[CD-R盤]
モーツァルト/交響曲第40番 ト短調 K.550
ブラームス/交響曲第2番 ニ長調 OP.73
ジョン・バルビローリ指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1966年9月17日、1965年5月28日、ベルリン・フィルハーモニー・ホール
モノラル、ライヴ収録
バルビローリとベルリン・フィル(BPO)によるモーツァルト交響曲第40番とブラームス交響曲第2番のライヴ。
ドイツ在住ロシア人コレクターからの提供音源で、オリジナルはいずれもエアチェックらしく、オランダのFMラジオ放送を受信したものという。放送局間の交換音源としてオランダに送られたようだ。
エアチェックとは言うもののノイズも少なく比較的良好な音質。
但し、当時のオランダ放送の悪癖として、フォルティシモの音量を抑えるコンプレッサー処理を行っており、弱音と強音の差がほとんどない状態であった。
ディスク化に当たっては、フォルテ,フォルティシモの音量を復元する作業を行った。また、一部に周波数バランスが悪く、低域過剰・高域不足の箇所があり、こちらもイコライジング等により補正した。結果として、特に優秀な音質というわけではないが、一般的な鑑賞には十分堪えられる状態とすることが出来た。
なお、当録音には既出のCD-Rが存在するが、音質劣悪な状態で、恐らく別のリスナーによるエアチェック音源によるものと思われる。
なお、1965・1966年当時、欧米では既にステレオLPが普及しており、当録音がステレオではないことが惜しまれるが、当時、西ドイツの放送局は、部分的にステレオ録音を導入していたものの、本格的に普及したのは1960年代末であった。
モーツァルトは1966年ベルリン芸術週間における録音。
プログラム後半にはブルックナーの交響曲第9番が演奏された(オルガヌム110134ALとしてディスク化済み)。
バルビローリとBPO は1949年にスコットランドのエジンバラで初共演、1950年にベルリンで再び共演、10年ほどのインターバルを経て、1961年に3度目の客演指揮を行った。この時の公演が大好評となり、その後バルビローリが亡くなる1970年まで毎年指揮、BPO との共演は84回に上ったという。
バルビローリとBPO との共演ではマーラー演奏に注目が集まりがちだが、モーツァルトやベートーヴェン(第9も演奏している)、ブラームスなど、オーソドックスな独墺系レパートリーも数多く取り上げた。客演指揮者の場合、出身国の作曲家や得意のレパートリーにプログラムを限定されることが多いが、バルビローリは特別な存在だったのだろう。
モーツァルトの交響曲第40番は、モーツァルトの交響曲中、バルビローリにふさわしいと思える作品だが、なぜか正式なレコーディングを行わなかった。
バルビローリのレパートリーが膨大で、レコード会社の営業方針も絡んでモーツァルトなど独墺系作品は優先順位が低く、初期の契約先である英HMV、後の米コロンビアや英パイにも小品などを散発的に録音しているものの、交響曲は第29番と41番(英パイ)が残されたのみ。晩年の契約先である英EMI にベートーヴェンやブラームス,マーラー,R.シュトラウスなど独墺系作品を録音し始めたのも、晩年の1960年代後半に集中しており、第40番も、録音計画はあったもののバルビローリの突然の死去によって実現しなかったのかも知れない。
一方のブラームスの交響曲第2番も、ブラームスの交響曲4曲の中では第4番と並んでバルビローリにふさわしい作風。バルビローリ自身も好んだ作品らしく、2回レコーディングを行っており、BPO とは1962年、第二次世界大戦中にドイツ軍の空襲によって破壊された英国コヴェントリー聖堂再建記念公演でも同曲を演奏している。
当ディスクの演奏でも、バルビローリならではの叙情的かつ情熱的な第1、2楽章,軽妙な第3楽章に続き、第4楽章では打って変わって熱狂的な演奏を繰り広げており、特に強奏部の直前には、指揮台で一歩踏み出す足音が聞こえる。同曲のウィーン・フィルとのスタジオ録音では、落ち着いた、しかも美しい演奏が展開されているが、当ディスクではライブ演奏らしい濃厚な表情とダイナミックさが印象的。
ジョン・バルビローリは、モーツァルトの交響曲第40番のスタジオ録音を残さず、当ディスク以外には1962年ハレ管と放送録音、1964年同じくハレ管とゲネプロ録音がある。
また、ブラームスの交響曲第2番を、1940年米コロンビアにニューヨーク・フィル,1966年英EMI にウィーン・フィルとスタジオ録音したほか、1962年のライヴ録音(2種)がある。
※総合カタログは下記を参照下さい:
https://www.ne.jp/asahi/classical/disc/index2.html
*【ご注意】
当商品はCD-R盤です。CD-Rは通常の音楽CDとは記録方法が異なり、直射日光が当たる場所、高温・多湿の場所で保管すると再生出来なくなる恐れがあります。
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