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店主日誌:188
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2015年05月02日
 

 
お客様自主開催の「カートリッジ会」、年明けの3回目に続いて早くも4回目の開催となりました。
いつものお2人、世代の大きく離れた同士ながら、話は驚くほどピッタリ合って、傍で見ている店主もいつも楽しく参加させてもらっています。やはりアナログ・オーディオへの愛のなせる業でしょう。

今回、出品カートリッジ数はさらに増えて、キャリングケース5個分+単品で40数個といったところでしょうか、壮観!
そのなかからリクエストに応えて、とっかえひっかえ付け替えてかけるのが私の役目です。プレーヤーは時代を合わせてYAMAHA GT-2000。

今回登場となったのは、順にSansui SV-45,Lustre L-1,MICRO VF-3200/e,SHURE M93E,JIMTEC V-Ⅲ,NEAT VC-3,ENTRE EC-15,audio-technica AT-VM3X,SONY XL-333E。普及型MMからMCまで、なかでもシュアのM93E はオートチェンジャーなどにも使われていたそうで、独特なマットな濃緑色凸凹塗装の外観もさることながら、ドカンとくる低音をベースにガッツのある音を聴かせてくれました。
NEAT VC-3 は初期のモノラル・カートリッジですが、今回はオーナー自ら修理してスタンバイ、見事素晴らしいワーグナーを奏でてくれました(ピエール・デルヴォー/パリ国立歌劇場管弦楽団の仏FALP盤)。

ちょっと一息コーナー(?)ではソノシート4枚組の新世界('60年製)をかけてみました(写真2)。1枚に1楽章を収録してあって、何だかSP気分。ソノシートを聴いたなんていうのは、一体何年前だったでしょう? TVの主題曲だったのは覚えています。
あれ、音が出ない?と思ったのは記録レベルが小さいから。厚手のビニールレコードに比べて薄いシート状で材質も柔らかいソノシートは溝が浅く、振幅も取れないためでしょう。

また、今回の参考出品はクリーナー編。
ピクソールのローリング・クリーナー,ワッツ Watts の円筒型クリーナー、そしてナショナルの電動型ハンディーレコード掃除機(写真3)! これは片手に収まる大変コンパクトなボディに電動回転式のローリングブラシと吸引機構を収め、乾電池で動作するクリーナー。今でも完璧に動きます。まるで今話題のクリーニングマシンのブラシ部分だけ外して持ってきたよう。この頃ならではのアイデアと情熱溢れる製品ではありませんか。

終わったころには外も暗くなり、あっという間に4時間が過ぎていました。
閉会時には早くも次回のスケジュールの打ち合わせが。また次が楽しみです。
2015年03月27日
 
SXL第1号、ケネス・オルウィン

 
今回は有名な盤です。
とくにDECCAラバーにはお馴染み、栄光のSXL第1号、チャイコフスキーの序曲「1812年」他。
ですが、ここではうちらしくちょっとひねって、国内キングレコードからSLC番号の第1号として発売されたSLC1001 (国内初版)を聴きました。
写真もそのLONDONレーベルのジャケット(英初版と共通)、裏は当時の米ロンドン盤に倣ったと思われる水色のブルーバックで、レコードはフラット盤です。

録音は’58年5月、ロンドンのキングズウェイ・ホールで、名人ケネス・ウィルキンソンによる収録。プロデューサーはマイケル・ウィリアムソンでジャケット解説も担当、この国内盤はその日本語訳を載せています。
ちなみに1812年の大砲音は大太鼓ではなく本物を録ってミックスされました。

さて、肝心の演奏で指揮を執るのはというと、ケネス・オルウィンという人。余程の通でない限り、どういった指揮者かを知る方は少ないでしょう。
かく言う私も名前を知っていた程度。1925年生まれでまだ存命、DECCAにはこれ以降録音を残しませんでしたが、英国音楽やライト・クラシック,映画音楽などに相当数のレコーディングがあります。
また長年に渡ってBBCラジオ番組で指揮と司会を担当したことで知られています。ちょうど我が国の黛敏郎のような存在でしょうか。
また’60年代に来日して読売日本交響楽団を振り、ホルストの惑星の日本初演を行ったそうです。

さて、では演奏は―これが実に素晴らしく、録音当時33才ですが黄金時代を誇っていたロンドン響を完全に掌握、自在にドライヴして胸のすく快演。
名手揃いの金管がスカッと響き渡り、ロシア風の豪快さにも不足せず、誠にツボを押さえた指揮ぶりと言えましょう。
単にデッカ・ステレオフォニック・サウンドを宣伝するだけのレコードではなく、録音はもちろん、演奏も特筆すべき内容であったことに改めて気付かされました。

このキングレコード・プレス盤は本家に負けない素晴らしい音質です。
2015年03月17日
 
このところ東京は確かに暖かくなってきました。三寒四温、温の四つ目が来たかな、と実感します。
今日など天気も良く、とくにポカポカ陽気で、寒がりの私でさえ初めて薄手の上着に着替えて店に出ました。
皆さまのところはいかがでしょうか?

もう少し暖かくなると、それ程暖房も必要無しにプレーヤーをはじめとするオーディオ機器にも最適な温度になりますから、気持ちよくレコードに針を落とせます。
エアコンともおさらば出来ますから静電気のパチパチに悩まされている方にとってもいいですね。でも反面、花粉症の方にはつらい時期でしょう。

遠方からお出で下さる方も増えてきました。本当に有難いことです。
このところは愛知や静岡県、そして長野からのお客様はこちらで用事のある際ごと足をお運び下さいます。
4月には都合が合えば長崎からお得意様がお見えになるご予定とのこと、素人コーヒーとレコードでお迎えです。
2015年03月03日
 
2年間余り当店の試聴スピーカーとして働いてくれた、SPENDOR A5 スピーカーが本国で終了となったのを受けて国内でも販売終了となりました。

そのため私どものA5 も次のオーナー様のところへ。
とても可愛がってもらっているそうです。

そのA5、実は当初それほど大きな期待は持っておらず、スペンドールの新しいタイプを試してみよう、というほどだったのですが、それがカチンときたのか、鳴らし始めて1,2ヶ月ほどもすると素晴らしい音色で歌ってくれるようになり、何の不足も無いばかりかこれほどのものにはそう簡単に出会えないと感じるほどになりました。
しかもペアで30万円弱の製品でです。

でもそのお気に入りの主役がぽっかりと空席となって、急きょ次のキャストを鋭意選定中です!
2015年02月18日

今朝のフジテレビ「とくダネ!」(小倉&菊川キャスター)で「レコード復権」と題して、今ふたたびアナログ・レコードに人気が集まってきている、と伝えていました。

とくに私どもには今さら目新しい話題ではありませんが、渋谷HMVを取材して、熟年から若い層まで世代にかかわらず賑わう様子や、レコード・プレーヤーが1週間に100台(!)売れたとか(まあ、1万円強のお手軽プレーヤーですが)。
う~ん、ウチもそんなに売れたらなあ。

一度もレコードをかけたことが無いという菊川玲キャスターが、スタジオに用意されたプレーヤーでレコードをかけてみるコーナーでは、トーンアームの持ち方が分からない彼女がアームパイプをわし掴みにして、大胆にもポンと盤面に載せると、盤にキズが付く,針が破損するなどを恐れてのことでしょう、周りのおじさん出演者たちから一斉に「あ~」「うわ~」などと悲鳴が。

ヘッドシェル・フィンガーを持っての扱いをアドバイスされた菊川さん、今度は針を今にも落ちてしまいそうな盤の最外周に載せようとすると、またもや、「あ~」「うわ~」。

音楽が鳴る前にこれだけ楽しめるのも、アナログ・レコードならではですね!

2015年01月19日
 

 
お客様の自主開催による「カートリッジ・オフ会」、新年明けて早速開催されました。
初登場も含めて今回は総出品、40数個ものカートリッジが並び、店の小さなテーブルにはコーヒーカップを置く隙間さえありません。
お気付きかと思いますが、すべてかつての最盛期の製品。今売られているカートリッジならばお金さえかければ数を揃えることは出来ます。
新しいものでも20年、古めのものでは40年経っているものが、ピッカピカ、すぐに再生可能の状態で保管されているところがミソなのです。

中から今回は、JIMTEC(!) V-Ⅲ,SHURE V-15 Type-Ⅲ,ELAC ESG795,LINN K9,DENON DL103SL (セラミック・ボディ),FR FR-6SE,Aurex C-505K(キット!)を次々と比較試聴。試聴レコードは名曲、デイヴ・ブルーベックのTAKE FIVE。

ジムテックとはまた懐かしいメーカー名を思い出させてもらいました。
ジム・ランシングとアルテックの合成名だそうですが、スピーカーやアンプ、カートリッジも作っていました。
今回出品されたのはV-Ⅲという、決して高価な製品ではありませんが、一番手で聴いたこともあったのでしょう、参加した3人ともその独特の説得力あるサウンドにしばし息をひそめて聴いていました。

どれもそれぞれ個性が楽しく、皆、魅力的な再生を聴かせてくれました。

最後のAurexのC-505K というのは、何とオーナー自身が組み立てるカートリッジのキット。オーレックス社員の指導のもと組み上げたそうです(写真は針を外したところ。カバーレスなので、コイルが透けて見えます)。
これが残っているのは大変珍しいでしょう。私も初めて知りました。
お客様が製作したものですので、まあ音は参考程度に、と音出ししてみると、これが意外や意外、ウェル・バランスで高次元の音を聴かせてくれたので、ン10年ぶりに聴いたオーナーも含めて皆ビックリ。

今回もたっぷり3時間楽しませて頂きました!
2015年01月14日
 

 
最近、始まるとつい気を取られるテレビCMがあります。
JR東海の「いま、ふたたびの奈良へ/大神神社篇」。

目を留めるより先に、いきなりティンパニの連打で始まる、あのボロディンのダッタン人の踊りから「全員の踊り」の音楽の強烈なインパクトに耳を奪われます。
お、何のCMだ?と映像を見ると純日本的、静寂に包まれた神社の情景がショートカットで連続し、動的な音楽とは好対照を成して、効果的に入るナレーションとともに印象深く実にカッコいいです。
その後半は一転して同じオペラから有名な「ダッタン人の娘たちの踊り」の女性ヴォーカルアレンジが、神聖で幻想的な雰囲気を醸し出します。
この意外性抜群の選曲は数あるCMへのクラシック使用例の中でも最近の注目作ではないでしょうか。
いつもながらこの会社のCM、うまいです。

そんなことを思っていたら、今日はこのCMを挟んで、まずその前にセコムの「未来をセコムする篇」CM。
これは大胆にアレンジしてあって始めは分かりにくいですが、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」から行進曲が使われています。
そして次がJR東海のダッタン人で、さらに続いて次は「東急不動産/BRANZ」。
ここではお目にかかる機会も多い人気曲、ラフマニノフの「パガニーニの主題による変奏曲」から有名な第18変奏が優雅に流れます。

奇しくもCM3つ連続してバックミュージックにクラシックを使ったものが並び、しかもどれもロシア音楽。
いかにロシアの作曲家達が優れたメロディーメーカーであるか、再認識した次第です。
2015年01月08日
 

 
もうあっという間に正月気分はどこかへ、という頃ですが、新年といえばウィンナワルツ。
店主はクリスマスの「くるみ割り」,大晦日の「第9」、とともに正月には私設ニューイヤー・コンサートとして恒例の1枚を選定しています。

これも面倒なときは、えい、またこれだ、とばかり超定番のボスコフスキー&ウィーン・フィル盤をちょちょっとかけて済ますことも少なくありませんが、今回はせっかくですのでもっと庶民的で、ある意味本当の地元ウィーン音楽を聴かせてくれる、アントン・パウリークさん(1901-75)にご登場願いました。

パウリークはオーストリア・ハンガリー帝国、現在のブラティスラヴァ(スロヴァキア)出身、アン・デア・ウィーン劇場,ウィーン国立歌劇場,ウィーン・フォルクスオーパーなどを股にかけ、オペレッタの世界で大活躍したまさにウィーン音楽の専門家でした。

ウィンナワルツ集は米VANGUARDを中心にいくつかのマイナーレーベルに入れていますが、これは店主好みのCONCERT HALL盤で題して「ウィーンの想い出」。録音からしても恐らくオリジナル録音と思われます。オーケストラはウィーン国立歌劇場管弦楽団。手持ちは仏ステレオ盤です。

多くのウィンナワルツ集はワルツで始まりますが、これはまず軽快にポルカシュネルの「うわ気心」でスタート、そのあとは、ワルツ「ロマンティックな人々」(ランナー),シャンペン・ポルカ,ワルツ「バーデン娘」(コムヅァーク),ポルカ「ハンガリー万歳」,ワルツ「スケートをする人々」(ワルトトイフェル),ポルカ「雷鳴と電光」,ワルツ「オーストリアの村つばめ」(ヨゼフ・シュトラウス),ワルツ「シェーンブルンの人々」(ランナー)、といった具合にワルツとポルカが交互に並んで飽きさせません(無記名はヨハン・シュトラウス作曲)。
ただのワルツ名曲集とはちょっと違うぞ的選曲、いいですねェ。
大好きなバーデン娘やスケーターズワルツが入っているのもお気に入りの理由です。

2014年12月30日
 

 

 
さて、もう明日は大晦日。皆様、今年の第9はもうお聴きになりましたか?それともこれから駆け込み?
忙しくてそれどころじゃない、という方が大半とは思いますが、店主も毎年「年末のMy第9」を選定します。

なかなか生のコンサートで聴くことが出来ないので手持ちのレコードの中から選ぶのですが、同じレコードになることも多く、結局選定したはいいものの実際には聴く暇が無かったという年も少なくありません。

さて栄えある今年の選定はというと、
「ブルーノ・ワルターの第9」(コロンビア響とのステレオ録音、日本コロムビアの全集初期盤から)
今回は選定理由が少々安易なのですが、店にまたまあったから。でも言うまでもなく天下御免の名盤です。
随分と久し振りに聴く今日のワルターのご機嫌はいかがでしょうか。
2014年12月24日
 


今日はクリスマス・イヴ、皆様忙しくてなかなかそれどころじゃないでしょうが、今晩聴くレコードとしては何といっても「くるみ割り人形」でしょう。

私も毎年この日に聴く機会をと考えているのですが、その際、だいたいいつも棚から引っ張り出してくるのがこの盤、ロシアは古都キエフ生まれのアナトール・フィストラーり指揮するパリ音楽院管弦楽団の録音です。。
もう40年近く前に購入したレコードで、今でもこの曲のマイ・ベストです。
DECCA eclipse レーベルですから再発廉価盤ですが、その舞台を彷彿とさせる生き生きとしたリズム,色彩感覚に魅了され、それ以降名人・フィストラーリのファンとなった思い出の盤でもあります。

オリジナルはモノラルのLXT2611 で、この盤ではエクリプス得意の疑似ステとなっていますが、これが結構生々しくて不満を感じさせないばかりか耳に染みついて、これでないと落ち着きません。
全曲を聴こうとしてもまず無理でしょうから、第1と第2組曲を1枚に収めてあるのもちょうど良い長さです。
本当に素敵な曲目が次から次へと続いて、有名なおとぎ話の世界へといざなってくれます。

もし見かけたら、どうぞお聴きになってみて下さい。
2014年12月12日
 
  
 
今日お越しになったお客様から有用な情報を教えて頂いたのでお知らせします。
と言っても、もう皆さんよくご存知かもしれません。

私は持っていないので知らなかったのですが、iPhone には初めから「コンパス」という機能(アプリ?)が組み込まれていて、この画面を右送り(フリック)すると「水準器」画面となります。
これをアナログ・プレーヤーの水平調整に使わない手はありません。

iPhone をプラッターの上に置くと、最初の写真(-7°とある)のように2つの白い円が重なっていて、重なった部分は黒くなっています。
結構水平が出ていれば始めから真ん中の写真のようにほぼ2つの円が重なって、黒い円に近くなっているかもしれません。
そのままプレーヤーのフット(脚)などを調整して、2つの円が完全に重なるようにすると、おめでとうございます、ひとつの円になると同時にパッと画面がグリーンに変わって水平が取れたことを知らせてくれるのです(3枚目の写真)。

iPhone にカバーをかけてある場合は外して、本体背面が計側面にピッタリ密着するようにしたほうがよいでしょう。

iPhone お持ちの方はお試しあれ。
私は未だにスマホを持っていないのでリアル・水準器を使います..。

*お試し下さったお客様より追加情報を頂きました。
計測前に、念のため最初の画面(コンパスの前)で内蔵ジャイロを補正してから行わないと正確に出ないことがあるそうです(下記画像参照)。

2014年11月27日
 
 

前回、お客様お二人で自主開催(?)された「フォノカートリッジ・オフ会」、店主も大変楽しく参加させて頂きましたが、好評を受けて早くも第2回が開催されました。

今回も持ち寄った往年のカートリッジ30個余りについて、その生い立ちやヴァリエーションなどに話が及び、ちょっとした移動カートリッジ博物館といったところ。
いずれもヘッドシェルに着いていて、すぐに掛けられる状態にあり、今回はそれらのなかから、GRACE F-7H,F-8L、SPEX SD-801EXCEL、FR PMC-1、ADC TRX-2 などを聴き比べ、それぞれの魅力を堪能しました。

またAIWAが50年ほど前、独自規格で最初に作ったカセットデッキの実機をお持ち下さって「特別展示」。デッキにワンタッチで合体可能なアンプ付きスピーカー部をセットすると、今でもはっきりした音を再生してくれました。
2014年11月15日

好評のアクリル・ダストカバー2点が出来上がりました。

写真が小さくて分かり辛いですが(どちらも保護フィルムを張ってあります)、左が旧プレーヤーの再製作,右はノッティンガムのInterspace Jr.用です。
どちらも好評のガラス色です。

長年使っているプレーヤーもダストカバーを新調するととても若返って見えます。

これから長野と埼玉へ発送します。
2014年11月10日
「SUPRAPHON 黒沼ユリ子/マルティヌー ヴァイオリン・ソナタ第3番,5つのマドリガル」

我が国の誇るヴァイオリニスト、黒沼ユリ子といえば留学先のチェコでの活躍がいまだに印象深く、その後メキシコに移り住んで長らく活動していると聞いていましたが、1940年生まれの彼女もすでに74才、今年の6月のメキシコシティーで引退コンサートが開かれました。
現在は日本に帰国して、お気に入りの千葉・御宿で暮らしているそうです。

そんな話を聞いていたので引っ張り出してきたのがこのレコード。
やはりチェコのスプラフォン。チェコのピアニスト、アルフレッド・ホレチェックとの協演で、チェコの大家、マルティヌーの第3ヴァイオリン・ソナタと「5つのマドリガル」、'68年の録音です。
ソナタは30分近くの力作で、まだ30才前の彼女の若々しい気迫に圧倒されます。
マドリガルのほうは、何とあのアインシュタイン博士(彼がヴァイオリン、ピアノはカサドシュのため)のために作曲されたのだそうです。
2014年11月01日

今日はViV Laboratoryを主宰する秋元さんがいらっしゃいました。

すでに独創のトーンアーム Rigid Float は発売4年目を迎え、国内の評価はますます好調、海外では特にドイツでの評判が高いそうです。

この11月から、ある重要な部分の材質を変更した新ヴァージョンを発売予定とのことで、その試作機(といっても市販製品同等。7インチ版)をお持ち下さいました。
従来のものもそのまま継続で、新ヴァージョンは上級機の位置付けとのことです。

比較的簡易にプレーヤー脇に置いて、ひと通りの調整の後、音出しをしてみると、少し前に聴いた従来機の音がたちまち蘇りました。
ちゃんと試聴ポジションに座る前、スピーカーの真横にまだいる時に聴いた音でさえ、その冴え冴えとしたサウンドは一目(聴?)瞭然。
「従来機との差もかなり大きいです」との言葉も確かなようです。

いつもと同じくヘルシャーの弾くコルンゴールドのヴァイオリン協奏曲をかけたのですが、そのまま聴き続けていると返すことが出来なくなるので、早々に針を上げました...。

さて、どこがどう変わったのか、あなたならお分かりでは?
2014年10月22日
 

今年のハイエンドショウ東京は初めての会場、お台場近く、ゆりかもめのテレコムセンター駅前の青梅フロンティアビルで開催されました。
新橋駅からゆりかもめが20分近くかかるので、普段行き慣れていないせいか有楽町の時と比べて少し遠いかなと感じました。

会場は5つの部屋にコンパクトにまとまっているので回り易い。
入って先ず正面の部屋の前に、ひと際目立つパラヴィチーニさんが立っていたので通り過ぎるわけにはいきません。ご挨拶して、それではヨシノトレーディングも出展しているCルームへ。
この部屋は4社が共同出展しており、時間を区切ってデモのローテーションを組んでいます。これは他の部屋でも同じです。

ちょうどデモしていたのが初めて聞くスピーカーメーカー、CAS-audio。瀬戸物で有名な愛知県瀬戸市にあり、陶器をキャビネットに使ったスピーカーを専門に作っています。
今回はなかでも一番の大作、3ウェイの大型スピーカーを初お披露目。次の米CES出品を目指して完成を進めているそうです。
まだ試作の段階ですが、ちょうどフルメタル・エンクロージュアのスピーカーに通じるものを感じましが、またちょっと違って、何となくこれが陶器エンクロージュアの響き(?)なのかな、という印象も持ちました。大型機ながら完全密閉型です。
クロスオーバー回路やデザイン・仕上げなどをさらに煮詰めて、彼の地での反響も楽しみです。

ヨシノトレーディングは先日のインターナショナルショウと同様のデモでClearaudioの堂々たるMaster Innovationプレーヤー中心、すっかり堂に入った壁谷さんのレコード演奏に自社機器の解説は1割ほどしか出てきません。

次はBルーム。Lyricは1bitデジタル・プリメインアンプの新製品X-PM7 のプロトタイプを展示、一段と洗練された外観からも期待が持てます。12月の発売予定。

Eルームも楽しみなメーカーが並んでいます。
ポーカロラインが輸入するデンマークのtangentからは北欧らしいなかなか素敵な新スピーカーSPECTRUM X5 が展示されていました。
コニシスからはいよいよフォノステージアンプの上級機の登場です。
トップパネルが開いていて内部を見ることが出来ましたが、上下2段になった基板に完全ディスクリートで組んだ部品が整然と並ぶ様は、それだけでもいい音がしそうです。改めてお聴きになりたい方はご一報下さい。

最後に入ったのがAルーム。
ここにも楽しみなメーカーが入っています。
オーディオデザインはフルラインナップを用意して大型のディナウディオを鳴らしていました。
プリアンプにはリーズナブルな価格の新製品DCP-110 がお目見え。
パワーアンプDCPW-200 を使ってのハンス・ジマー作曲「パイレーツ・オブ・カリビアン」は快感のド迫力で鳴り響きました。

同じ部屋に新しいスピーカーメーカー、ヒロアコースティックラボラトリーの金庫のようなスピーカーシステムが展示されていました。
子供の頃から数えきれないほどスピーカーを自作してきた熱心なオーディオファイルが興したメーカーです。
3ウェイのユニットをそれぞれ独立したエンクロージュアに収めた、ちょうどかつてのGOLDMUND Epirogue をスリムにしたような形状で、ユニットにはすべて独ACCUTON製を採用しています(トゥイーターのみソフトドームの用意も有り)。
音は予想される通り曖昧さが無く鮮やかでハイスピード、大音量にもびくともしません。海外のフルメタル族にも一脈通じるところがあります。
加工精度はメイド・イン・静岡の世界最高レベル、かつトゥイーターを好みで3種類から選択出来たり、3つのエンクロージュアの相対位置を高い精度で調整して位相を合わせることが出来るなど、良い意味でアマチュアライクな部分も備えているところがユニークです。

帰り掛け、通路でCDやレコードなど音楽ソフト販売があったのでちょっと覗いてみたらまずいものを見つけてしまい、衝動買いです。
当店のすぐ近くにあるクラスック専門レーベル、FontecがCDのバーゲンをやっていて、今は亡きフランスの名匠、ジャン・フルネのCDとDVDを会場特価で買い込み、最後にもうひとつ思わぬ収穫で帰路につくことが出来ました。
2014年10月14日

 

台風一過とはこのこと、少々風が強かったものの雲ひとつない青空が広がりました。

今日はお得意様同士で開かれた(?)「フォノカートリッジ・オフ会」(当店の勝手な命名)、たまたま当店で知り合われたお二人で1週間前からの企画です。
方や40年以上のヴェテラン、方や旧モデルの知識豊富な新進気鋭オーディオファイルと世代も異なるお2人ですが、話はピッタリ合って盛り上がり、ADC,FR,GRACE,HIPHONIC,ENTRE 等々、とっかえひっかえ音聴き。
半世紀以上前、GRACE 最初期のF-5 が瑞々しい音で鳴るのは感動モノでした。
一部には交換針も確保して、保管の良さが光ります。

モノラル時代のGE、NEATカートリッジやAIWA独自規格カセットテープの参考出品(?)もありました。
第2回も開催予定のようです。

皆さんもアナログ・オフ会、楽しまれてみませんか?
お一人でも構いません、狭いのが難点ですが当店を自由にご利用下さい。

2014年09月25日
 
昨日24日に東京フォーラムでのインターナショナルオーディオショウに行ってきました。
いつものように面白そうなブースに目星を付けて、上の階から順次降りていくように回りました。回った順に好印象だったところを挙げますと:

まずディナウディオ。
背高ノッポのCONFIDENCE C2 Platinum を井上千岳氏のデモで。エレクトロニクスはカナダSIMAUDIO の新シリーズMOON NEO 。
井上氏の最近の愛聴盤からバロック・ヴァイオリンとピアノ・ソロを聴きましたが、スピーカーのオーガニックな持ち味とうまくリンクして、大変素晴らしい音色を披露してくれました。
最後までは聴けませんでしたが、編成の大きなオーケストラ物も聴いてみたかった。
昨年聴いた時よりずっと良い印象でした。

次は同じ階のフューレンコーディネート・ブースでのPIEGA 。
見たこともない、ピエガとしては異例にバカでかいスピーカーシステムに驚きました。モデル名はMaster Line Source。
これはこれから発売予定の最上級モデル(二千万超!)だそうで、銀色のマグネパンのような大きな衝立型ミッドハイ部(高域リボン型×24,中域リボン型×9ユニット)と、これまたでかい縦に6本の22cmウーファーが並んだ箱型ベイス部が独立して片側セットで2基,左右で4基構成の大型システムです。
部屋が飽和気味でたっぷりした低域を持て余していたのが残念でしたが、まるでコンデンサー型のような音触のミッドハイはなるほどと思わせるものがあり、完璧にセッティングされた状態での潜在能力はかなりのものと感じました。
エレクトロニクスはOCTAVE 。これに関してはソリッドステートの大型モノブロック・アンプなどでも聴いてみたいところです。

ひとつ階を降りて、アブサートロン。
アメリカの名門Westlake のBB10VE をコロラドのBoulder のアンプとCDプレーヤーで。
近年のスマートな高級スピーカーと比べるとバッフル面の幅も広く、良きアメリカの雰囲気を漂わせていますが、それでも同社のなかでは比較的スリムでコンパクト(?!)、まとまりの良いスピーカーです。
その外観どおり、大変整った素敵なサウンドを聴かせてくれました。荒っぽいところなど微塵もなく、それでいてかかっていた女性ヴォーカルのエンターテイメント性がしっかり生きて、さすが堂々たる再現です。
パワーアンプにコンパクトなモノブロックの850 を計4台使ったバイアンプ・ドライヴも奏功していたようです。
お聴きになりたい方、どうぞご一報を。

帰り際、おや、どこかで見たような恰幅のいい外人さん、ボルダーの創立者・デザイナーのジェフ・ネルソン氏でした。
もう24年前から度々日本を訪れ、歩くのが大好きだそうで(それにしてはちょっと肥え気味?)、吉祥寺にある私もお気に入りの井の頭公園を散歩してきたそうです(今回の宿泊も吉祥寺)。

ひとつおいて隣りのアッカはいつものYG ACOUSTICS 。
昨年と変わらず、同じアメリカのフルメタルジャケット、MAGICO と並んでこの種のスピーカーの両雄との認識を深めました。
木の香りのするのもいいけれど、こうしたスピーカーもこれからは間違いなくひとつの流れとなっていくに違いありません。いえ、もうなっていますね。
アルミの塊から旋盤で削り出していく執念のダイアフラムあってこそのベイス・サウンドです。

そしてひとつおいて隣りトライオード・ブースには、今回楽しみにしていたうちのひとつ、カナダからの新顔、KRONOS のターンテーブルが待っていました。
ちょうど藤岡 誠氏が名調子でデモ中、大盛況で部屋に入ることもままなりませんでしたが、終わったところでようやく実物をつぶさに観察することが出来ました。
かねてより国内への紹介を心待ちにしていたのですが、精緻,かつマッシヴな姿は期待に違わぬものでした。
参考出品ながら、やはりトップモデルのKRONOS の洗練された威容は圧巻で、上下のプラッターが静かに音もなく反転する様は、時の象徴でもあるクロノスから、機械時計を見ているかのようです。
音はどうかって? これで悪ければ最悪、CDから切り替えてレコードをかけた途端、生々しいサウンドがほとばしり出てきましたので大丈夫、ご安心を。

その並びのハイエンド社ブースのドイツLansche Audio。昨年と同じイオン・トゥイーター搭載の比較的コンパクトなスピーカーNO5,1。
ほとんど表に出ることはありませんが、これは本当に素晴らしいスピ-カーだと思います。

さて最後に向かったのは、もうひとつ楽しみにしていた初参加のヨシノトレーディング・ブース。
デジタル・ソース類は一切置いていないという徹底したアナログ主義(?)は同社らしく、アナログ・レコードのみによるホットなデモが「アナログの伝道師」こと壁谷氏によって行われていて、こちらも満員の盛況でした。

目玉は本邦初公開のターンテーブル、Clearaudio のMaster Innovation。
リニアトラッキング・アームのTT2 を搭載しての勇士は、先のKRONOS とはまた違ったクールビューティ。こちらも上下2枚の重厚なプラッターが回っています。
組み合わせるエレクトロニクスはもちろんパラヴィッチーニ氏のEAR。
生々しいDG ホロヴィッツのモスクワ・コンサート、Blue Note 復刻45回転盤 SOMETHIN' ELSE などハイスピード・アナログが堪能出来ました。
ブースの外ではEAR 社主ティムさんが、新しく取扱いに加わったアメリカのケーブル・ブランドKubala-Sosna のジョー・クバラ氏と話に花を咲かせていました。
そこからの帰り道、空中の渡り廊下では、CONSTELLATION AUDIO ドリームチームの一員、ピーター・マドニック氏とすれ違うなど、今回インターナショナルショウらしい場面も多く見受けられました。

まだ訪れずに終わってしまったところがいくつもありましたが、これ以上長居すると苦手な帰宅ラッシュの中央線に乗る羽目になるので、今回はこれで失礼。
2014年08月27日

あなたはドアをノックするとき何回叩きますか?

私は2回です。大体の方はそうですね。
朝、テレビの番組でノックの回数について取り上げていました。
ビジネス・マナーや面接では常識だそうですが、2回はトイレの確認用、3回は親しい間柄で、初めての場合や目上の方など礼を尽くす必要のある場合は4回なんだそうです。

そうなると私はどんな人にもトイレチェックをしていたことになります。
でもこれは欧米での常識、日本では元々ふすまや障子を叩いてもまともな音はしませんし、下手をしたら破ってしまいます。ノックへの意識が低いのは仕方ないでしょう。

それに4回も叩いたらしつこいと思われそうな気もします。
そんな時は「トントン、トントン」と2回に分けて4回ノックしたらよいそうです。
でも余程正式な場でない限りは、当面やっぱり2回かな。

ところで欧米で4回が正式となっているのは、「運命は、かく扉を叩く」、そうです、あのベートーヴェンの第5の冒頭モティーフに依っているのだとか。
そうなると、やはり気軽には叩けません。しかもテンポをどうするか、休符からアウフタクトで始めなくてはとか、続けてもう1フレーズ叩いてしまいそうだとか、気になる??
2014年07月17日

「わが友に/グリュミオー愛奏曲集」

レコードを残すような有名ヴァイオリニストはたいてい、アンコールで弾かれるような小品集を残していますが、グリュミオーの愛奏曲集がこれ。
発売当時評判が良く、売れたのでしょう、このあと第2集もリリースされました。

最も脂ののった'73年、53才の時の録音です。
こぼれんばかりの美音で歌われる愛すべき小曲たちが、さんざん聴き古したはずなのに今生まれたばかりのように新鮮に響くのに思わず聴き惚れてしまいます。

これは初出時の国内盤ですが、侮ることなかれ、素晴らしい音色で十二分に聴かせてくれます。
70年代はまだ国内盤も丁寧に作られており、その頃にむしろ最盛期を過ぎた海外盤より優れていることさえあります。
このタイトルは人気で蘭オリジナル盤はなかなか無く高価、それならこの国内盤で十分と感じた次第。
得した気分になりました。
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