レコードから音を拾うフォノカートリッジに於いて我が国は世界屈指の技術・ノウハウを誇りますが、その中でも最高峰と目されるのがMy Sonic Lab マイソニック・ラボの製品群です。
フォノ・カートリッジ界のレジェンドの一人、松平吉男氏の生み出す作品はどれもがカートリッジの至宝ともいえるものです。
松平氏がかねてから繰り返し力説してきたモットー、「Source(信号源)インピーダンスは低く・出力エネルギーは高く・・!」こそが信号源に於ける交流理論の根幹であり、広ダイナミックレンジを得る基本であるとの思想から、更なる低インピーダンスの追求を重ね、少巻線・高出力という相反する難題にチャレンジしながら完成したのがUltra Eminent Bc です。
その内部インピーダンス、何と0.6Ω! これは究極の数値で、マイソニックの現ラインナップ中最小であるのみならず、世界で最も低インピーダンスなカートリッジでしょう。
本来、少巻き線はインダクタンスの低下・出力電圧の低下につながりますが、巻き線(コイル)につき物の位相の乱れを大幅に改善して分解能の向上に繋がるメリットがあります。
しかし、出力エネルギー(高出力)も重要です。
そのための条件を後押しするのがコア材の磁気特性であり、飽和磁束密度(BS)と初透磁率(μi)の高さが重要な「カギ」を握る理由がここにあるのです。
これまでの低インピーダンス型MCカートリッジでは、高出力を得るために強力マグネットや新素材部品を導入しても思うような効果が得られず、結果的にはコイルの巻き数に頼ることになって、内部抵抗は5Ω〜6Ωと上昇せざるを得ません。
しかし、当然のことながら巻き線の増加によって内部損失の増加と位相のズレ「遅相」の拡大は不可避となります。
Ultra Eminent BC では、こうした問題点を解決するために、新開発の超Hi-BS/超Hi-μi のコア材「SH-μX」を導入し、ネオジウム#50という強力マグネットを導入しながら、磁気飽和を起こすことなく、内部抵抗0.6Ω:出力電圧0.3mV という、他に類例を見ない高効率のエネルギー出力を実現したのです。
この特殊なコア材はマイソニック独自のもので、従ってこの0.6Ω/0.3mV という「記録」は、まず簡単に破られることはないでしょう。