Bo Christensen
PRIMARE を率いていたボー・クリステンセン氏が新たに興したデンマークのメーカー、BOW TECHNOLOGIES ボウ・テクノロジーズの記念すべき処女作で、かつ最も人気を博したモデルです(発売当時価格520,000円)。
クリステンセンとその設計チームは当初、大好きな真空管を使ってアンプを開発しようと考えていましたが、その後、半導体による真空管回路を範としたアンプ設計のアイデアに移行していきます。
やがてプロトタイプが完成しましたが、これが後にZZ-one として世に出ることになります。
真空管アンプのように切り詰めた構成要素で最大のパフォーマンスを発揮するよう意図された回路は、わずか7つの能動素子から構成されています。
また音楽の命を大切にする要件として、オーバーオールでのフィードバックはゼロとされています。
徹底したデュアル・モノ・デザインはリアパネルにも表れています。電源スイッチとインレット以外、端子が線対称に並んでいるのがお判りでしょう。
比較的小型であるにもかかわらず、持ってみると驚くほど重量のあるボディ。その両端の特徴的なヒートシンクはアルミ無垢の塊から削り出されます。
堅牢無比な筐体は、ZZ-one の揺るぎない音を支える役目も担っています。
そして何といっても最大の魅力は、優秀なインダストリアル・デザイナーであるクリステンセンが生み出した唯一無二の外観デザイン。これこそ北欧デザインの粋というべき作品でしょう。
75W/chという出力は数値上は決して大きなものではありませんが、ちょうど真空管アンプがそうであるように実際の駆動力は数値以上の力を感じさせるところに、その回路のルーツを思い起こさせます。
そのサウンドは、鮮度が高くゴリッとしたソリッド感を伴い、かつ上品で滑らかな質感をも湛え、明らかに北欧ハイエンドのそれでありながら、内に熱いソウルを秘めているのです。
通常はノーマルゲイン設定で聴きますが、クラシックのCDでたまにあるような、録音レベルの低いソフトの場合は、2つのノブの間に3個並ぶプッシュスイッチの真ん中を押すとゲインが上がり、ヴォリュームの位置を適切なところへ移すことが出来ます。
ワンオーナー品で現状、動作良好、外観には気になるようなキズもありません。2つの金色のノブはまだ充分輝きがありますが、少しくすみが出ています。