Sinobu Karaki, founder
Aurorasound オーロラサウンド は横浜に拠点を置くハンドメイド・アンプ工房。
主宰する唐木氏は28年間余り半導体メーカーの日本テキサスインスツルメンツに在籍、2012年にAurorasound を立ち上げました。
MM Expander と名付けられたこのユニットはフォノイコではありません。フォノステージアンプとMMカートリッジとの間のインピーダンスとキャパシタンスの整合を取ることでカートリッジの持つ本来の特性を活かそうというものです。
エキスパンダーというと何かを増強するようなイメージもありますが、そうではなく、カートリッジ本来の特徴を引き出そうというのが目的です。
一般的なフォノアンプのMM入力の負荷抵抗値(インピーダンス)はほとんどが47kΩに固定されており、また負荷容量値(キャパシタンス)も一定値に固定されています。
それに対してMMカートリッジは実は様々な特性をもっており、例えばヴィンテージのMMカートリッジやモノラルMMカートリッジ,高出力型MCカートリッジをそうしたフォノアンプに接続すると高域が強調されたり、音が暴れたりすることがあります。
そのような場合に、本機をカートリッジとフォノアンプのMM入力の間に挿入し、負荷抵抗や負荷容量を変化させてカートリッジの持つ本来の特徴を活かすのが狙いです。
*パネル上の負荷抵抗値を得るにはフォノステージアンプのMM入力インピーダンスが47kΩであることが必要です。
負荷抵抗値,負荷容量値の違いによる周波数特性の変化
各カートリッジにおける設定値の一例
その他の特徴
- MM入力を使う高出力MCカートリッジにも有効に働きます。
VM型,MI型,IM型にも有効です。
- MCカートリッジとMC昇圧トランスを使う場合にも負荷の変化が有効となり、インピーダンス整合により、より好ましい再生が可能です。
- ステレオカートリッジでモノラルLPを聴くとき、Mono ポジションにすると縦方向の振動をキャンセルし横方向の音楽信号だけを取り出します。
音がモノラルでもノイズだけがステレオになるのを防止し、ノイズの少ない再生を楽しむことが出来ます。
- MUTE 機能は針の上げ下げ時の大きなノイズを避け、快適なレコード再生を楽しめます。
- モノラルカートリッジの場合、ヘッドシェルやケーブルの配線でグランドループができてハムノイズを誘導する場合があり、そうした際にはGND-Lift 機能が有効です。
*ノイズの無い通常の場合はGND-Lift は使わないで下さい。片チャンネルからしか音が出ません。
- Degauss デガウス機能でMCトランスとMCカートリッジの両方を消磁させることが可能です。
MUTE ボタンを押したままでレコードを約1分再生して下さい。カートリッジが発生する電力で自身を消磁します。数ヶ月に1回行うと効果的です。
パッシヴ型ですのでやり過ぎてもカートリッジを痛めることはありません。
但しMMカートリッジには効きません。
- 精密測定機用高信頼性ロータリースイッチ採用、TAKMAN1% 級REY抵抗、 WIMAフィルムコンデンサ使用
- 各スイッチや抵抗,コンデンサー類は信号とグランドの間に並列に入り、信号経路には(直列に)入りませんので接点や素子挿入による音質の劣化はありません。
パッシヴ回路構成ですので電源は不要です。
- 47kΩ,+0pF のポジションで信号はスルーバイパスとなります。
MMカートリッジ,高出力MCカートリッジで使う場合
MCカートリッジと昇圧トランスを組み合わせて使う場合(トランスとフォノステージアンプとの間に挿入)