れない。もちろん最有力候補はカラヤンであり、シェルヘンが後任となる可能性は限りなく低かったと思われるが、仮にシェルヘン/ベルリン・フィルのコンビが誕生していたら、ベルリン・フィルは、ロスバウトが指揮する南西ドイツ放送響と双璧をなす、現代音楽の実験場となっていたかも知れず大変興味深い。
 
当ディスクに聴くブルックナーの交響曲第2番は、現在確認されているシェルヘン唯一のブルックナー録音である。
ブルックナーは現代音楽ではないが、当時の北米ではポピュラーとは言えず、しかも初期作品はほとんど演奏機会がなかったと思われる。トロントのオーケストラも聴衆もほとんど初体験の場となっただろうから、シェルヘンの求めていた理想と合致する。
交響曲第2番はハース版が1938年に、より原典に忠実なノヴァーク版が当録音年の1965年に出版されていたが、トロント響では改訂版のパート譜しか用意出来なかったようだ。それでもブルックナーの初期作品に見られる荒削りな前衛性は、トロント響のメンバーや聴衆には刺激的だったろう。
因みにシェルヘンは、当演奏の約8ヶ月前の4月にもトロント響に客演してマーラーの交響曲第7番を演奏しており、こちらも挑戦的な公演だったと思われる。なお、シェルヘンが客演した1965年12月は、小澤征爾が首席指揮者に就任した直後に当たる。
 
当ディスクの演奏は、伝統的・一般的なブルックナー演奏とは一線を画すもので、同年1月から3月にかけて行ったルガーノ・スイス・イタリア語放送管とのベートーヴェンの交響曲全曲演奏と同様、表現主義的というかマーラーやシェーンベルクの目を通したブルックナー演奏とも言うべきもの。こんな演奏はブルックナーではないという意見が出てもおかしくないが、ブルックナー初期作品の特徴を、円熟した後期作品的なオブラートに包まず、むき出しに表現した点に意義があると言える。
 
上記のように、シェルヘンはブルックナーの交響曲第2番のスタジオ録音を残さず、当ディスクが現在確認されている唯一の録音である。
 
 
※総合カタログは下記を参照下さい:
https://www.ne.jp/asahi/classical/disc/index2.html
 
*【ご注意】
当商品はCD-R盤です。CD-Rは通常の音楽CDとは記録方法が異なり、直射日光が当たる場所、高温・多湿の場所で保管すると再生出来なくなる恐れがあります。
また、CD・DVD・SACD再生兼用のユニバーサルプレーヤーや、1990年代以前製造の旧型CDプレーヤーなどでは再生出来ない場合がありますが、メーカーや機種の異なるプレーヤーでは再生出来ることもありますので、複数のプレーヤーをお持ちの場合はお試し下さい。

レーベル: PREMIERE
品番: 60125DF
Stereo/Mono: Mono
録音: '65.12.14、トロント・マッセイ・ホール、ライヴ録音

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