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[CD-R] ORGANUM エディット・パイネマン, ウィーン芸術週間ライヴ/プフィッツナー ヴァイオリン協奏曲(カイルベルト)ほか

販売価格: 1,900円(税別)

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[CD-R盤]
 
プフィッツナー/ヴァイオリン協奏曲 ロ短調 OP.34
ブラームス/ヴァイオリン,チェロと管弦楽のための二重協奏曲 イ短調 OP.102 *
 
エディット・パイネマン(Vn)
ヨゼフ・カイルベルト指揮 バンベルク交響楽団
*エンリコ・マイナルディ(Vc)
ハンス・ミュラー=クライ指揮 シュツットガルト放送交響楽団
 
近年再評価の気運が高まっているエディット・パイネマンによるキャリア初期のコンサート/放送スタジオ・ライヴ。
ドイツ在住のロシア人コレクターからの提供音源で、オリジナルは、プフィッツナーは恐らくオーストリア放送のエアチェック録音。ブラームスは(南ドイツ?)放送局保管音源のコピーと思われる。
両者とも基本的には無難で良好な音質だが、プフィッツナーはややくすんだ印象でナローレンジ、若干歪みやヒス・ノイズもあり、支障なく音楽を楽しめるレベルまでには達していなかった。
一方、ブラームスはプフィッツナーに比べると年代も新しく、録音条件の良い放送スタジオ録音のため安定した音質だが、こちらはダイナミック・レンジが広すぎ、オーケストラに比べて独奏楽器の音が小さ過ぎるという問題があった。
 
ディスク化に当たっては、プフィッツナーは、FM放送の周波数上限15kHzからCDの上限20kHz程度まで周波数レンジを拡大、イコライジング等により高域(独奏ヴァイオリンの音域)を中心にバランスを調整、ソフトウェア等により音質を損ねない範囲でノイズを低減、歪みを解消した。
また、ブラームスは家庭内での鑑賞に支障がないレベルまでダイナミックレンジを若干圧縮、独奏楽器を強調する操作を行った。結果として、プフィッツナーは、独奏ヴァイオリンの音に艶が出て、細部の表現も明確化、オーケストラも充実した響きとなり、演奏全体の存在感が増した。ブラームスも独奏楽器とオーケストラの音量バランスが適正となり、いずれも十分鑑賞に堪える音質へと改善された。
 
1959年録音のプフィッツナーは、同年のウィーン芸術週間におけるライヴ。
パイネマンは、カイルベルトが首席指揮者を務めていたバンベルク響演奏会のソリストとして出演、当時22歳で1956年ARD(ドイツ公共放送連盟)主催ミュンヘン国際コンクールで受賞(当時は入賞順位はなく彼女のみが受賞)後の間もない時期。
プフィッツナーの熱心な紹介者だったカイルベルトのアドバイスを受け、ドイツ国内でもほとんど忘れられていたヴァイオリン協奏曲に取り組んでおり、当ディスクの演奏はその初期の例である。とはいうものの、すでに立派な演奏で作品を十全に自らのものとしており、他の録音、例えば同じドイツの先輩格ラウテンバッハーの米ヴォックス録音よりも魅力的な作品として聴こえる(ラウテンバッハーの名誉のために付言すれば、ヴォックス録音は膨大な「知られざるヴァイオリン協奏曲」LPシリーズの一曲で、十分な準備もないまま一挙にまとめて録音された可能性が高い)。
また楽器について、当時はチェコ近郊クリンゲンタールにあったフィエカー、あるいは1720年頃のロンドン・ダニエル・パーカー製ヴァイオリンを使っており、後年ジョージ・セルの尽力によって入手したグァルネリのような「凄み」のある音色ではないが十分に美しい。
 
パイネマンはその後も度々プフィッツナーの協奏曲を取り上げ、1962年にロスバウトと共演した放送録音が近年ディスク化されたが、やはりカイルベルトとの共演は特別な意味を持つ。
因みにこの時の演奏会は、前半がヒンデミットの「弦楽と金管のための協奏音楽“ボストン交響楽団”」、続けてプフィッツナー、休憩を挟んで後半がレーガーの「モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ」という、かなり渋いドイツ・プログラム。このような中では、パイネマンのヴァイオリン独奏は、ひときわ鮮やかに聴こえたに違いない。なお、コンツェルトハウス内の会場ノイズはほぼ皆無で静か。
 
一方のブラームスは、聴衆を入れずに行われた放送のための録音。
チェロはベテランの名手マイナルディで、若いパイネマンはチェロを引き立てつつ、マイナルディの深い音楽性や表現を吸収しながら演奏しているように思える。指揮は長年シュツットガルト放送響の首席指揮者を務めたハンス・ミュラー=クライ。さすがに手堅くまとめているが、仮に同放送響の常連指揮者だったシューリヒトが共演していたら、即興的なとてつもない名演か、打ち合わせ不足で不完全燃焼に終わったのではなどと想像すると興味深い。
 
パイネマンは、その才能を見込んだジョージ・セルが後見役として、楽器の購入や有名オーケストラへの招聘など様々に関与し、レコーディングについても、レコード会社と安易に契約せず慎重に判断するようにアドバイスしたという。セルは、若い演奏家が作品への理解が足りないままポピュラー名曲を次々と録音させられ、次第に評価を下げていく有様を多く見てきたのだろう。
結果としてパイネマンは、正式なレコーディングとしては、独グラモフォンにデビュー盤的意味合いでドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲とラヴェルのツィガーヌ。後年マイナー・レーベルにブラームスのソナタや、スーク、バルトーク、ブロッホの小品を録音したほか、レーガーやヨーゼフ・マルティン・クラウスなど地味な作曲家の録音を残したのみとなった。
 
パイネマンは、実際の演奏会では依頼されたポピュラーな作品を演奏する一方、レコーディングでは価値はあるものの埋もれた作品の録音を望んだようで、数多くの名手が録音を残している有名作品をわざわざ録音する意味を見出せなかったのだろう。スターを目指す演奏家であれば、自らを売り込むセールス・ツールとしてレコーディングは重要である。パイネマンは北米などへの海外ツアーを繰り返し、さらに来日公演も行っており、スター演奏家的な演奏活動を行ったものの、単に聴衆を喜ばすだけのエンターテイナーになるにはいささか知的すぎたようだ。
レコーディングについても、レコード会社を儲けさせて機嫌を取るつもりはなかったらしく、おそらく当ディスクに聴くプフィッツナー作品について録音を希望したと思われるが、大きなセールスが期待できないと考えるレコード会社と意見が合わず実現しなかった可能性が高い。
 
以上のように、エディト・パイネマンはプフィッツナーのヴァイオリン協奏曲のスタジオ録音を残さず、当ディスク以外には1962年にライブ録音していた。またブラームスの二重協奏曲もスタジオ録音を残さず、当ディスクが現在確認されている唯一の録音である。
 
 
※総合カタログは下記を参照下さい:
https://www.ne.jp/asahi/classical/disc/index2.html
 
*【ご注意】
当商品はCD-R盤です。CD-Rは通常の音楽CDとは記録方法が異なり、直射日光が当たる場所、高温・多湿の場所で保管すると再生出来なくなる恐れがあります。
また、CD・DVD・SACD再生兼用のユニバーサルプレーヤーや、1990年代以前製造の旧型CDプレーヤーなどでは再生出来ない場合がありますが、メーカーや機種の異なるプレーヤーでは再生出来ることもありますので、複数のプレーヤーをお持ちの場合はお試し下さい。

レーベル: ORGANUM
レコード番号: 110132AL
Stereo/Mono: Mono
録音: '59.6.14, ウィーン・コンツェルトハウス、'63.12.6, シュツットガルト・リーダーハレ

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