かつてアナログ全盛期、GLANZ グランツというフォノカートリッジがありました。生産していたのはミタチ音響製作所。グランツというのはその自社ブランドで、トーンアームやフォノカートリッジのOEM 開発も広く行っていました。
2003年に同社は解散しますが、GLANZ ブランドを引き継いで新たに開発・製造を行ってきたのがミタチ音響で開発を担ってきた濱田政孝氏です。長年培ってきた技術・経験を活かし自らの理想を追求、新たなトーンアーム開発を行っています。
現在、国内でトーンアームを一から開発・製造出来るのは極僅かのメーカーに限られています。なかでもグランツはかつてのアナログ全盛期からの経験・実績を直接受け継いでいる唯一のメーカーとして大変貴重な存在です。
トーンアームのSタイプはグランツを代表する製品群。世界最高峰のユニヴァーサル・トーンアームと言える逸品です。
9,10,12インチの3仕様が用意されていて、12インチ・タイプがMH-1200S。
吟味したステンレス材をふんだんに使用、剛性が高く重量のある素材を活かして、まず不要振動を極力発生しにくい設計とし、加えて適所にダンパー材を使用して不要共振を素早く減衰させています。
ガタなどとは無縁、ハンドメイドによる極めて高い精度で組み上げられた「THE GLANZ」は、一切の無駄とぜい肉を排したシンプル&ビューティーの極致。濱田氏の思想がそのまま形になっています。
ユーザーが望むならインサイドフォースキャンセラーやアームリフターまで外すことが出来る徹底ぶりです。
超高感度ベアリング
特に縦軸方向の下部ベアリングは、高精度のスラストベアリングを採用し、重いアームが高感度に動作出来る支柱構造を与えて、トレース能力を極限まで高めました。
アームパイプの構造
各部品の接合部は、接着剤を極力避けて、ぴたりと面接触するように設計しています。特にベアリング受けの組立には細心の注意を払い、慎重な組み上げが行われています。
ウェイト部の構造
4重ダンパー構造とし、(1)(2)(3)(4)の異なる材質のダンパー材を使用、広い周波数帯域にわたって振動を吸収出来る構造としています。ゴム材(1)は、長いビスで堅固に支えられており、経年変化で垂れる不安を解消しました。
"Simple is the best" をモットーに、インサイドフォースキャンセラー,アームレスト,アームリフターなどの取り外しが簡単に出来る構造としました(右側の写真はインサイドフォースキャンセラー,アームレスト,アームリフターを取り外した状態です)。
M2 の皿ビス4本を取り外して使用してみて下さい。よりクリアな音質となります。
アームレストは別売りの単体品を利用します。
濱田氏自身による詳細な設計思想の解説がありますので、是非参考にご覧下さい↓
http://glanz.tech/j/wp/wp-content/uploads/2018/10/S_GUIDE_J.pdf
設置距離: 290mm
有効長: 305mm
全長: 330mm
オーバーハング: 15mm
高さ調整範囲(アームパイプ中心まで): 41〜70mm
取付け穴径: Φ30mm
取付け部厚さ: 〜20mm
適合カートリッジ重量(ヘッドシェル含む): 16〜43g
付属ヘッドシェル重量: 12g(リードワイヤー,ビス含む)
オフセットアングル: 20°
重量: 1.14kg