レコードから音を拾うフォノカートリッジに於いて我が国は世界屈指の技術・ノウハウを誇りますが、その中でも最高峰と目されるのがMy Sonic Lab マイソニック・ラボの製品群です。
フォノ・カートリッジ界のレジェンドの一人、松平吉男氏の生み出す作品はどれもがカートリッジの至宝ともいえるものです。
処女作のEminent から松平氏の掲げるモットー「内部インピーダンスは低く、出力エネルギーは高く!」は不変で、最高峰のSignature Platinum がマイソニックの最終的な到達点として国内外で高い評価を得てきましたが、この度そのスペシャルモデルともいうべきカートリッジが登場しました。
カンチレバーの材質に無垢のダイヤモンドを採用したSignature Diamond。
このところカートリッジメーカー各社で、ダイヤモンド・カンチレバーを採用するところが相次いでいくつも名乗りを上げたことをご記憶の方も多いでしょう。
早いうちからaudio-technica とDS Audio が針先まで継ぎ目のない一体型のダイヤモンド・カンチレバーを採用したモデルを発表、その後もPhasemation,Ortofon,Analog Relax,IKEDA,TechDAS が発売しブームの様相を呈しています。
この背景にはカンチレバーの製造メーカーによる技術革新があります。
松平氏はかつてENTRE 時代にダイアモンドカンチレバーに挑戦していましたが、まだ素材としての製造技術的に未熟だったのでしょう、折れたり針先チップが外れるなど信頼性に問題があり、余り良い印象を持っていませんでした。
そうした経緯もあったため、今回新たに素材メーカーからダイヤモンド・カンチレバーの提案があってもすぐには採用するつもりはありませんでした。
しかし試作して信頼性等を検討した結果、十分に使えることが判明、さらに形状や構造,針先チップの接着剤などに工夫を加え、納得のいくカンチレバーに仕上げました。
その形状とは、ダイヤモンドの中をくり抜いて中空構造にし、更に全体をテーパー状とするものでした。つまりダイヤモンド素材で先端が細くなったテーパードパイプ構造を初めて実現したのです。