AIR TIGHT エアータイトは元ラックス(現ラックスマン)にいた三浦篤氏が、同じくラックスで設計を担当していた石黒まさみ氏と1986年に創業(A&M Limited)、真空管アンプ専業メーカーとして既に長い実績を誇り、世界的評価を確固たるものとしています。
当初から真空管アンプ一筋を目指していたので、真空管の「気密性」ということでブランド名はAIR TIGHT となりました。
Atsusi Miura, founder
日本国内の専用工場でハンドメイドにて生産されます
1999年にエアータイト初となる300B 真空管によるパワーアンプ ATM-300 を、2016年には創業30周年記念モデルとして大幅な刷新を行ったATM-300 Anniversary を数量限定で発売、このたびそれをさらに磨きをかけて細部の見直しを図り、恒久的供給を視野に入れたリファレンスモデルとして発売となったのがATM-300R です(出力管300B は別売り)。
- 出力トランスの1次側からかけるフィードバックの採用
基本、オリジナルATM-300 の回路構成を踏襲、A級シングル増幅となっていますが、前作Anniversary から設計者の交代を機にひとつ大きな回路変更を断行。
中でも注目すべき新機軸が盛り込まれました。
3極管シングル増幅というとノンNFB(ネガティヴフィードバック=負帰還)とすることがほとんどですが、エアータイトは敢えて適正なフィードバックをかける回路を選択しました。
但し、通常は出力トランスの2次側からフィードバックをかけるところを、トランスの1次側からかけるという回路に挑戦したのです。
出力トランスの1次側からのフィードバックは2次側からのそれよりも残留ノイズや歪率等で不利な点が多く、要するにフィードバックをかけるメリットを得にくいため、通常は採用しづらい方法です。
しかし、この1次側からのフィードバックは、NFBのデメリットとされる、きれいだが音の勢い,エネルギー感,生々しさに欠けるといった現象を軽減出来る、つまりノンフィードバックとフィードバック、両方の良いとこ取りが期待出来るわけです。
但し、言うは易く行うは難し、困難な中で裸特性を極限まで上げるべく、各パーツの新規設計、高価な高性能部品を惜しみなく採用するなど、予想以上の困難を経ての完成となりました。
- 最高水準の高品位パーツを惜しみなく投入
電源部の電解コンデンサーからカップリングのフィルムコンデンサー、巻線抵抗に至るまで、現時点で望みうる最良のものを選びました。
また、電源トランスやチョークコイルはプラスティックボビンを一切使わない手作業による層間巻トランスを採用。職人の手で一個一個丁寧に巻き上げ、ニスを真空含浸させた上で焼き固める昔ながらの製法で、不要な振動や唸りを最小限に抑えています。
- プリント基板を使わない完全手配線組み立て
エアータイト・アンプに一貫する特徴ですが、通常のプリント基板を使わず、抵抗やコンデンサーを配線ポストを使って取り付ける基板には優れた電気的特性を持つ純銅製のサブシャーシ基板を使用、電源部を含む信号経路には熟練工のハンダ付けによる手配線を行っています。
- 出力管300B の保護、整流ノイズ対策の観点から、電源部には整流管5U4GB を採用。さらに整流管のスロースターター回路も装備。
- メインシャーシは、鋼板を丹念に曲げて溶着したモノコック仕様。
また、表面にネジが露出しない上に電気的な導通が確実に取れる電気溶着スタットボルトを採用しています。