Rega レガは1973年にトニー・レルフ Tony Relph とロイ・ガンディ Roy Gandy 両氏により英国エセックス州にて創業、二人の名前の最初の2文字「Re・Ga]を採って社名とされました。
現在でも、子供の頃からの根っからのオーディオマニアであるロイ・ガンディ氏の主導で開発が進められています。
ガンディさん、飾らない人柄が写真からもうかがわれます。
Roy Gandy
Roy Gundy & Phil Freeman(現CEO) *ガンディー氏がスーツ&ネクタイを着用した大変珍しいショット。この日はThe Queen's Awards(英国女王賞)受賞のためバッキンガム宮殿を訪れたとのこと
ガンディ氏はRega のターンテーブル技術の集大成として、2009年に"Naiad"と呼ばれる実験的なモデルを開発しました。Naiad は彼のターンテーブルの理想形〜究極のシンプリシティ〜を具現化した研究用モデルで、生産性やコストなどは一切考慮されておらず、たった一人の熟練工が製作して納期が数年かかるという、車で言うところのF1 カーのような存在で、当初から販売するつもりはありませんでした。
Naia はこのNaiad のコンセプトと仕様を継承しつつ、Regaの50周年プロジェクトの一環として企画された最高峰モデル、つまり、Naiad の開発で得られた画期的な機能,素材,テクノロジーがそのまま移植された量産モデルということです。
- 最新素材による高剛性・軽量スケルトン本体プリンツ
航空宇宙産業用素材Tancast 8 ポリウレタンフォーム(発泡成形で、振動伝達を断ち切る効果がある)をコアとして酸化グラフェン含有カーボンファイバー・パネルでサンドイッチしたフレームで構成されたスケルトン型本体プリンツを採用。形状は現行上級モデルPlanar 8/10 で完成されたデザインを継承しています。
このフレーム形状は、apple 社の元CDO(最高デザイン責任者)であり世界的なインダストリアル・デザイナーでもあるジョナサン・アイヴとマーク・ニューソンのチームから、「世界を代表する18のインダストリアル・デザイン」に選定されています。
さらにプラナー・シリーズの特徴となったブレース構造(スピンドル・ホルダー部とアーム・ベース部との間)には、アルミナ・セラミックス製プレートでフレームを上下から挟むデュアル・ブレースを採り、剛性を極限まで高めています。
- 新開発のセラミックス・プラッターを採用
新開発のアルミナ・セラミックス製プラッターは、その素材の配合,形成,生産工程を見直し、慣性モーメントも改善されています。
- 新開発のトーンアーム RB Tinanium を搭載
レガは特に高い精度を誇る高性能なトーンアームで有名です。それは数多くのメーカーにトーンアームをOEM 供給していることからもうかがわれます。
Naia はNaiad で開発されたRega ハイエンド・トーンアーム RB Titanium を搭載。
新しい一体成型チタン製垂直ベアリングハウジングとチタン製垂直スピンドルアセンブリを採用。アルミダイキャストのアームパイプ部分は手作業で研磨され、根元から先端にかけてテーパーがついており高い剛性が得られています。
後端のバランスウェイトとそのシャフトはタングステン製。タングステンは極めて比重が大きいため(鉄の2倍以上、鉛より大きく金と同等)重く、メインウェイトを重く出来るため支点近くにもって来ることが出来、これによりアームの感度向上が図れます。
搭載可能なカートリッジの重量: 4.5g〜8.5g、〜14.0g (エクストラウェイト装着時)
- ZTA(ジルコニア強化アルミナ)セラミック製ベアリング&スピンドル
ZTA(ジルコニア強化アルミナ)セラミック製のセンタースピンドル,ベアリングを備えたアルミニウム・サブプラッターを搭載。
ZTA セラミックはプラッターに使用されているアルミナ・セラミックス材よりも耐摩耗性が高く、センタースピンドル・ベアリングアセンブリを構築するのに最適な素材です。
但し製造は大変複雑で手間がかかります。
噴霧乾燥による粉末の調製から始まり、等方圧プレス(あらゆる方向に圧力をかけて密度を均一にする)で成形されます。成型された部材を焼結前に回転させ、1600℃で3日間焼成した後、底部フランジと内径を研磨し、最終的にスピンドルの直径に合うようにホーニング加工(砥石によって穴の内面や部品表面の研削を行う加工で、非常に高い精度を出せるのが特徴)します。そのため、スピンドルとベアリングは必ずペアで扱われます。いかに困難な加工を伴うかがお分かりと思います。
こうして得られたスピンドルとベアリングは両方が同一素材であるため、硬度が同じで摩耗が少ないのが特長です。このスピンドル・ベアリングはオイルの極薄膜上で動作するため、更に摩耗が減少します。
Rega がこれまでに製造した中で最も硬く、最も精密で、最も耐久性の高いベアリング・アセンブリが生まれました。
- EBLT トリプル・ドライヴベルト駆動
化学の専門家と共同で3年間をかけて開発した新しいゴムコンパウンドは、特殊な硬化プロセスを用いて最適な弾性,強度,耐久性を実現しました。
この特殊ゴム素材EBLT を専用に開発した加工ツールを用いて正確無比な精度でドライヴベルトとして製造されます。
Naia ではこのベルトの3本架けでプラッターを駆動します。
- NAIA PSU (電源ユニット)
別体の専用電源ユニットNAIA PSU はカスタムデザインのケースに収められ、水晶発振によるDSP ジェネレーターはほぼ完全な正弦波を生成、高い精度で24V 低騒音シンクロナス・モーターを駆動します。
33/45 回転の切替えはフロントパネルのスイッチで行うことが出来、回転数微調整機能も備えています。
また、50/60 Hz 両方の電源周波数に変更無しに適合します。
- Rega 最高峰のカートリッジ、Aphelion 2 を搭載