Wilhelm Franz (1913-71)
EMT はヴィルヘルム・フランツ氏により1940 年にベルリンで創設。彼は1913年、ドイツ・ブレーメン生まれで、ベルリンで計測器の設計と販売からキャリアをスタートさせました。
EMT はElektromesstechnik(独)= Electrical Measuring Technology、すなわち「電気測定技術」という少々お堅い名称の頭文字から取られています。
右の赤いロゴマークをご覧下さい。上向きの矢印は測定器のメーターの指針を、ロゴを囲む楕円形はコイルを表しているのです。
2009年にはあのターレス・トーンアームで有名なミッハ・フーバ氏のサポートを得て、精密加工技術が飛躍的に向上、2014年には、約45年間ドイツの拠点マールベルクで開発を行ってきたチームが引退したのを機に、カートリッジの拠点はフーバ氏の会社HiFiction AG のあるスイスのヴィンタートゥール近郊の村、トゥルベンタールに段階的に移転することになりました。
現在はこのスイスの次世代チームが長年のノウハウはもちろん、機材や治具も継承して開発・製造を続けています。
EMT Manufactory(HiFiction AG)
EMT のカートリッジといえば、ごつい四角の先端にレンズの付いたヘッドシェルと一体になったプロ用 TSD15 シリーズが有名ですが、1992年に、その技術を受け継いでコンシューマー向けに開発されたHSD6 が発表されました。
次いで2006年には「Jubilee シリーズ」としてJSD5,JSD6 が発売されますが、HSD 006 はそのラインの最新モデルです。
型番の006 は針先が音溝に接する部分の曲率半径、6ミクロンを表わしています。
- 針先形状はスーパー・ファインライン(SFL)、カンチレバーは硬質アルミニウム
- 出力1mV の高性能発電系
EMT 独自の高性能な発電系は、MC型ならではの低い内部抵抗と、1mV(5cm/sec.1kHz)におよぶ高出力を矛盾なく両立させています。マグネットには貴重なアルニコを採用しています。
- 特殊アルミ合金ハウジング
伝統のTSD15 系の発電系を強固なアルミニウム製のハウジングに装着し、一般的なカートリッジと同様にヘッドシェルに着けて使えるよう汎用性を持たせた形状です。
上面にねじを切った穴(M2.5)が2個ありますので、ヘッドシェルへの装着はナットを使うことなく上からビス留めで行えます。
- 伝統の実測データ付
従来のスタジオカートリッジと同じ業務用基準で、すべてのHSD 006 はひとつひとつ厳密に調整され、測定データ付で出荷されます。
1:アルミニウム製ハウジング
2:アルニコ・マグネット
3:ポールピース(ニッケル皮膜)
4:コネクター(金メッキ)
5:ダイアモンド・スタイラス(SFL = Super FIne Line)
6:アルミニウム製カンチレバー
7:発電ユニット(コイル巻枠&コイル)
8:ダンパー