Phasemation フェーズメーションからMCカートリッジとMC昇圧トランスの消磁が簡単に出来るディマグネタイザー DG-100 が発売されます。
その名も「帯磁退治」。家庭用品にありそうな名称、いかにも効果ありそう!?
MCトランスや鉄心入りMCカートリッジは長年の使用と種々の原因により「帯磁」します。
帯磁すると磁気バイアスがかかり動作点がずれることで、再生される音楽信号に歪を生じさせて音質の劣化を招きます。本来の音質をとり戻すためには、この帯磁した磁気を取り除かなければなりません。
● 帯磁の仕組み
[ 鉄心入りMCカートリッジの帯磁 ]
鉄心入りMCカートリッジを長く使用していると、ヨークとマグネットで形成される磁気回路中に置かれている、コイルを巻いた磁性材の巻枠(鉄心)が磁化されてしまいます。
[ MC昇圧トランスの帯磁 ]
1次コイルにはMCカートリッジが接続され、2次コイルはフォノイコライザーアンプのMM入力に接続されます。
MCカートリッジでレコードを再生すると発電電圧 E1 により1次コイルに電流 I1 が流れてコア(鉄心)が磁化されます。その結果磁束φの流れが出来ます。
この磁束φは2次コイルにも流れ1次コイルの巻き数 N1 と2次コイルの巻き数 N2 の比で2次側に電圧が生じます。
一般的にトランスのコア材にはパーマロイが使用されます。
パーマロイは信号を「0」にすれば保磁力が理論的には「0」になるのですが、実際には「0」にはならず、わずかに帯磁されこれが残ってしまいます。
[ 消磁の仕組み ]
DG-100 は、MCトランスや鉄心入りMCカートリッジに440Hz のサイン波を図4のように約20秒間かけて指数関数的に減少させた信号を印加します。
つまり磁界を徐々に小さくしながら「0」に近づけることにより(図5、磁化曲線)、磁性材のコア及び巻枠を消磁します。
操作は簡単、DG-100 の「LINE OUT」をアナログプレーヤーの出力端子、またはMCトランスの入力端子に接続し、「POWER」ボタンで電源を入れて、「START」ボタンを押せば約20秒間で消磁が完了します。