米国AR のステレオ・パワーアンプ Limited Model 200(発売時価格 850,000円)、実販売歴の無い、当店展示デモ用に使っていたものです。ソリッドステートらしからぬ温度感あるサウンドと、大げさでないサイズによるハンドリングの良さで気に入っています。
アコースティック・サスペンション方式で名高いAcoustic Recearch、すなわちAR の発表したAR-3 は、ブックシェルフ・スピーカーという新時代のアメリカン・サウンドの先駆けとなりました。
その後も数多くのスピーカーを生み出しながら、アナログ・プレーヤーのAR Turntable でもヒットを飛ばし、'90年代には独創的なハイエンド・スピーカー Model 3 を含む、限定生産シリーズのプロジェクトがスタートします。これにはスピーカ―だけでなくエレクトロニクスも含まれており、プリアンプ Model 2,パワーアンプ Model 200,さらにスペクトラル・イコライザー Model 6 がラインナップされました。
この特別プロジェクトには当時の「ドリームチーム」(最近、ハイエンドでよく耳にするフレーズですね)が結成されて開発にあたりました。全体の監修にはマーク・レヴィンソン、プロダクト・マネージャーは、マランツでも活躍し、伝説の名FMチューナー SEQUERRA Model 1 で有名なデイ・セクエラ(Day Sequerra)が担当しました。
とくにマーク・レヴィンソンのテイストは色濃く反映されており、当時主宰していたCello との類似点が見られます。
例えばスピーカーの Model 3 は当時マークが理想としていたプラナー型スピーカーの感触をダイナミック型で実現すべく、中高域は、ウーファーのみを収めた低域エンクロージュアとは別に設けたスリムなプレートにDYNAUDIO製最高級ソフトドーム・ドライバーを搭載した独創的構成ですし、スペクトラル・イコライザー Model 6 はCello のAudio Palette と同じく6バンドの周波数ポイントをもち、プリとパワーアンプについても、シンプルでプレーンなフロントパネル・デザインはもとより、入力セレクターに固定抵抗切り替え型の多接点型高品位アッテネーターの使用や、完全バランス型回路の採用などからも、マーク・レヴィンソン・プロデュースであることがうかがわれます。
Limited Model 200 は、デイ・セクエラによりハイレゾリューション,ハイバイアス,AB級の完全バランス型ステレオ・パワーアンプとして設計されました。
初期段階よりグラウンディングには細心の注意が払われ、メインアース経路には通常の接点部や配線部に比べて多くの機械加工による銅製パーツが使われています。
出力段は5パラレル・プッシュプル構成とし、左右で20個の厳選されたメタルキャンタイプ・パワートランジスタを使用しています。
また、リアパネルの出力切り替えスイッチにより、通常のステレオ出力の他に、パラレルステレオ出力(バイアンプ結線時に有効),ブリッジモノ出力への切り替えが可能です。
展示用ですので、気になるキズ等は無く、とても良好な状態です。
もちろん当時の国内輸入元、JENSEN JAPAN INC の正規輸入品で、元箱と取説(本国版)が付きます。