オルトフォンのSPU カートリッジの中で特別な位置を占めるGT モデルは、独自のG シェルに小型の昇圧トランスを内蔵したSPU で(GT のT はトランスの頭文字)、オリジナルの生産終了から40年、限定復刻版のSPU Classic GT/GTE からも約30年が経過しました。
GT の奏でる骨太なサウンドは愛好者が多く、今でもその復活を望む声があります。
それに応えるべく、オルトフォンは肝となるトランスをスウェーデンのRundahl ルンダール社と共同で開発、レギュラーモデル SPU GTE 105 として発売に漕ぎ着けました。“105”はオルトフォン創立105周年を記念したものです。
●トランス内蔵のメリットは独自の音色以外にも、出力がMMカートリッジ並みの4mV あるためMC昇圧トランスが不要で直接フォノイコのMM入力に繋げること、さらにその高い出力のままトーンアーム内とフォノケーブルを信号伝送出来る点を挙げられます。
そのトランスも当初はルンダールの得意とするアモルファス・コアの採用が検討されましたが、オルトフォンの求めるサウンドとは異なったため、パーマロイのEI コアが採用されました。
さらに、歴代シリーズで初めてトランスケースをヘッドシェルに直接固定する構造としました。
●G ヘッドシェルにも大きく手が加えられました。
外観は今までと同様ながら、素材には軽量で堅牢、理想的な共振吸収性能を得られるABS 樹脂を採用。そして従来使用されていたシェル内部のスペーサーを廃してSPU ユニットを取り付けるベース部分をシェル本体と一体成型とし、不要共振の低減を目指しています。