HEGEL ヘーゲルはノルウェーの首都オスロを拠点とするメーカー。1997年にベント・ホルター氏(Bent Holter)により設立されました。彼は社長として今でも開発の陣頭指揮を執っています。
社名のHEGEL は、著名なドイツの哲学者ヘーゲルに由来しています。
Bent Holter, founder
1988年、トロンハイム工科大学の学生であったホルター氏は、従来の Hi-Fi システムの問題点を解決するために、アンプに使われるトランジスターのオリジナルデザインを論文のテーマに取り上げました。それは従来のHi-Fi システムの問題点解決に繋がるものでした。
最大の「敵」は歪でした。彼は、アンプに信号を入力するとその出力に余計なものが付加されるのを許せなかったのです。つまり電子機器による歪です。
通常、歪を抑えようとするとダンピングファクターを含むパラメーターの劣化が避けられません。
彼は古典的な回路からの脱却を目指し、現在ヘーゲルの代名詞として知られるSoundEngine テクノロジーの基礎となるプロジェクトをスタートさせました。
余暇を利用して彼はザ・ヘーゲル・バンドというメタルロック・バンドで演奏していました(社名の直接の由来が分かりましたね!)。
そのコンサートで使うアンプをベントが作っていましたが、それを改良していくには多くの資金が必要でした。そこで援助の手を差し伸べたのが通信業界最大手のテレノール社でした。
90年代初頭はブランド最初の興隆期でした。
彼らはまず、SoundEngine として知られる特許取得のソリューションを確立。
その後、DACの開発(1994)、CDプレーヤーの開発(1996)と続きます。
それからの8年間、ヘーゲルは着実に製品ジャンルを拡大、利益も増していきました。
金融危機が訪れると、多くの企業はコストカットによる引き締めを図りましたが、ヘーゲルは敢えて新しい設計者を招いてさらに先に踏み込む道を選んだのです。こうして全く新しいDACが生まれました。
現在、ヘーゲルはその基となったSoundEngine 以外に6つの技術ソリューションを有し、世界54か国に輸出されるメーカーへと発展しています。
フォノアンプはホルター氏が90年代に計画していたものの、他の製品の開発に手を取られて実現していなかった経緯もあり、ここに同社として初のフォノイコライザーアンプ、V10 が満を持しての発表となりました。
当初は比較的シンプルで安価な製品から始める予定でしたが、ホルター氏の思い入れは強く、いくつものアイデアが浮かんでプロジェクトはどんどん拡大していきました(と言っても、好きなだけやってこの価格付けは十分リーズナブルだと思いますが…)。
ホルター氏の言葉を借りれば、
「この素晴らしいアイデア、あの素晴らしいアイデアを取り入れないのは、余りにも辛い。納得のいくやり方で作れないなら、なぜわざわざ作る必要があるのだろうか。」
- シャーシは間に大きな「空間」を設けた2つのコンパートメントに分かれており、電源と増幅回路を物理的に分離しています。
- 最も重要な入力段では、MM,MCとも超低ノイズのディスクリートJFETトランジスタを使用しています。
低出力のMCカートリッジでは低ノイズは特に重要であり、そのために4個のJFET を並列使用することで、超低ノイズとカートリッジ・コイルへのバイアス電流の逆流も防いでいます。
- 次に入力信号は入力段同様にノイズフリーのゲインステージに送られます。MMとMCの両ゲインステージには、ノイズ低減のためにディスクリート・バイポーラ・トランジスタを用いた超低ノイズ電源を使用しています。
- MMカートリッジではキャパシタンス(静電容量)を47〜367pF の間で、MCカートリッジでは負荷インピーダンスを50〜550Ωの間で設定することが可能です(100Ωと300Ωはリアパネルのスイッチで切り替え、それ以外の値は内部の半固定抵抗で設定)。
- MM、MCともにゲインを5dB、10dB、12dB のいずれかに設定可能。
- サブソニック・フィルター装備。
- 電源部は低ノイズのアナログAC電源で、独立したハウジングに収めた(ACアダプター型)カスタム設計の大型EI コア・トランスを採用して本体から完全に分離。このトランスからは2系統の電源が出力され、左右独立の電源供給を行います。
- オートスタンバイ機能(調整可能)が電源の切り忘れを防止。