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2025年01月04日
 

 

ルネ・レイボヴィッツ

クリスマスにはくるみ割り人形、年末にはベートーヴェンの第9、年始にはウィンナワルツのレコードを聴くのを恒例としていますが、今年は残念ながらくるみ割り人形は聴くタイミングを逸したものの、第9は何とか年内に聴くことが出来ました。
毎年異なる演奏で聴くことにしているのですが、今年はちょっと珍しい演奏のレコードです。
上のジャケット写真を見て「あー、あれ」となる方は結構なマニア、というのもレコード店で一般に販売されたものではなく、会員制頒布レコードだから。リーダーズ・ダイジェストのベートーヴェン交響曲全集で、立派なボックスに入ったLP7枚組のセットです。

リーダーズ・ダイジェスト・レコードは元々一般家庭向けなので、取り上げる曲目はほとんどが誰もが親しめる名曲。ベートーヴェンでも運命や田園,第9「合唱」ならともかく、交響曲全集となると少々重めの内容ではあります。
これにはちょっとしたきっかけがあって、その経緯は付属の解説書に結構詳しく書かれています。

当時、リーダーズ・ダイジェストはレコード制作を米RCA に委託していて、企画,録音から製盤まで同社が担っていました。RCA 手持ちの音源を利用せず、リーダーズ・ダイジェストのために新たに録音したところが当時の余裕を感じさせます(後年は予算節約か、RCA の既出音源が使用されました)。
担当したのはRCA の名プロデューサー、チャールズ・ゲルハルト(ゲアハート、と言ったほうが実際に近いのかもしれません)で、リーダーズ・ダイジェストではルネ・レイボヴィッツ,ヤッシャ・ホーレンシュタイン,アナトール・フィストラーリ,マッシモ・フレッチャらをはじめ、シャルル・ミュンシュ,フリッツ・ライナー,ジョン・バルビローリなどといった多彩な指揮者達が起用されていました。

このベートーヴェン交響曲全集では、なかでもリーダーズ・ダイジェストへの録音の多いルネ・レイボヴィッツがロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団を指揮しています。
レイボヴィッツは通には知られた存在で、シェーンベルク,ウェーベルンやラヴェルに学び、時代の寵児としてパリを中心に活躍していた逸材です。その彼がリーダーズ・ダイジェストでは有名名曲を中心に録音しているところが面白いのですが、なぜ彼の指揮でこのシリーズでベートーヴェンの交響曲全集が出版されたかを、前述のようにゲルハルトが付属の冊子に書いています:
「ベートーヴェンの9つの交響曲全曲をもう一度まとめて出そうという想いはパリの歩道に面したささやかなカフェーで生まれた。
私はルネ・レイボヴィッツと一緒にラヴェルのラ・ヴァルスとボレロの録音をやっていた。2人はコーヒーを飲みながら音楽について議論を戦わせていた。話はベートーヴェンに移った。レイボヴィッツはこう言った。
“世界で一番演奏回数が多いベートーヴェンの第5の出だしのところで、ここのところの小節が一度も正確に演奏されたことが無い、ということに気が付いたことがあるかい? それからここのところと..ここのところ..”
そして48 時間後には彼はベートーヴェンの演奏のなかで一般に行なわれている約600(!)ほどの誤りを見つけ出したことが分かり、録音を行なわない理由はもうどこにもなくなった。」

テンポや拍子、強弱の表現でレイボヴィッツの主張がそのまま演奏に生かされているのがこのセットの特徴です。元々彼の指揮はテンポが速めですが、ここではちょうど現代のピリオド演奏(時代考証)を先取りしたような演奏で、かつ当時のロイヤル・フィルがビーチャムの息のかかった全盛期であるため名人揃い、きびきびと指揮に食い付いて実に生き生きとしたベートヴェンを聴くことが出来ます。
名曲集中心のリーダーズ・ダイジェストでは異色のセットとなっていますが、玄人筋をも唸らせる好企画でした。

しかも録音が、DECCA の名エンジニアとして名高いケネス・ウィルキンソンが(当時、RCA は英デッカと提携関係にありました)、多くの名録音を生んだウォルサムストウ・タウン・ホールで録っているのでステレオ初期ながら音質の良さは約束されたようなもの。

今回聴いたのは、ビクター音産の良質なプレスによる国内リリース版です。
2024年12月15日
 

メーターアッセンブリー
 
お客様への納品でも活躍している当店のVOLVO V50 はほぼ20年になり、距離も16万キロを超えています。
後期高齢車というところですが、とくに介護(?)も必要なく、たまに短期入院はしますが、大病も無く今でも元気に働いてくれます。

ただ、少し前から次第にスピードメーター(メータークラスター全体)の照明が暗くなり始め、とうとう完全に照明が点かなくなってしまいました。
メーターの各種表示は問題無いので昼間の明るいうちはよいのですが、夜になるとメーターが真っ黒になり全く見えません。走れないことは無いので、しばらくそのままで乗っていましたが、さすがに速度が分からないのでは運転に支障をきたします。

実は暗くなり始めたころに、いつもお願いしている整備工場に車検に合わせてメーター照明の交換もお願いしたのですが、困ったことに昔のように豆電球をいくつか交換して済むようにはなっておらず、照明源はすべてLED でメーターと一体化しており交換不能、と断られてしまいました。つまりメータークラスター全体を交換する必要があるということです。
最近の車の電装系は、一部を修理するというのではなく、アッセンブリー全体を交換するというケースがほとんどで、その分高くつきますね。
純正パーツのメーターアッセンブリーは恐らくビックリするほど高いであろうことは確認するまでもなく、それではメーター内部で修理が出来ないかと、意を決してメーターを外して分解してみました。
 

 

 


やはり工場から言われた通り、LED が基盤上に半田付けで固定されており(基板写真2枚目の上の方に一列に並んだ白っぽい点状の部品がLED)、しかもすべて交換困難な微小の表面実装部品で、仕様・規格も分かりません。
しかもよく考えてみれば、たくさん着いているLED が皆同じように暗くなって消えたので、不具合のあるのはむしろその電源かコントロール部でしょう。それでは完全にお手上げです。

そうなるとやはりメーターの交換しかありません。
そこで中古のメーターアッセンブリーを探してみることに。ただ、メーター交換についても以前、工場に訊いていて、中古パーツで交換すると、うまく動作するときとしないときがある、と言われていました。恐らく仕様とソフトウェアの問題だろうと考えられます(新品部品で交換する場合は、新規にソフトウェアを読み込む必要がある)。
そこはまあ、安めの中古品を探してダメもとで試せばいい、といつも通り楽観的にいくことに。ただ、そんな博打のような作業はプロが受けてくれるわけは無く、自分でやるほかありません。
とにかく年式と部品番号(メータークラスターにシールが貼ってある)だけは同じものを、と探し出して取り寄せました。いろいろ見てみると、メーターの外観は同じようでも品番が異なるものが存在していることも分かりました。
また、メーターの上にメーターとは何の接続も無い別体の小型ユニットを背負っているのですが、これがリモートキー受信機であることが分かり、これは今まで着いているほうを新しいメーターに取り付けることにしました。

メーターアッシーにケーブルコネクターを接続、元通り車両に収めてカバーを戻し、さて、動作やいかに?
 

 

 

 

 
有難いことに一番下の写真のように照明はしっかり灯り、試しに走ったところ、スピード表示,タコメーター,ガソリン残量,時計,温度,各種警告灯,メッセージ表示など、すべて正常に働いていることが分かりました。
但し、オドメーター(積算走行距離)だけは取り替えた中古メーターの表示となってしまうのは致し方ないところ。約16万キロが10万キロ強となりましたが、それぞれ取り替えた時点での数値を記録してあるので必要に応じて実際の距離に換算することは出来ます。

これで夜も安心して走れるようになりました。
めでたし、めでたし。
2024年09月08日
 


駐車場所をに変えたために(玄関前)、その地面(コンクリート)にある水道メーターがクルマの下に隠れて、フタを開くこともメーターを読み取ることも出来なくなったので水道局に相談に行きました。

その前に、今は多分、直接メーターを見なくても無線通信などによって近くで読み取れる方式があるはず(電力メーターではすでに実施済みですね)、と思ってインターネット検索したら、案の定いくつも出てきたので少し調べておきました。
スマート水道メーターとかモバイル検針メーターなどと呼ばれる遠隔検針メーターがあり、今までどおり検針員が家まで行きメーターの近くで無線通信でデジタル数値を受け取る方式と、もっと遠隔送信出来る通信方法(携帯通信などを利用?)を使って、家に行かなくても水道局で数値を受け取れる方式とがあるそうです。

こうしたスマートメーターに交換は可能ですか?という相談を水道局(東京都水道局・杉並営業所)にしたところ、担当の方が出てきて概要を説明してくれました。
確かに遠隔検針メーターは少し前から杉並でも運用を始めている、状況が変わってクルマや物の下になってメーターを見ることが出来なくなった場合に対応する、とのことでした。
但し、顧客が申し込んで設置するわけではなく、(水道局から委託された)検針員が検針出来なくなった場合に水道局の判断で取り付け(現在のメーターと交換)を行うのだそうです。そのため、使用者としては交換になっても費用はかかりません。メーターシステム一式では結構な金額ですので、これは有難いところです。
因みに対応してくれた方も、うちと同じようにクルマの下になったのでスマートメーターに交換したのだそうです。

ということで私から直接の申し込みは出来ないので、取りあえず待っていることになりましたが、少し経った先日、検針に来た人が「メーターを見られないのでクルマを動かして下さい。」と言うので、検針後に水道局での話をしました。メーター交換の件、検針員さんも水道局に依頼するので、お客さんからも依頼して下さい、ということでした。
そこで再度水道局を訪問、経緯を話してお願いすると(現況写真も持参)、その状況では恐らく交換となりますが、交換作業担当の業者からの連絡を待っていて下さい、とのお話。

1ヶ月ほどした頃に水道局から電話があり、その後工事業者さんからも連絡があって、日取りを決めて交換作業となりました。
メーター自体はそのまま入れ替えられるように今までと同様の形状で、丸いガラス窓にあるアナログ計数器が液晶デジタル表示になります。
問題は、その数値を送る通信機能と電源供給方法。小さな写真で見難いですが、左下のほうに無造作に立てかけてある黒い筒状のものがどうやらバッテリーで、通信機能はここか、或いはメーター内に収めてあるのでしょう。作業の人に訊いてみましたが、機器の具体的内容はよく分からないそう。ただ、メーター交換は8年ごとに行うそうですから、バッテリーも8年間は持つようになっているのでしょう。

次の検針は1ヶ月以上先ですが、これで安心安心。
2024年08月05日
 
今日はトーレンスの新型アナログ・プレーヤー、TD1500 の店頭展示機を設置しました。

アナログ・プレーヤーのセッティングというと、プラッター上での水平の確保、トーンアームの調整が主な作業となりますが、このTD1500 では付属するカートリッジ(Ortofon 2M Bronze)はヘッドシェルに取り付けられていて、それに合わせてアームも工場出荷時点で基本調整が済ませてありますので、メインウェイトを取り付けてアームのゼロバランスを取り、適正針圧をかければほぼそれで調整完了、そのままレコードをかけることが出来ます。

それでもアームの調整を詰めておきたい場合、搭載アームのTP150 は各部の厳密な調整に応える機能を有しています。すなわち、アームの高さ(VTA、アームリフターの高さ,アームレストの高さ調整を含む),カートリッジのアジマス,インサイドフォース・キャンセラーなどの調整です。

なお、以上の調整を行うにあたって写真のような工具が必要となりますので、あらかじめ用意しておくことをお勧めします。
TD1500 で使う六角(ヘックス)レンチはサイズがかなり小さく、1.5mm(リフターとレストの高さ調整)と2.0mm(アジマス調整)です。赤いハンドルの2本が六角ドライバーで、よくあるL字型の六角レンチでもよいのですが、写真のような小型ドライバー型のものは軸の長さもあって調整が容易に出来ます。
これはスイスのPB 製で、信頼性では世界トップクラス。安物の六角レンチは六角穴をなめてしまうことがあるのでご注意。
その他は小型の+と-ドライバー、一番右はアームを上下させるためのツールで、プレーヤに付属しています。
2024年05月17日
 
 

今日は、パラダイム社のPersona B スピーカーを納品させて頂きました。
カラーは人気のアリアブルーメタリック、私どもの展示機と同じです。

1週間ほど前に来店され、ご持参のCDでじっくりご試聴、結果大変お気に入り頂いてご購入を決断下さいました。
試聴CDはどれも素晴らしい、思わず耳をそばだてずにはいられない音源で、かつペルソナBの特長をとてもよく現わしていたのが印象的でした。

お部屋は十分な広さのある大変居心地の良い空間で、最近リフォームされて、壁面は全て板張り、専用電源コンセント、フローリングの床も鳴きの無いしっかりした構造で、リスニングルームとして万全の設え。

真空管とソリッドステートの大型プリメインアンプを使い分けておられますが、その中央に置かれたSACD プレーヤーも含めて平置き用ボードに載せてすべて床に設置されているので、目の前の見通しが良く、余計空間が広々と感じられます。

これから時間をかけてじっくりとバーンインを進めて頂きますので、本領発揮となるのが楽しみです。

お天気が良かったので帰りは駅まで気持ちよく散歩が出来ました。
たまたま駅前にある喫茶店の窓ガラスにおいしそうなモンブランの写真を発見、栗ではなくさつまいもモンブランでしたが、たまらず入ってアイスコーヒーと一緒に頂いていました…。

この度はご用命誠にありがとうございました。

2023年11月30日
 

 

 
『トランヴェール』誌といっても分かる人はまずいないと思いますが、新幹線に乗ると前の座席の背に挟んである小冊子です。確かにそうした冊子があるのは何となく覚えていましたが、ページ数は少ないもののJR東日本の発行する月刊誌だそうです。
逆に言えば、新幹線に乗らないと読めない特別な雑誌とも言えるかな?

表紙には「旅を深く、旅を楽しく。トランヴェール Train vert」とあり、特集で各地の話題を中心に、東京の駅シリーズや名産品,温泉などのコラムが載っています。

少し前に取材をしたいとの連絡があり、それがこのトランヴェールでした。
コラムのひとつにある「東京スキマ Trip」という記事で今回Vol.35 は荻窪駅特集ということでテーマを「音楽あふれる、荻窪」としたのが縁で、音楽を奏でるオーディオを扱う店として採り上げて頂いたわけです。
といっても、他に大田黒公園(音楽評論の草分け、大田黒元雄氏の元邸宅)と名曲喫茶ミニヨン(1961年創業の老舗)と一緒に1ページの中での紹介ですので、写真と数行の文章です。

新幹線に乗らないと見られないので、まず見てくれる人はいないだろうなあ、と思っていたら、すぐにお一人から「見たよ」と連絡が来たのが嬉しかったです。

そういえば、数日前の「じゅん散歩」(テレビ朝日)でも、わが街荻窪が採り上げられていました。
2023年10月15日



11月初めの4日間、地元荻窪恒例の「荻窪音楽祭」が開催されます。
年一回開催のこの音楽祭、今年は36回目となります。

地域のあらゆるところで様々な規模のコンサートが行われるのが特徴で、杉並公会堂・大小ホールはもちろん、区民センター,郷土資料館,教会(4ヶ所),レストラン,カフェ・喫茶店,銀行のロビー,スタジオ&ライヴスペース,駅前広場,駅ビル屋上,スポーツセンターなどなど、全部で45公演程のコンサートが開かれます。
ジャンルはクラシックに類するものに限られますが、奏者は一流のプロからアマチュア,子供参加の体験型まで様々。誰でも企画して音楽祭に参加することが出来ます。

運営するのは「クラシック音楽を楽しむ街・荻窪」の会、有志による自主運営で、多くのボランティアによって支えられています。
お近くの方、よろしければ足をお運び下さい。

「第36回 荻窪音楽祭」
11月2日(木),3日(金),4日(土),5日(日)
https://www.ongakusai.com/index.html

全公演とその会場の地図が載ったコンサート・ガイドが店頭にありますので、お気軽にお持ち下さい。


荻窪音楽祭コンサート・ガイド
2023年07月31日
 


季刊誌『Audio Accessory』(音元出版)の記事のための取材をして頂きました。
人気のスピーカー、パラダイム社Persona を採り上げたシリーズ企画の、今回はこのスピーカーを推す全国のショップを紹介する記事です。

でもこの話を伺って、さて、これはちょっと困った…。
最近お越し下さったお客様はよくお分かりと思いますが、狭い店舗にレコードやら商品やら中古品やら部品(?)やら、とにかく溢れかえって文字通り足の踏み場も無い状態で、これではそのまま店のカットを紙面に載せるわけにはいきません。

そこで一念発起、いつか片付けようとしていた店内の整理整頓をすることに。こんな機会でもないといつになるか分かりません。約2週間ほどかけ、手の空いた時間を利用して重たい機材や大量のレコードを移動して、埋まっていたスペースを取り戻しました。掃除もしてスッキリ。
試聴機を並べたラックも下まで見えるようになりましたし、ほとんど一人しか腰掛けられなかったお客様用チェアも4人分くらいは置けるようになりました。
今日、中を覗いた当店顧問(うちのカミさん)からも「やれば出来るじゃないか。」とのお言葉を頂きました(笑)

記事はオーディオアクセサリー誌の次号に載る予定ですので、機会がありましたら見てやって下さい。
改めてご来店もお待ちしております。
2022年12月17日
 

 
上杉研究所の300B 真空管パワーアンプを納品させて頂きました。

写真は、納品前にチェックとお客様へのご説明のために店頭で通電しているところです。
今回、真空管はお客様手持ちの米Western Electric 製 WE300B(前回、1990年代再生産分)を使用、この球をウエスギに送ってメーカーでの調整を行いました。

お買い上げ誠にありがとうございました。
2022年10月10日
 


人気のスピーカー Persona B を納品させて頂きました。

今回はスタイリッシュな「カーボンブラック」。キャビネット,メタルバッフル,グリルネットすべてブラックで、唯一グリルネット周辺にシルバーのアクセントが入るシックな仕上げです。

今までお使いの B&W の805 D3 との入れ替えでのご導入で、MARANTZ のSACD/CD プレーヤーとインテグレーテッドアンプで鳴らしておられます。
両者の大きさと全体の形状はよく似ていて、底面のサイズ,形状もほとんど同じでしたので、そのまま805 D3 の専用スタンドに載せて聴いてみました。スピーカーケーブルも805 D3 同様、バイワイヤー結線です。

入れ替える前にまず805 D3 で聴きましたが、目の覚めるようなハイハットや締まってハイスピードなドラムスなど、流石に高級ブックシェルフ・スピーカーの代表格、誰が聴いても納得の鳴りっぷりです。
うーん、バーンインもこれからのまっさらなPersona B にとってはちょっと相手が悪いかなとも思いましたが、音が出た瞬間、想像以上に鳴り方が違うのが分かりました。

まず、能率が良いからでしょうか、前に出てきて全体にスケールアップ。
805 D3 はハイハットはシャッキリ、ドラムはドスッと実に分かり易く、聴きどころを抽出して聴かせるのに対し、Persona B はすべてを漏れなく聴かせるといった印象で、周波数帯域がフラットであるという単純な問題ではなく、すべての密度が均一に高く、しかもちっとも押しつけがましかったり、うるさかったりしないのです。
まあ、この印象は、聴いているうちにいつも店でPersona B を聴いているのと重なってきているのは確かですが、お客様の聴き始めてすぐの第一声、「今まで聞こえなかったところが色々、あらゆる方向から聴こえてくる!」がほぼ同じことを言い表しているようです。

ところで、当初お引き取りする予定だったB&W 805 D3 はお孫さんが欲しいとのことで、そちらに行くことになったそうです。

お買い上げ誠にありがとうございました。
2022年09月28日
 






Technics SP-10R ダイレクトドライブ・ターンテーブル専用に SAEC が開発したターンテーブルデッキ SBX-10R にリニアトラッキングアームの Clearaudio TT3 を載せるというエキサイティングなシステムをご用命頂きました。この組み合わせは恐らく世界初ではないかと思います(調べてはいません、念のため)。写真は店で事前の仮組みをしているところ。
鈍く光るオールシルバーの外観はメカニカルな印象を一層引き立て、高精度な測定器のようにも見えます。

かつて1970年代にSAEC にはTechnics やDENON のフォノモーター用にSBX-3 というターンテーブルデッキがありました。SBX-10R は完全な新設計で、現在の加工技術をもって製作されます。なんとオールステンレス製、36kgの重量があり、運ぶのも一苦労です(実際はこれにさらに18kg のSP-10R とTT3 が載ります)。
アームベースをTT3 用に専用加工してもらったこともあり、仕上がってくるまで半年ほどかかりました!

二人がかりで何とかラック最上段に載せ、アームの調整。カートリッジは既にお使いのDA Audio DS-W2 を装着。現在、DS-W3 をバックオーダー中です。

この度もご用命誠にありがとうございました。

2022年06月01日
 

 

 
私どもの店頭リファレンス・スピーカーでもあるParadigm パラダイム社のPersona B を納品させて頂きました。

かねてから気になっていたというこのスピーカーをご自身のCDでじっくり試聴頂いて、結果、目指すものに最も近いとご判断頂いての導入となりました。
外観色は店のデモ機と同じアリアブルー・メタリック。これはペルソナ・シリーズの顔とも言えるカラーとなっています。

店から自転車で伺える距離にあるご自宅に伺うと、きちんと整理された居間にこれまた実に整然と設置されたオーディオ・システムは大変すっきりとして見えますが、3列に並んだラックには既に空きスペースが無いほど多くの機材が収められています。
使われていない機器など無く、使い易さも両立されていて、ケーブルも無駄無く機能的に整理が行き届き、これは音質的にも重要です。

自己流でやっているのでと謙遜されていますが、これは多くの試行錯誤を重ねた末に辿り着いた結果に違いありません。
一般に評価の高い、或いは人気の高いモデルなどという基準ではなく、ご自身の目標をしっかりと見極め、ご自身の審美眼を信じて、確実に目標に収斂していく。それには長い時間がかかっているはずですが、見事に結果となって表れています。
お客様宅でノルウェー HEGEL(ヘーゲル)のアンプを拝見することは稀ですが、そのプリとパワーアンプを核にシステムを構築、今回のPersona B との組み合わせはまだ鳴らし始めで本領発揮には程遠いはずですが、既にはっきりと相性の良さと、恐らく目指されている音の片鱗が聴こえ始めていると感じました。

お聴きになるのはジャズがメインですが(CD,レコード,ハイレゾ)、その中心となるECM レーベルの優れた音源を、スピーカーの後方、左右いっぱいに窓を通して広がる木々の緑を背景に聴いていると(隣は地域でも有名な公園です)、これはもうただオーディオを聴いているというのを超えて、格別の世界です…。

これからバーンインをしながら細部を詰めて頂くことになります。
この度は誠にありがとうございました。
2022年04月16日
 

JBL 4309

小型サイズのJBL モニタースピーカー4309 を納品させて頂きました。
写真を見ただけでは分かりづらいですが、幅24cm,高さ42cmほど、大型スタジオモニターをそのままスケールダウンした外観ですが、中身は本物。
本格的新型ホーン・トゥイーターと6.5インチ・ピュアパルプコーン・ウーファーによる2ウェイ・スピーカーです。

早速EAR の真空管インテグレーテッドアンプV12 に繋いでレコードを聴くと、まだ下ろしたてにもかかわらず、これぞJBL サウンド!
とくに低域の充実感は完全にサイズを超え、EAR が躍動感を引き出しています。
贅沢な組み合わせですが、ノリの良さ抜群。


EAR V12

次に試しに、普段は他のスピーカーを鳴らしているアンプ、YPSILON イプシロンのインテグレーテッドアンプ Phaethon フェートンを繋いで鳴らしてみました。
このアンプは同社の最新アンプで、最近導入されてようやくバーンインが済んだ頃なので、それを確認させて頂く目的もありました。
これはもう至ってまっとう、正統派サウンド。
しっかりJBL ではありますが、ヴォーカルの口元は本来のサイズ,広い音場,ジャズもクラシックも選り好み無し。アンプの実力から言って当然ではありますが。

因みにパワーアンプを含めて、すべての機器の電源を足元から支えているのは、巨大バッテリー電源のドイツSTRONTANK ストロムタンクのS2500 Quantum。
これを導入してから電源関係に全く余計な心配が無くなり、システム全体が大きなブレークスルーを果たしたことで、とくに安心してパワーアンプに注力出来るようになったとのことです。
まさに理想的なシステム構成と言えるでしょう。


YPSILON Phaethon
STROMTANK S2500 Quantum
2022年03月09日
 

 

 
ウィーン・アコースティクスのスピーカー、Beethoven Concert Grand Reference をご納品させて頂きました。
 
同社の中では特別なモデルを除くと最上級の大型トールボーイ・モデルです。
と言ってもバッフル面の幅は18cmウーファーぎりぎりに切り詰められた205mmしかありませんので、高さが1m13cmあるものの威圧感は全くなく、優しいチェリー色の選択で、部屋の明るい木の感触を活かした内装にも予想以上にマッチしていました。
 
同時に導入頂いたアンプはトライオードのプレミアムモデル Musashi
実は当初、ひと回り小さなBeethoven Baby Grand Reference をトライオードのTRZ-300W で鳴らして試聴頂いたのですが、ビロードのような中高域の美音を絶賛頂いた半面、フルオーケストラを聴いたときの低域が下がり切らず、少々腰高に聴こえたのが気になりました。
 
部屋がかなり広いうえにスピーカーの上の天井高が高く、聴取位置までの距離もあるため、Baby Grand には少し荷が重かったようです。
そこでウーファー口径がひと回り大きく、しかもウーファーの個数もひとつ多い3本、キャビネットの容量も十分に大きい上級機 Beethoven Concert Grand Reference を選択、アンプは低域も豊かに響くように駆動力では申し分ないMusashi にパワーアップしました。
 

TRIODE "Musashi"
 
目論みは見事に当たり、ほぼ想定通りの結果に。
スケールが格段に向上、中低域の量感も遥かに豊かに響くようになりました。
Baby Grand で体験したビロードのような弦は今のところ僅かに及びませんが、これはConcert Grand がまだ全くエージングが進んでいないことが関係していると思われ、今後気にならなくなるはずです。
それ以外はあらゆる点でBaby Grand を上回る結果となり、コストアップとはなったものの十二分にご満足頂ける内容となりました。
 
この度は誠にありがとうございました。
次はレコードを聴けるよう整備することが課題となります。
2021年09月08日
 


リトアニアの先進的ターンテーブル、Reed 1C と同じくReed 1H トーンアーム、MCカートリッジのMy Sonic Eminent GL を納品・セッティングにお客様宅に伺いました。

このお客様は長年のお得意様で、この度ご自宅をリフォームされ、この部屋も以前は畳敷きの和室であったものを一新、自然木の質感を生かした内装がお納めしたReed 1C とすでにお使いのスピーカー AUDEL Maika Mk2 の樺材木目仕上げとうまくマッチして、まるでカフェにいるような実に居心地の良い空間となっています。



ジャズ・ヴォーカル,ハイフェッツのヴァイオリン,マイルス・デイヴィスのトランペット等々、生々しさが半端なく、思わず身を乗り出してしまいました。
この部屋で聴くと次から次へとレコードをかけてしまい、ステイホームでお仕事の合間にちょっと息抜き、というわけにはいかないかもしれませんね。

この度は誠にありがとうございました。
2021年06月19日
 

CEC DA3EX
 
先日お納めした CEC の新しいD/Aコンバーター、DA3EX を聴かせて頂きにお客様のところに伺いました。

先月発表されたばかりで、派手な宣伝も一切しないのでほとんど知られていませんが、搭載するCEC 独自のSuper Link 機能を使った同社のCDトランスポートとの接続ではジッターを極限まで抑えることが可能となります。

このお客様は既にCEC の最上級CDトランスポートTL3.0 をお使いなので、今回のDA3EX の導入で初めて本来の能力をフルに発揮することが出来るわけです。


CEC TL3.0

早速、今迄お使いのD/Aコンバーターの聴き比べをさせて頂きました。
3種類のDACをスイッチで瞬時に切り替えられるようになっています(アキュフェーズだけは搭載ドライヴ)。

まずアキュフェーズSACD/CD プレーヤーDP-720 に搭載のDACは予想通りの滑らかな美音で、期待を裏切らない安定した再生は流石です。

次は今までお使いの47研のDAC、Model 4705+強化電源 Model 4799。
これはストレートで見通しがよく、ありのままを提示するリアリティを感じます。歌手や楽器の実在感も特筆もの。

そして今回のCEC DA3EX は、最新モデルということもあるのでしょう、実に自然でどこにも気負いがなく、誇張のようなものを感じさせません。空間表現も抜きんでているのを感じます。
やはりSuper Link も一役買っているのでしょう。
このCEC DA3EX は価格もこなれていて、とくにCEC のCDトランスポートをお持ちの方にはおススメ、最新CDプレーヤーを購入したのと同じ効果があります。
 
CEC DA3EX 220,000円(税別)
 
それにしてもこうした微妙な差を的確に描き分けて聴かせてくれるスピーカー、ベイズ・オーディオ(Bayz audio)のクーラント2.0 は、いつ聴いてもその再現力の高さにほとほと感心、聞き惚れてしまいます…。

貴重なお時間、ありがとうございました。
 

Bayz audio Courante2.0(右)
2021年06月12日
 

JJ 300B

当店の試聴機であるトライオード TRZ-300W(インテグレーテッドアンプ)は出力管の300B を片チャンネルで2本パラレル駆動させて、A級シングル動作で20W/ch の出力を発揮します。

導入したのは標準モデルですので、付属する300B はトライオードの銘の入った純正球です。
いつもはこれで聴いていて、十分その300B らしい芳醇な響きに満足していますが、上級仕様には現在数ある300B 球のなかでも傑作との評判のPSVANE WE300B を搭載したモデルがあります。この球に付け替えた音を試してみたいと思い立ち、トライオードさんからPSVANE をお借りしました。

このアンプは球を換える時のバイアス調整が簡単に出来るので交換は簡単です。
さて、結果は?
ぱあーっと視界が開け、色彩が鮮やかになったような印象で、より300B の特徴がはっきり活かされています。響きが豊かになったと言ってもよいでしょう。
一方、オリジナルのトライオード300B もよく聴けばバランスの点では悪くなく、レコードによってはPSVANE で隈取りがきつくなる場面でも聴き易いのは有り難いところ。
でもPSVANE を聴いてしまうとやはり戻れなくなってしまう??

さてもう1種類手元にあったスロヴァキアJJ 社製300B もついでに試してみました(写真)。
これはちょうどトライオードとPSVANE の間くらい、トライオードに比べると響きが増しますが、PSVANE ほどではない。
三者三様、いえ三球三様。真空管アンプは困りますね、カートリッジを交換するように、一度試すとどれも皆付け替えて試したくなる。
これくらいにしとこう、っと…。
2021年04月14日
 

EAR Acute Classic

先日、英国EAR 社のCDプレーヤー、Acute Classic が生産休止になっていると聞いて理由を尋ねたのですが、よくあるCDドライヴメカの入手難ではなく、基幹部品であるⅮ/AコンバーターICの供給不足が原因とのこと。

半導体製造メーカー大手、旭化成エレクトロニクス(AKM)の昨年10月の火災による一時操業停止と、さらにそれに追い打ちをかけるかのように今年3月、同じく半導体大手のルネサスエレクトロニクスもまた火災で被害を受け生産停止、回復には1ヶ月ほどかかるといいます。

このダブルパンチでICチップは一気に供給難に陥り、まず主たる納品先である自動車メーカーへの供給が先決、オーディオ用途など微々たるものですから、後のまた後回しということでしょう。
マランツからも同様の理由でDACチップ変更の知らせがありました。

それにしても大手半導体メーカーの工場が相次いで2ヵ所、同じく火災で操業停止に陥るとは陰謀論者でなくてもどこかの国の工作ではないか、などと勘繰りたくなるのも無理からぬところ。
困っているところへ中国製チップ供給の打診があったとか…。

コロナ禍に加え、当分はDAC禍でオーディオ界は受難続きとなりそうです。
その点、高度なICチップなどを必要としないアナログは、ここでもしぶとく生き残るでしょう。
2021年02月03日
 


あっという間に2月になりましたが、今年ほど正月らしさ無く過ぎてしまった新年は無かったのでは?
4日が月曜日という曜日の巡りあわせの悪さもありますが、大きな原因は今だその渦中にあるコロナ禍。
出掛けたり、集まったり、食べたり、観に行ったりというお正月ならではの行事がことごとく制限されたことで華やいだ正月気分がどこかへ行ってしまいました…。

もちろん音楽も例外ではなく、毎年出稼ぎ(?)に来るヨーロッパのいくつものウィンナ・ワルツ楽団が来ないので、ニューイヤー・コンサートが皆無に。

毎年この日誌にも書いていますが、新年にプライヴェート・ニューイヤーコンサートとして必ずレコードを1枚聴いています。これは密にもなりませんので例年通り決行。
今年はジョージ・セル指揮するクリーヴランド管弦楽団のアルバム「美しく青きドナウ/ヨハン・シュトラウス・フェスティバル」(米Columbia/Odyssey)を聴きました。

セルらしく実にはっきりくっきり、元気が良くて力をもらえる音楽。
冒頭の「青きドナウ」も、入りのトレモロからしてはっきりくっきり、このレコードのジャケット写真のようにドナウの流れを遠くから俯瞰するというのではなく、川岸で見ているか、遊覧船で流れの中にいるかのよう。
ワルツ部分では優雅よりは堂々としていて、まるで軍人さんが颯爽と踊っているようです。と言っても決して一本調子なわけではなくて、そこは知性派のセル、ニュアンスも豊かです。

2曲目の「ピチカート・ポルカ」は冒頭からそのピチカート音の大きさにビックリ。
しかも大勢で弾いているはずなのに全く乱れが無いので、まるで1人ででっかい楽器を弾いているように聴こえます。さすがセル&クリーヴランド!
有名な「春の声」もダイナミックでシンフォニック。
締めの「常動曲」では最後にちゃんとセル自身の声が聴かれます。

といったふうで、1枚、ヨハン・シュトラウスの「交響詩集」を聴いた気分で楽しめました。

因みに、恒例の年末年始の3枚、「くるみ割り人形」(ドラティ)、「第9」(オーマンディ)、ウィンナ・ワルツ集(セル)と、意図せずしてすべてハンガリー出身の指揮者の録音だったことに気が付きました。
まあ、店主のお気に入りにハンガリーの指揮者が多いからではありますが。
2021年01月01日
 
 

皆様、あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。

昨年末の話ですが、恒例の2枚、クリスマスの「くるみ割り人形」と年末の「第9」、今回は上の2枚を聴きました。

くるみ割りは、アンタル・ドラティ指揮ロンドン交響楽団の全曲盤。元々は米MERCURY の名録音(1962年)のひとつですが、これは後年オランダPHILIPS からリリースされた2枚組の全曲盤です。
以前、英MERCURY のオリジナル盤でも聴きましたが、また違ったシャキッとした小気味良い音が魅力。
ドラティは後になってPHILIPS 時代にもアムステルダム・コンセルトヘボウ管とも全曲を録音していますが、そちらは落ち着いたスケールの大きさを感じさせるのに対して、ロンドン響盤はもっとストレートでリズムの切れの良さで聴かせます。
ドラティはディアギレフの有名なバレエ・リュス(モンテカルロ)の指揮者を10年間務めていますので、ここでも単なる管弦楽曲ではなく舞台の動きを彷彿とさせる指揮が流石です。
それにしても、くるみ割り人形は2枚分の全曲中、省けるところが見当たらず、全ての部分が素晴らしい音楽の連続で全く飽きさせません。
それを知ると有名な組曲版ではつまらなく聴こえてしまいます。全曲は長くて聴くのが大変、と思っている方も是非一度じっくりお聴きになって下さい。長いと言ってもLP2枚分ですので、大したことはありません。

昔、指揮者の尾高忠明氏が「チャイコフスキーの交響曲は少々ジンタ調であまり好きになれないが、彼のバレエ音楽は素晴らしい。」と言っていました。数十年年を重ねて今、チャイコフスキーの交響曲は彼のもっとも重要なレパートリーのひとつになっていますが。

さてもう一曲、年末の第9。今回はオーマンディ&フィラデルフィア管弦楽団です。
聴いたことのある方はあまりいないのではと思いますが、実は店主にとっては初めて購入した第9のレコードで、子供の頃から数えきれないほど聴いてきた録音。思い入れの強い演奏です。
ただ、当時買ったのは1枚もの(1,800円で少し安かった)で、聴いていた機器も安い電蓄のようなシステム。詰め込みカッティングで肝心のフィナーレで音が歪んで迫力も足りず、演奏は良いはずと思いながら満足してはいませんでした。

だいぶ後になって入手したのがこの米国COLUMBIA のベートーヴェン交響曲全集で、1961~66年録音の7枚組セット。
一部、3,5,6,8,9番は単発で出ましたが、それ以外はこの全集にしか収録されておらず、事実上このセットがオリジナルと言ってよいでしょう(COLUMBIA 2-eye グレー・レーベル盤)。
嬉しいのが、ここでは第9が1枚半、3面に渡って収録されている点。発売当初のオリジナルであるのと、このゆったりカッティングのお陰でずっと良好な音質で聴けるはず、との期待は見事的中! まさに目から鱗、初めて本来の演奏を堪能することが出来たのでした。
原点回帰と言われる今風の快速調とは異なり(50年以上前ですから当然ですが)、インテンポの安定感あるじっくりした歩みで、バランスが良く、オーマンディが優れたヴァイオリニストであったのを反映して、と言われる通り弦楽器をベースにした厚みのある音色は明るめで、ベートーヴェンのアポロ的な面が映えます。
肝心のフィナーレもこの盤では歪もリミッター感も皆無で、十分なダイナミックレンジで白熱の力演であることが分かります。
アメリカのビッグファイブに入るのはもちろん、中でも屈指のビルトゥオーゾ・オーケストラに育て上げたのは、ストコフスキーとこのオーマンディであったのは、伊達ではありません。
改めて他の8曲もじっくり聴き直してみたいと思います。
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