CHUDEN (株)中電は1996年創業、一貫してフォノカートリッジの製造を行ってきた専業メーカー。相手先ブランドのOEMを中心に行ってきたため、今まで一般にその名前を知られることはありませんでした。
その前身は群馬県にあった中央電子工業(株)で、CD台頭によりフォノカートリッジ生産の中止が決まった際に、当時同社取締役だった樽屋 毅氏がそのカートリッジ生産業務を買い取って独立、新たに立ち上げたのが(株)中電です。
当時主力製品だったセラミックカートリッジ,MMカートリッジを現在も中心に生産、国内外の多くのプレーヤーメーカーへOEM提供をしており、今もOEM生産が8割ほどを占めています。
そして2018 年、次のステップとして自社ブランド「CHUDEN」を立ち上げ出荷を開始、とくにカートリッジについては、OEM向けとデザインは同じでも、調整を追込んでワンランク上を目指したものを自社ブランド商品として製品化しています。
中電のMMカートリッジはスタンダードな28シリーズが発売されていますが、今回、上級ヴァージョンとなる36シリーズ 2モデルが発売されました。
ただの上級機種ではなく、最近は少なくなってきたガッツのある、いかにもMMらしさに溢れたカートリッジを再現しようという明確な意図のもとに開発されました。
ここらへんは中電さん自身にその思い入れを語って頂きましょう:
「MMカートリッジに期待することってなにか?
解像度が高くフラットなF特だけど、おとなしいだけじゃMMカートリッジを選ぶ意味がないな、と。
このカートリッジ、今までのCHUDEN 製 MG-28 シリーズに比べて非常に高出力となっています。
カートリッジは出力が高ければいいというものではありませんが、やはり押し出しの強さは特出するものがあります。小出力のものをアンプのボリュームで大きくするのとは印象が全く違ったものがあります。
さて、高出力にするには磁気回路としてコイルの巻線数を大きくすればいいか?というとそういうわけではありません。巻線数を多くし過ぎると、中音域の高い部分がダレてしまいます。
従って磁気回路そのものの効率を上げなければなりません。
マグネット、カンチレバーでも変わりますし、ダンパーでも変わります。
今回、そもそもの磁気回路の持つポテンシャルを十分に引き出すことが出来たと思います。
丸針と、楕円針を作成しましたが、どちらも出力は最近のカートリッジでは最高出力の部類に入ります。
特に丸針の MG-3605 は、いわゆるグルーブ感と言いますか、ノリの良い音楽を聞かせてくれます。
楕円針の MG-3675 はちょっとだけ出力を落としていますが、それでも高出力の部類に入りますし、より細かい表情を表現してくれます。
カンチレバーはアルミ、マグネットはアルニコ、磁気回路のポールピースとヨークはパーマロイ、シールドケースももちろんパーマロイで磁気遮蔽。
MG-3675 は楕円針を採用し各部調整でMG-3605 に比べてより高域特性を伸ばすことに成功しました。
中低域のパンチ力を損なうことなく全体のバランスを取っているため、より繊細な音を表現できました。
最近のMMカートリッジに物足りなさを感じている方はもちろん、MC派の方にも是非お勧めします。」
さあ、どうですか? 試してみたくなった方も多いでしょう。
マグネットに高価なアルニコを奢るなど、結構な拘り。
MG-3675 は楕円針(接合)を採用、出力は7.5mV あります。
同社のヘッドシェルHC-001 に結線して取り付け済みのセット商品もございます(16,500円・税別)。