ラックスマンから新しいMCカートリッジが発売となります(3月下旬発売予定)。
ラックスマンは真空管アンプ・ラインと同期するように、アナログ・プレーヤーやフォノイコライザー・アンプの新製品を発売してきました。
アナログ関連の製品は絶やしてはならない同社のメインストリームひとつであると、自ら言い聞かせるかのように。
突然のように見えたMCカートリッジの発表も、実は2年に及ぶ地道な開発期間を経て形となったものです。
かつてラックスマンのラインナップにはMCカートリッジが存在していました。
1981年に発売されたLMC-1 と翌1982年発売のLMC-2。つまり、今回のLMC-5 は40年の時を経て発売される後継機ということになります。
40年の空白を埋めるためもあるでしょう、LMC-5 の開発に当たり、ラックスマンは改めて、レコードに刻まれた⾳楽信号を確実にトレースしピックアップするスタイラスとカンチレバー、その微細な動きを強固に⽀え、変形や鳴きを抑圧するボディ、そして伝わった振動をリニアに変換する発電エンジンなど、⾳楽信号の各伝送ステージを構成する主要パーツについて、材質とその構造を徹底的に⾒直しました。
試作と試聴を繰り返し、アンプを始めとする他のコンポーネントの開発作業と同⼀の⼿順を確実に踏むことで、新時代のラックスマンのフォノカートリッジとして自信をもって送り出せる製品の開発に漕ぎつけたのでした。
【振動系と発電系】
- 針先には情報量の多いシバタ針を採⽤。
- シバタ針と相性が良く素直な⾳⾊のアルミカンチレバーを採⽤。
- L/Rの発電コイルを対称に巻いた直巻⼗字型コイルで軽量化しチャンネル間の感度差を低減。
- 外来ノイズの⾶込みを減らす、ループ⾯積の小さい磁気回路構造。
- コイルは断線に強い範囲で最も細いΦ30μmのUEA(ポリウレタン・エナメル・ワイヤー)を採⽤し、かつ線材の⽅向性を固定化。
- 振動系の⽀点を明確にするピアノ線による⼀点⽀持⽅式を採⽤。
【ボディ構造】
- スタイラスユニットを⾳響的にマイクと等価であると捉えユニット周囲の共振と反射⾳を徹底的に抑制。
- スタイラスユニットの横にはカンチレバー保護の役割も果たす外壁を構成。
- 共振と反射⾳を減らすための逆卵型曲線を採⽤した構造壁。
- 軽量化と共振対策のため、ベースと必要最⼩限の外壁のみに削ぎ落とされたボディ構造。