"King of Analog"との異名も持つ ティム・デ・パラヴィチーニはレコーディング・スタジオでのアナログ・レコード制作にも関わりが深く、高音質アナログ・レコードとして世界的に有名なMOBILE FIDELITY でも彼のカスタマイズした機材が使われています。
そんなところからもフォノ・ステージは彼の得意分野であることがうかがわれます。
そしてフォノ・アンプには切っても切れないキーパーツ、MCカートリッジ用昇圧トランスの製作において一家言持つのは自他共に認めるところ。
つまり、このコンパクトな箱の中にはティムの設計手腕のエッセンスがたっぷり詰まっているわけです。
今迄長い間変わらぬ好評を博してきたベストセラー、EAR 834P の初めての後継モデルとして発表されたのがPhonobox。834P は高いC/Pを誇り、最も身近なパラヴィチーニ・モデルとして人気を集めてきました。パラヴィチーニの言葉には説得力があります:
「良い設計の秘訣は一番高いパーツを使用することではなく、コストに見合った部品で、それ以上のクオリティーを持つ音楽を奏でられることだ。」
もしあなたが、アナログ・レコードで音楽を聴くのが何よりもお好きなら、真っ先に候補にして頂きたいのがこのEAR Phonobox です。
EAR Phonobox はRIAA イコライゼーションを有したハイゲイン・フォノプリアンプです。一般的なCDプレーヤー同様の出力レベルがあります。
出力が充分高く、ヴォリュームが付いていますので、レコードしか聴かないという方はこのモデルをプリアンプ代わりに使い、直接パワーアンプに繋ぐことで、極めてシンプルでストレートなアナログ・レコード専用システムとなります。
Phonobox には3本の13D16 双三極管が使用されています。管球式フォノ回路は、本質的にヴォリュームを上げていくと聴こえてくる「チューブ・ラッシュ」と呼ばれるヒスノイズを持っているために、ゲインがある程度限定されてきます。出力の高いMMカートリッジの場合はほとんど問題ありませんが、出力の低いMCカートリッジの場合はゲインが不足がちになります。そのため、音質クオリティーを妥協せずにゲインを確保するのは一筋縄ではいきません。
一般的に真空管を追加してゲインステージを増やすとノイズ問題が悪化します。この問題を解決するためにしばしば採用されるのが、トランジスタを入力段に使用して増幅してから真空管増幅段へ送りS/N比を改善する、所謂ハイブリッド型です。
もう1つは、出力の低いMCカートリッジで電流量を高くする方法です。この場合には、ノイズレベルを低く保ったまま、この電流を電圧ゲインに変換するための優秀なトランスフォーマーが必要不可欠になります。
EAR Phonobox にはパラヴィチーニがデザインした独自のトロイダルトランスが使用され、管球式フォノイコライザーとして極めて優秀な静寂性を実現しました。
今回のスマートかつモダンな外観デザインは、ティムの息子、ネヴィン・デ・パラヴィチーニが、CDプレーヤーAccute Classic に続いて手掛けました。
低いプロフィールが目を惹きますが、そのためには真空管の配置を横置きとしなくてはなりませんでした。
基本回路は834P を踏襲していますが、回路基板は完全に一新され、全く新しいモデルとして生まれ変わりました。
でも音のほうは…?? ご安心下さい、パラヴィチーニのアナログ・サウンドは不変です。
De-luxe はEAR 伝統の顔ともいうべきクロームメッキ仕上げ。このモダンなデザインが一層活きると言ってよいでしょう。
*内蔵のMC昇圧トランスの入力インピーダンスは40Ωが標準仕様です。
低インピーダンス仕様(5Ω)はオプション設定となり価格は異なります。
店主おススメ。