DENON デノンから待望の本格アナログ・プレーヤー DP-3000NE 発売。
モデル品番を見てピンときた方はヴェテランマニア。かつてアナログ・プレーヤー全盛期にDENON(当時はデンオン)を代表するプレーヤーと言えばフォノモーターのDP-3000 を中心に組んだプレーヤー、かくいう店主も少し前まで愛用していました。
この「名背番号」を背負った約半世紀ぶりの(!)新製品となれば、自ずとDENON のこの新プレーヤーにかける意気込みが伝わります。
- ダイレクトドライヴ方式
駆動方式は現在主流のベルトドライヴではなく、かつてのDP-3000 フォノモーターを踏襲するダイレクトドライヴとしたのもごく自然な流れといえます。
心臓部のモーターには3相16極のDCブラシレスモーターを採用、起動時には1秒以内に既定の回転速度に達します(33回転時)。
モーターの回転制御方式には空間ベクトル・パルス幅変調(SV-PWM)方式を採用しています。SV-PWM は、レコードプレーヤーのように低速で動作するモーターの制御に最適な技術で、正確かつきめ細かなモーターの回転制御を高効率に行うことが出来ます。
非接触の光学式センサーによりプラッターの回転速度を常時検出し、その値をマイコンにフィードバックして規定の速度から外れることのないようにモーターの回転速度を制御することにより、安定した回転速度を保ち、正確なレコード再生を実現します。
33-1/3,45,78 回転に対応し、LPやEP盤だけでなく、SP盤も再生することが出来ます。
直径305 mmのプラッターはアルミダイキャスト製(重量約2.8 kg)。共振を抑えるためにプラッターの裏側には3 mm厚のステンレス板を銅メッキねじで固定しています。
- 新開発S字型スタティックバランス・トーンアーム
トーンアームには、DP-3000NE のために新たに開発されたスタティックバランスS字型トーンアームを採用。
これは、デノンがこれまでの歴史の中で開発してきた膨大な数のトーンアームの設計図を基に、機械的精度の高さ,操作が容易な調整機構,シンプルかつ美しい造形に拘って作り上げられたものです。
スマートな姿は、かつてのトーンアームの名機DA-309 を彷彿とするではありませんか。やはりアームは美しくなくてはいけません。
既に現役を退いたOBの技術者たちからのアドバイスも受けながら、有効長,オーバーハング,オフセット角などの要素を煮詰め、物理的な正確性を徹底的に追求。
アルミニウム製のアームパイプはデノン伝統のS字型とし、トラッキングエラーを最小化するために、そのカーブも入念な検討を経て新たに設計を行いました。
そして板バネを用いた接手によってアームパイプをフローティングさせることにより、周波数特性におけるピークおよびディップを解消しています。
この、アームパイプのフローティングには、かつてのDA-309 ではダンパーゴムを用いていましたが、ゴムの経年劣化でメインウェイト部が垂れてしまうことがあり、今回は板バネが採用されたと思われます。
カウンターウェイトは16 gまでのカートリッジに対応しており、付属のサブウェイトを追加すれば、最大26 gまでのカートリッジを使用することが出来ます。
また、最小限の部品点数で高精度な調整を実現する新開発のアーム高さ調整機構を搭載しており、使用するカートリッジの高さやマットの厚みに合わせてアームを最適な高さに調整することが出来ます。これは大変使い易く、かつ重要な点です。
アンチスケーティング機構には、トーンアームの軸に機械的に接触しないマグネット式を採用しているため、アームの感度に影響を与えることがありません。
DENON DA-309
- スイッチング電源の採用
モーターを駆動するための電力を供給する電源回路にはスイッチモード電源(SMPS)を採用しています。
SMPS はトランスを用いたリニア電源回路で問題となる振動の発生がなく、レコードの音溝をトレースする針先の極めて繊細な動作への影響を避けることが出来ます。
これまでは電源トランスをフローティングするなどの振動対策が採られてきましたが、トランス自体をなくすという発想の転換による新しいアプローチです。
電源回路に使用するコンデンサーは、サウンドマスターによる音質検討を経てオーディオ用の高音質パーツが選定されています。
- 堅牢な本体キャビネット
当時のDP-3000 には積層合板のキャビネットが組み合わされましたが、DP-3000NE では当時まだ無かった高密度のMDF を採用、構造をボックスタイプではなく、基板やモーター,配線を収める部分だけを切削加工でくり抜いたソリッドタイプにすることで、高いハウリングマージンを実現しています。
木目が美しいダーク・エボニー(黒檀)仕上げ。
4つのインシュレーターは、アルミニウム,樹脂,フェルトを使用して、さらにスプリングとラバークッションを組み合わせる複合構造を採り、個別に高さの調整が可能です。
ダストカバーが標準装備というのも嬉しいですね。さらに小型レコードスタビライザーも付属します。