専用スタンド付きセットもございます。
伊Diapason ディアパソンは1987年、レコーディング・スタジオで実績を積んできたアレッサンドロ・スキアーヴィ Alessandro Schiavi が創設。
処女作はPrelude(前奏曲)。それからの期待を込めた、何とも相応しいネーミングではありませんか。
アステラAsrera はそのDiapason の新しいフラグシップです。
ご覧のようにまず目を惹くのは、大胆な断面で面取りカットした、木目の美しいエンクロージュア。
イタリア人しか成し得ないようなモダンで、滑らかな丸みを帯びたウッドワークの造形は、それだけでも工芸品のような魅力に溢れています。
テイストや仕上げは異なるものの、同じ国のSonus fabel やChario、最近のALBEDO などにも共通する美意識を感じるのは私だけではないでしょう。
熟練の木工職人によって無垢のウォルナット材で一部の隙もなく組み上げられたエンクロージュアは極めて強固で、余計な共振による歪みの発生で起こる色付けを抑えています。
但し同時に上質な木材の響きをうまくコントロールしながら生かしているのは言うまでもありません。その絶妙なバランスがスピーカー屋の腕の見せ所です。
四角く平べったくて広いフロントバッフルは、反射を含めてドライブ・ユニットから出る音のほとんどを前方に放射するため、音が積極的に前に出てくる、俗に音像タイプと呼ばれる聴こえ方をします。大きな平面バッフルをもつJBL のモニタースピーカーなどはその代表格です。
これに対して、ざっくりと大きく角を落としてバッフルの平面を極力小さくすることで、音の拡がりを妨げず、さらにエンクロージュア・エッジでの回折現象の弊害も低減させようという手法はアメリカのAvalon らが取り入れて以来すっかり定着した感がありますが、このAstera でも全体のデザインの中で見事に消化しながら実践されています。
ドライバー以外、八方から削り取られてバッフル平面がほとんど残っていないほどの徹底ぶりです。
それもこの大きさのエンクロージュアだからこそ可能なわけで、結果、音はふたつのスピーカーから出ているというより、それらを中心とした空間に明確な定位をもって再現されることになります。
Diapason は、この「ダイヤモンド型多面体形状」はドライバーユニットからの無垢な音をリスナーに届け、ポイントソース(点音源)に近付けるのが目的で、それにより音の視界からスピーカーが消えるのが理想である、としています。
多面体形状にはもうひとつ重要な利点があります。
四角いエンクロージュアに比べて対向する平行面が少ないため、内部の反射が抑えられ、音の濁りが効果的に低減されます。
ドライバーユニットは奇をてらったところのないオーソドックスなもので、振動板素材にはペーパーとシルクを用いています。
ウーファーには中域の濁りを抑えるセンタープラグが装着されています。
ネットワークにも秘訣があります。
自作派の方は頷かれると思いますが、ウーファーのほうにはハイカット用のコイルやコンデンサーは一切入っていません('Diapason Direct Drive')。
通常それをやると、カットされないウーファーの上限周波数帯域で音が暴れてしまいうるさくて使い物になりません。
それを避けるにはユニット自体をハイカットフィルター無しでもメカニカルに上限帯域が減衰していくように設計する必要があります。
そうしてフィルター素子介在を排除してダイレクトにアンプで駆動されるドライバーユニットは、素子による不可避な歪みや損失,位相回転などから解放され、生き生きと鳴ることが出来るのです。
メーカーが制作したムービーがありますのでご覧下さい。フィロソフィーが分かり易く紹介されています;