展示機入れ替えでの販売です。
展示機ですので状態は良好、ほとんど気になるキズ等はありません(天板にごく小さな擦れキズ)。
リクエストに応じてたまに使用するだけですので、稼働時間は極少。
取扱説明書、電源ケーブル、元箱が付属します。
Soulnote ソウルノートは、電子・電気機器企画,製造を専門とする技術集団(株)CSR のオーディオ・ブランドです。
同社のフォノステージアンプには以前、音の良いことで評判となったph1.0 というモデルがありましたが(50万円)、今回のE-1 はこのph1.0 の優れた基本回路を踏襲しながら、さらに細部を磨き上げて完成されました。
にもかかわらず、価格は半分以下の20万円としているのは通常では考えられません。記念シリーズだからこそでしょう。
もし今後モデルチェンジがあったとしたら、その時は相当価格を上げないと成り立たないでしょう。
上の内部写真をご覧下さい。
プリメインアンプと見紛うばかり、フルサイズボディの中にびっしりと中身が詰まっています。この価格帯でフルサイズのフォノイコの内部は基板と電源部以外、半分ほどのスペースが空いているのが普通で、これは写真が間違っているのではと思う方も多いはずです。
その中身にはもちろん意味があるのです。
設計者の加藤氏が自ら言うように、随所に「教科書から外れた」独自の設計がなされていて、価格帯を超えた興味深い内容が満載となっています。コスト管理担当からすると、さぞ頭の痛いところであったでしょう。
具体的にみていきましょう。
●完全バランス無帰還ディスクリート・フォノイコライザー
回路はディスクリートで組んだ無帰還(ノンフィードバック)の完全バランス構成となっています。
無帰還アンプの最大のメリットは、高域を無制限に伸ばせることで得られる優れた過渡応答性にあります。
RIAA イコライザー素子を電圧増幅回路の負荷に挿入することで、ゲインそのものがRIAA 特性となる独自の回路方式を採用しており、100kHz 以上に渡る全周波数帯域において均一なクオリティを獲得しています。
また、使用するCR パーツには1%精度のMELF 抵抗(円筒型のチップ抵抗)と2%精度のポリプロピレンフイルムコンデンサを新たに採用し、RIAA カーヴ特性には万全を期しています。
●バランス入力回路採用(MC入力時)
この価格帯で、今話題のMCカートリッジのバランス入力を備えているのは大きなメリットです。
リアパネルにオペレーション切り替えスイッチを設け、MCカートリッジのバランス入力用にXLR 端子を備えてあります。
もちろん出力もバランス対応ですので、XLR の2芯シールドケーブルによるバランス入力を行った場合、入力から出力まで完全バランスの無帰還フォノイコライザーアンプとなります。
●入力負荷インピーダンス切替えセレクター
MCカートリッジの場合はフロントパネルのノブにて、1KΩ,300Ω,100Ω,30Ω,10Ω,3Ωから選択可能です。
ユニヴァーサルアームで複数のカートリッジを交換して使う場合などには、とても便利ですね。
●バランス出力
スピーカーさえも駆動出来る(!)完全バランス無帰還バッファーアンプにより、強力なバランス出力を得ています。
動作して少し時間が経つとプリメインアンプ並みにトップパネルが温まってきますので、このことがよく分かります。
●大型トロイダル電源トランス&無帰還電源
プリメインアンプA-1 と同じ仕様(!)の260VA トロイダルトランスを投入。ファーストリカバリーダイオード&1000μF10並列のフィルターコンデンサ、ダーリントンリップルフィルター回路による無帰還電源という贅沢な仕様の電源部を誇ります。
一度E-1 を持ち上げてみて下さい。常軌を逸したとさえ言える重さに、トランスの大きさを実感して頂けるでしょう。
●ダイレクトメカニカルアース・コンストラクション
トランスの重心の直下にスパイクピンを直接マウントすることで、トランスの有害な振動は筐体全体に干渉せず、ダイレクトに筐体外に排除されます。
●金属製標準インシュレーター装備
E-1 から金属製フットを標準装備し、簡単に付け替え可能なスパイクフットが同梱されていますので、設置状況に応じて脚部を選択することが出来ます(写真は標準フット。スパイクはひとつ上の写真を参照下さい。全体は3点支持)。
●実は拘りの、トップパネル
黒いトップパネルは一見、何の変哲もない金属パネルで色もお世辞にも高級感があるとは見えず、さすがにここはコストダウンの跡が、と思うとさに非ず。
加藤氏に突っ込んでみたところ、もちろんここだけ手を抜くわけはなく、厚手の制振鋼鈑を使ったり防振材を貼り込んだりする検討は当然ながら検討されたのですが、音質を含めた最終の詰めで素のままのパネルにクルマに使われるのと同等の塗料で塗装し、一切制振処理を施さない結果に落ち着いたそうです。
この塗料は一般にオーディオ機器に使われるものに比べて硬質で、ここで微妙な制振効果をもたせているのです。
また、トップパネル上面にはプリメインアンプ並みの放熱スリットが、これでもかというように開いています。
フォノイコは消費電力も小さく、通常、放熱孔は不要ですが、E-1 の強力な出力アンプは結構な発熱があるため放熱が必要であるのと(上の1枚目の内部写真、リアパネル近く中央付近、8個もの放熱板が見えます)、同時に内部を極力閉塞空間にしない独特の設計手法の表れでもあるのです。