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[CD-R] ORGANUM ジャニーヌ・アンドラード, スタジオ・ライヴ/ シベリウス&サン=サーンス ヴァイオリン協奏曲

販売価格: 1,900円(税別)

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[CD-R盤]
 
シベリウス/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 OP.47
サン=サーンス/ヴァイオリン協奏曲第3番 ロ短調 OP.61 [STEREO] *
 
ジャニーヌ・アンドラード(ヴァイオリン)
アンドレ・ジラール指揮 フランス国立放送管弦楽団
*ジョルジュ・ツィピーヌ指揮 フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団
 
ジャニーヌ・アンドラードによる聴衆を入れずに行われた放送スタジオ・ライブ録音。
音源は英国人コレクターからの提供。2曲とも音質良好で、エアチェックではなく放送局保存音源の良質なコピーと思われる。
シベリウスについては、モノラルながら1962年の平均を上回る音質。オンマイク過ぎて残響がほとんどないというフランス国立放送(RTF)録音の欠点もなく、適度な距離のマイクセッティングで違和感のないもの。シャープで解像度の高い録音はシベリウスの作品に適している。ソロ・ヴァイオリンをクローズアップした昔ながらの録音スタイルだが、それほど極端ではなく、オーケストラとのバランスも許容範囲。
1966年のサン=サーンスはステレオ録音。シベリウスと同一傾向の録音スタイルだが、ステレオ化されたことで余裕が生まれ、色のパレットが増えたイメージでサン=サーンス作品にふさわしい録音スタイル。但しモノラルよりもマイクセッティングが難しいためか、ソロ・ヴァイオリンとオーケストラのバランスが若干悪い箇所もある。これは微細に粗探しを行った結果であり、いずれにしても一般的な鑑賞には問題ないと思われる。
ディスク化に当たっては、大きく手を加えることはなく、ドロップ・アウトやポップ・ノイズの除去、ヒスノイズの若干の低減、周波数帯域の拡大、周波数バランスの微調整等、基本的な「クリーニング」のみ行った。
 
ジャニーヌ・アンドラードについて、少なくとも日本国内における評価は、パリ音楽院でジュール・ブーシェリに師事した一連の女流ヴァイオリニスト(ジャンヌ・ゴーティエ、ドゥニーズ・ソリアーノ、ローラ・ボベスコ、ジネット・ヌヴー、ミシェル・オークレール)の中では地味な存在で、レコーディングも少なく、また、その少ない録音を聞く限り、技術的にもやや弱いという評価があった。
従来入手が容易だった録音は、廉価盤LPとして発売されたブラームスとチャイコフスキーの協奏曲(米MGM レコードが、恐らく予算の制約から十分な事前準備やリハーサルを行う余裕もなく短時間で録音したものの、同社がレコード事業から撤退したため未発売となり、同社のプロデューサーだったポール・ラザールが音源を買い取り、様々なマイナーレーベルからLP発売された)、十数年前にCD化されたチェコ・スプラフォン録音の小品集、これも同じ頃にCD化された旧東独エテルナ録音のモーツァルトの協奏曲程度で、いずれもアンドラードの本来の姿を伝えるものではなかったようだ。
稀少な録音としては、デンマーク盤のみ存在すると言われる独デッカ録音(実際の録音はフィンランドのMusiikki-Fazer 社、独デッカは提携販売のみ)のシベリウスのヴァイオリン協奏曲があるが、こちらも多くの名盤に伍するような存在ではないと言われている。
これらレコードにおける低評価は、おそらく準備不足や共演者に恵まれなかったことが原因であるようにも思われるが、ここで興味深いのは、録音がすべてフランス以外のレーベルであること(ドイツで評価が高かったと言われる)。また、協奏曲が大半で小品集を除けば室内楽がないこと。実演に接する機会が少なく(アンドラードは1954年に一度だけ来日しているが)、録音のみで評価される日本では、自国フランス作品の録音もなく、また契約レコード会社が固定せず、散発的に廉価盤のLPやCDが発売される状況では、評価以前の状況だったかも知れない。
 
アンドラードの評価が改まったのは、近年になってライヴや放送録音が海外レーベルによってCD復刻され始めたことが大きい。ベートーヴェンやフランク、フォーレなどのソナタに聴く、しなやかではありつつも、安定した技術に支えられた確固たる演奏は、従来のアンドラードのイメージを変えることとなった。
当ディスクのシベリウスに聴くようなスケールが大きく充実した演奏も、女流という先入観を打ち消すものであり、技術的な弱さも感じさせない。
サン=サーンスは曲想や録音のせいもあって、若干従来のアンドラード像に近いが、それでも余分な情緒を排した客観的で緻密な演奏は、まぎれもなく一流の演奏家だったことを示している。但し残念なことに、円熟期の1972年に54歳で脳卒中に襲われて右半身が麻痺し、引退を余儀なくされたため、その演奏芸術の完成を見ることは出来なかった。アンドラードはヨーロッパのみならず南米や南アフリカなど、幅広く演奏活動を行っており、今後も録音の発掘を期待したい。
 
シベリウスを指揮しているアンドレ・ジラール(1913〜1987)は日本ではなじみが薄いが、パリ交響楽団(モントゥーが常任だったが経営難で解散した)やパリ音楽院管弦楽団のヴァイオリニスト出身で、第二次世界大戦後フランス各地のバレエ団,モロッコ放送,ボルドー歌劇場などの指揮者のポストを経て、1950年代後半からRTF 所属のオーケストラ4団体の指揮者陣に加わった。シベリウスの録音はその当時のものである。
1964年から1974年までRTF 室内管弦楽団を指揮、1976年から1978年までロワール・フィルの音楽監督を務めた。地味なキャリアの指揮者で、現場たたき上げの手堅い職人というイメージだが、シベリウスでは積極的にアンドラードをサポートしており、有能な指揮者だったことが想像される。
一方のジョルジュ・ツィピーヌ(1907〜1987)は、フランス系作品に親しんだベテランのレコード愛好家にはなじみ深い名前。仏EMI コロンビアを中心にフランス近代の作品や6人組、特にオネゲルの録音が多く、初演も数多く出がけたようだが、実はパリ生まれのユダヤ系ロシア人で本名はジョルジュ・サムイロヴィチ・ツィピンと言い、国際都市パリならではと言えよう。サン=サーンス録音当時はレコーディングも一段落し、RTF の仕事が多かったようだ。
なお、フランス国立放送フィルはRTF 所属の4オーケストラのうちの第2オケ。当時はRTF 傘下のラジオ・フランスが管理・運営しており、RTF 直属のフランス国立放送管とは微妙に運営主体が異なる(現在は両者ともラジオ・フランスが運営している)。
 
アンドラードは、当ディスク以外に前記のようにシベリウスのヴァイオリン協奏曲を1959年フィンランドMusiikki-Fazer にスタジオ録音していた。サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番は、当ディスクが現在確認されている唯一の録音と思われる。
 
 
※総合カタログは下記を参照下さい:
https://www.ne.jp/asahi/classical/disc/index2.html
 
*【ご注意】
当商品はCD-R盤です。CD-Rは通常の音楽CDとは記録方法が異なり、直射日光が当たる場所、高温・多湿の場所で保管すると再生出来なくなる恐れがあります。
また、CD・DVD・SACD再生兼用のユニバーサルプレーヤーや、1990年代以前製造の旧型CDプレーヤーなどでは再生出来ない場合がありますが、メーカーや機種の異なるプレーヤーでは再生出来ることもありますので、複数のプレーヤーをお持ちの場合はお試し下さい。

レーベル: ORGANUM
レコード番号: 110118AL
Stereo/Mono: Mono, Stereo
録音: '62.2.24, '66.7.6、パリ・メゾン・ド・ラジオ・フランス(RTF)

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